香豆火珈琲 (Kaz - Feel - Coffee) - 引越し済


KAZUHICOFFEEは 2021/11/11に開業いたしました。 屋号はそのままKAZUHICOFFEEです。

新HP: https://kazuhicoffeelab.com/
旧HP: http://www.kazuhicoffee.com/
Base: https://kazuhicoffee.thebase.in/

今はまだ珈琲豆のネット販売と時折行う焙煎教室だけですが、これから珈琲の家庭焙煎や小型焙煎機のコンサルティング業という分野を開拓したいと考えております。まずは発明工房さんの「煎り上手」や安価な小型ドラム型焙煎機などにちょっとした装置をつけて、焙煎プロファイルがリアルタイムに見えるようにすることで、短期間で焙煎の技術を学んだり、既に焙煎を開始されている方の技術が上達するようなプログラムを用意したいと考えております。これからまだまだやること山積ですが、まずは出発致しましたことお知らせ致します。 珈琲が仄かに好きという皆様が、もっともっと本物の珈琲のことを知って楽しんで頂けるようにすることが次の自分のミッションだと考えております。家庭用サイズの小型焙煎機を海外から輸入して販売する等も計画しております。皆さまが美味しい珈琲をいつでも気軽に楽しめるようにすることを全身全霊でサポートしたい!!

珈琲実験

増える生豆?

皆さんは生豆の保存にどのように気を使われているだろうか。

僕は購入した生豆は、すかさず1000gずつZipLockに小分けして常温保存している。特に高価な生豆に関してはさらに脱酸素剤を入れたり、湿度が80%くらいに上がってしまうと除湿したりはするが、基本的にはZipLockの気密性を信じているのでそれ以上のコストはかけない。

ところで最近気が付いたことを皆さんにお伝えしたい。

下記の袋はUSフーズさんの小分け袋で、なかなか洒落たもので消費後は他の用途に使いたくなるくらいだが、残念ながらグレインプロのような気密性はなく、そのままでは湿気が入り放題である。
USフーズの生豆袋

そこで、きっちり1000gずつ計ってZipLockに入れて密閉していくわけだが、最後の袋は大抵少し多い。
例えば今回の例では40-50gほど多かった。これがUSフーズで袋入れしたときはどうだったのか、少し気になるところである。
ショコラピーベリー余分

プレミアムショコラ余分

一方で、極まれに最後の一袋の重さが1000gを切っていたりすると何となく悔しいものであるが、僕の経験では ある一社を除いて、まずそういうことはない

それはさておき、その 1000gずつ密閉したはずの袋を使うときに再度計量すると、これがまた必ずと言っていいほど3-5g増えているのである。はて? と思っても今まで気にしないでいたが、最近ふと、思い当たった。それは密閉した生豆袋をしばらく置くと下記の写真のようにまるで脱気したかのような状態になっている、という現象と結びついた、ということである。

呼吸する生豆

要するに、ZipLockの袋を手で絞って口をしっかり閉じても、袋内には空気がまだ5g程度以上は残っており、どうやら生豆がそれを吸着して袋内の真空度を上げていくようなのである。

結果として下の写真のようになる。もちろん、袋に入れたときにはきっちり1000gだったので、取り出しても500gx2となることを期待していたわけであるが、この例では 3.4g増えている。

増える生豆

生豆は水洗いやお湯洗いをして焙煎するくらいだから、短期間なら水分が多少多くなっても問題ないはずだが、長期間となるとカビが発生したり白くふやけたりと劣化しやすい

乾燥し過ぎもだめらしいが、湿気の多い時期に空気に晒したままにするのは大事な生豆を台無しにする危険性が非常に高いということ。一方で超高級豆なら、真空パックして、冷蔵や冷凍保存したりする方もいるが、普通のスペシャルティ豆でそれはコストをかけ過ぎかな、と。

ちなみにコーヒー流通センターの袋は開封前は気密性が高そうなので、購入後もしばらくそのまま置いておくことができて重宝だが、この袋はかぎ裂きにとても弱い。一度、袋を運んでいる最中に何かに引っ掛けて、10Kgの生豆の大半を床にぶちまけてしまい、大変な目にあったことがあるので、皆さんも流通センターの生豆袋を運ぶときは気を付けてください。
コーヒー流通センター袋



ブラックライトで光る生豆の正体

さて、ブラックライトを使って欠点豆を見つける手法を以前ツィートしたらこれが結構バズって、その後もかなりの回数リツィートされたものだが、今では自宅焙煎をされている方の間でかなり知られるところとなり、実際に普及してきているように思われる。

ここで再度強調しておきたいのは、ブラックライトで光る生豆がすべて欠点豆というわけではない、ということである。正確には、欠点豆は光るものが多いので、そのままでは見逃していたものを見つけやすい、ということである。

光豆・エチオピア・ハルスケ
光豆・コロンビア・エルパライソ

で、ここで気になるのは、欠点豆なのかそうでないのか判断が難しい光り豆の扱いである。

例えば、エチオピア・ハルスケのナチュラル精製、コロンビア・エルパライソ・ダブルアナエロビック精製・ライチ、といった生豆はかなり高い割合で光る豆が含まれており、これを全て削除するにはもったいない気がするし、かといってそのままにして焼いていいのか悩ましい。

そこで僕はこの光る豆をどんどん取り分けてはジップロックに貯めておいた。これが煎り上手のバッチ量の70gに到達したので焼いてみた。 長い前置きになりすみません _O_



焙煎してみて気が付いたことは、これらの光る発酵豆はどうやら1ハゼが来る温度が高いということである。
下記の2つのプロファイルを見て頂きたい。煎り上手では通常の1ハゼ温度は200℃程度であるので、214℃というのは如何にも高い。サンプル数が2つだけなので確証はもてないが、どうやらこの傾向があると思われる。

GlowBeansHaruSuke

GlowBeansElParaiso


焼いた感じでは、まぁ特に変わった様子はない。
光り豆の焙煎(エチオピア・ハルスケ)

光り豆の焙煎(コロンビア・エルパライソ)


さて、これらを本日試飲してみた。

まず感じるのは、粉に挽いたときの香りが明らかに強い、ということで、そこまでは最初から想定範囲内である。よって少し薄めに淹れるのがよいと思い、10gに対してお湯を180㏄注ぐ、CBR=18 で抽出してみた。

まずエチオピア・ハルスケの方であるが、いつもの軽やかなピーチのようなフレーバーに対して、光り豆Onlyの方はちょっと重い感じのトラディショナルなモカ・シダモのフレーバーであった。まぁこれはこれで悪くない。普通に美味しいと感じた。

次にコロンビア・エルパライソの方であるが、こちらも同じくCBR=18 で淹れてみたところ、いつものエルパライソと変わらない甘いフレーバーで、素直に美味しい。

うむ、結論を急ぐわけではないが、少なくとも明らかな欠点豆ではない光り豆は、特に取り除く必要はなさそうである。残すことでフレーバーが少し強くなるという傾向はあるが、雑味だとか、嫌な発酵臭だとかそういったものは感じられず、少なくとも捨てるのはもったいない、と思った次第。

Zeroハゼローストに挑戦

最近知り合いになったコーヒー仲間のnojisangooさんという方に教えて頂いたZeroハゼローストに挑戦してみた。この焙煎手法のオリジナル発案者は大和の珈琲豆専門店「ぜにさわ」さんで、近々一度訪れたいと思っている。

さて、今回使ったのはいつも飲みなれているペルーホープ・マイクロロット(水洗式)である。この豆なら、どの焙煎度であっても凡そフレーバーで区別できると思われる。

昨日、今日と2回チャレンジしたが、それぞれプロファイルの豆の状態はこんな様子である。


1回目チャレンジ
ゼロハゼ焙煎プロファイル_Take1

20分かけて200℃まで温度を上げて、一つ目の豆がパチッと爆ぜた瞬間に煎り止め。
そういう意味で正確には Zeroハゼではなく、1回ハゼロースト?

焙煎豆の様子はこんな感じ。かなり硬そうである。


ゼロハゼ焙煎(ペルーホープ)_Take1



2回目チャレンジ

ゼロハゼ焙煎プロファイル_Take2

1回目に比べて、全体的にRORをさらに低く1-5の間になるようにキープして、DEまでの時間はほぼ同じで11分35秒だが、DE以降から排出までの時間が延びた結果、全体時間にして4分ほど長い24分弱である。結局、一度もハゼ音を聞かずに排出。1回目よりも上手く行った手応えあり。

ゼロハゼ焙煎(ペルーホープ)_Take2

水分量も1回目よりも減っており、通常時間で焙煎する場合の中浅煎り程度の数値となっている。




さて、昨日焼いたものを先ほど早速飲んでみた。
ゼロハゼ焙煎(Take1)抽出中

粉に挽いたときには思わず「おぉ~っ」と声を出してしまうような鮮烈な柑橘系の香りが感じられて期待したのであるが、実際に抽出したものを飲んでみたら、残念ながら正直、ちょっと青臭さが勝っていて飲めなかった

お湯をかけた時の様子を見ても分かるように、全く膨らまず、後半にはペーパーが目詰まりを起こしてしまった。如何にも抽出率の低そうな雰囲気である。

今日焼いた方は恐らく昨日のよりも改善されていると思われ、よいフレーバーが出ていることを期待したい。

<2022/08/07 追記>
今日、2回目に焼いた方を飲んでみたところ、こちらはなかなか美味しい。
やはり少しCucumberの香りはあるのだが、全体的にうまくバランスしており、フレーバーに強い甘味がある。一口すすると、またもう一口、という具合に進んでいき、いつの間にか飲み干してしまった。苦みはゼロ、強い酸味もなく、マイルドでフワッと甘い、そんな印象であった。

この豆は真逆の焼き方とも言える、超高速ノルディック焙煎で焼いたときも同じような味わいになるが、ただこちらの場合はそれにフレッシュさが加わりZeroハゼ焙煎ではこれがひたすら柔らかくなる、といったところか。

そうなると、苦みが身上のマンデリンでこの焼き方をするとどうなるのかが気になってきた。
ちょいと面倒な焙煎ではあるが、次はマンデリンで試してみようかと思う。

まき直し焙煎のコツ

2年以上前に、まき直しマジックというブログを投稿したが、未だ「まき直し焙煎」という用語は市民権を得ていないようで、グーグル検索をかけても何もヒットしない。

要するに再焙煎のことを僕がそのイメージから名付けたものであり、どう呼んでもいいのだが、やはりこの言葉が僕にはしっくりくる。
エルサルバドル巻き直し

今回この焙煎を行ったのはエルサルバドルの豆で、お客様からの注文で通常の焙煎より浅いシナモンローストに焼いたわけだが、ちょっと大量に焼きすぎて300g以上残ったため、久しぶりにやってみるか、ということで行ったのがこのプロファイル。

ElSalvador巻き直し焙煎


改めてやってみると、同じバッチ量の通常焙煎と比べて同じ火力でも火の入りが速い。

元の焙煎豆の水分量は恐らく3%かそれ以下で、狙いとしては僅かでもコーヒー豆の中に結合水が残っている間に芯まで火を入れてしまおう、という作戦。そしてその後はゆっくり目に表面だけ焦がさないようにじわっと熱していった。それでも通常焙煎よりはずっと進行が早い。

まき直し焙煎は取り合えず成功で、特にムラや焦げもなく、スモーク臭もフレンチとしては適切なレベル。まぁそれなりに美味しい深煎り焙煎豆が完成した。ただ、通常焙煎でフレンチローストにした場合に比べて、香りや味ははどうなのか、という点では検証不足である。



さて、まき直し焙煎に関して、先日こんなことがあった。

僕が時々お邪魔させて頂いている某ロースター販売所にふらりと立ち寄ったら、ちょうど店主が焙煎を開始しようとしていたので横で見物していたら、ちょっと目からうろこが落ちる話を聞いてしまった。

店主が行おうとしていた焙煎が、まさに「まき直し焙煎」であったわけだが、やっていたことは、

 店頭で売れ残った焙煎豆を複数混ぜ合わせてアイスコーヒーを作る

であった。なかなか器用なお方で、豆の大きさや種類、元の焙煎度合いなどを考慮して、一部の豆は投入タイミングを変えておられた。しかし1回目のまき直し焙煎ではまだ深さが足りず、冷却後に2回目のまき直し焙煎をして、最後には綺麗なフルシティ・ロースト豆が完成

これを袋に詰めてお得意様に納品するとのことで、思わず僕が「そんなんで大丈夫ですか?」と訊いたら、昔からみんなやってるよね、とのお言葉。う~む、そうだったのか。。

まぁ、そうだよね、、廃棄したくないもんね。香りが抜けたコーヒー豆をそのまま売ってしまうよりはいいし。と思いつつもちょっと複雑な思いが駆巡ったのであった (^^;

焙煎豆の中に見つかった石

ちなみに、焙煎中に覗き窓から見ていたら小石が混じっているのを発見し、それはさすがにマズいですよね、といったら、「日本人はこういうことに細か過ぎるんだよね」とのコメント。

わぉ! なんとまぁ、おおらかな (^^;

とはいえ、焙煎後にぐるぐる回る冷却トレイの中で一応その小石を探しておられたが、なかなか見つからず、なかったことにしようとされているように見えたので、さすがにそれはと、僕がお手伝い。

まるで池の水を抜くように、珈琲豆を少しずつ別の容器に移していったら、最後の最後で発見!!  

大量の珈琲豆の中で、これは簡単には見つからないよ、というサイズ。
でももしそのままミルにかけたら、きっと悲惨だよね。

欠点豆の混入した生豆
<こんな感じの生豆をそのまま焙煎機に投入されている>

ここの店主は、欠点豆のハンドピックも全くやらない主義で、ことごとく、僕がふだん皆さんに伝道している内容と真逆のことをされているのである。

ただそれで20数年間ちゃんと商売出来ている、という事実はなにを物語っているのか。

了。


イエローポイントについての考察

今回は水抜きフェーズの最終地点、俗にイエローポイントといわれる段階について考察してみたい。
一般的な解釈は「水抜きフェーズによって生豆から十分に水分を抜いておけば、その後の焙煎がムラなく進む」というものだと思うが、僕はこれは俗説だと考えている。もし本当であれば「超高速ノルディックロースト」は成り立たないはずである。

さて、まずこのグラフを見て頂きたい。
MoistureContent-RoastTime

これはスコットラオの著作 「THE COFFEE ROASTER'S COMPANION」の30ページに掲載されているグラフで、生豆を焙煎していく中で、コーヒー豆の中の含水量が焙煎するにつれてどう変化するかを表したものである。縦軸の単位が明記されていないが、どうやら1目盛りが2%で約13分半で深煎りにしていったときの実験データがプロットされている。最初12%強から開始して、最終的に2%を切っているわけであるが、注目すべきは含水量は最後まで一貫して減っているという事実である。前半に減少速度が速い、微かな逆イールド・カーブになっているのはある意味当然であろう。

Drying Phase, Middle Phase, Development Timeという3つのステージについて、彼の本の中には以下の説明がある。

「水抜きフェーズという言葉は誤解を呼びやすい俗説である。水抜きは焙煎の間つねに発生している。ただ、十分に含水量が減って豆が少し黄色っぽく(shade of tan)になると、豆が膨らみ酸や芳香が生じ始める。メイラード反応は121~149℃で活発だが、約171℃に達するとカラメル化反応が始まり、ショ糖(還元糖)を横取りするためメイラード反応は(燃料を奪われて)速度が鈍化する」

また別の本で、彼は焙煎を4つの段階に分けて説明している。つまり、
  • Drying Phase (水抜きフェーズ)
  • Browning reactions (メイラードフェーズ)
  • Development time (カラメル化フェーズ、最終フェーズ)
  • Carbonization (2ハゼ後半からの最終フェーズ?)

さて、話が長くなってきたが今回僕が行った実験は、僕がこの水抜きフェーズの終わり(DE)としている160℃の前後で、実際に豆の色はイエローポイントになっているのか、である。

クロロフィルを含有することで生豆は緑色を帯びているが、これが熱分解されて黄褐色になっていく、とされているが、実際はどうであろうか。実験では、CR600焙煎機を使って、135~175℃の間、5度おきに Trierで少量のサンプル豆を取り出していった。イメージは以下の感じ。なお焙煎では最初にガッと熱を入れた後は、RORを落として、意図的にDEまでの時間を長引かせている。
YellowPointTestエルサルバドル
テストに使ったのは、非常に火が入りやすい中米産コーヒー代表、エルサルバドルの水洗式生豆である。これをシナモンローストにするまでに少しずつ取り出したのが下の写真である。
色の変化を見やすいように、真ん中に焼き上がったコーヒー豆のサンプルを置いてみた。

イエローポイント確認(エルサル・通常)


次にこの豆を50℃のお湯と水でしっかり洗って水分が増加した状態で焙煎してみた。
お湯・水洗い直後の生豆の状態はこんな感じで、焙煎してもほぼチャフが出なかった。
エルサル生豆(お湯洗い後)

イエローポイント確認(エルサル・お湯洗い)


最後が、比較的、火が入りにくい南米産の水洗式ニュークロップ、ペルーホープである。エルサルバドルに比べて生豆の緑が濃い。
イエローポイント確認(ペルーホープ)


どうであろうか。

ちょっと贔屓目もあるかもしれないが、僕の目にはどのケースでも160℃で緑の色相が消失しているように見える。


ScottRaoGraph

ちなみに、上記のScott Raoがネットに上げているグラフを見ると華氏302℃をDEとしており、これは約150℃である。なぜ僕が160℃をDEと決めたのか実は今思い出せないのであるが、やはりScott Raoの著作の中にその記述があったような気がしている。

いずれにせよ、今までの説明を振り返ってみても分かるように、水抜きフェーズやDEには明確な定義も範囲もないし、よってイエローポイントという明確な地点も実は存在しない。そして仮にイエローポイントをアグトロン値などで正確に定義出来たとしても、それにより焙煎が制御しやすくなるなどの効果があるとも思えない。

要するに理解すべきは以下のサマリーだと考えている。

  • 生豆の含む水分(10-13%)は焙煎により2%前後まで一貫して減り続ける。
  • 含水量が十分に減って、ある温度(121度)に到達するとメイラード反応が活発になる。
  • さらにある温度(171℃)になるとカラメル化反応が活発になり、ショ糖を使い尽くすことでメイラード反応は収まっていく。

してみると、僕自身も説明によく使っている焙煎の3つのフェーズとは何か?
敢えて定義するなら、それは「焙煎プロファイルを理解しやすくして、同様な焙煎を再現しやすくするため仮に置いたマイルストン」というところであろうか。

以上、勝手な意見を述べてみましたが、反論・異論などのコメントがあれば歓迎いたします。





2つの焙煎機どうしで同じ焙煎度にするための温度補正プロファイル

僕の焙煎道具と言えば、最近では専らメイン機のCormorant CR600と「煎り上手」で、その他の焙煎機、GeneCafe, Sandbox Smart R1, UNIONサンプルロースター、あるいは手網、といった焙煎道具はほとんど出番がない。 要するに最初の2つがあれば大抵は事足りてしまうのである。
Peruオフセット確認

さて、どちらの焙煎道具でもArtisan焙煎ロガーを使っており、役割としては、新しい豆に当たるときには煎り上手が常に先鋒で、バッチ量70gと小回りが利くこと、そして自由自在にプロファイルが描けることが大いに役立つ。 そうやって焙煎度を決めたら、その時のプロファイルもあることだし、それをバッチ量600gのCR600で再現したいわけだが、ことはそう簡単ではない。

複数の焙煎機を使っている方ならご存じかと思うが、焙煎機によって温度表示がかなり異なるという事実があるのである。

例えば「1ハゼ開始」という比較的分かり易いイベントで比べると、CR600と煎り上手では 6-8度程度のズレがある。CR600の1ハゼは194度前後で来るのに対して、煎り上手では200-202℃くらいの時が多い。
Peruオフセット焙煎豆

本日は当初は煎り上手でなんとなく水洗式のペルー豆の煎り分けテストをしていたのだが、途中から方針変更して、KOPE花伝カフェさん用にCR600で焼くときのペルーの焙煎度合い(重量減83.5%前後)を煎り上手で再現する、ということに挑戦してみた。

結論から言うと、オフセット分を勘案した排出温度で取り出すと、かなり近い焙煎度合いになることが改めて確認できた。CR600の排出温度が225度で、同じ程度のDev時間(1ハゼ開始~排出までの時間)であれば、煎り上手の場合のオフセットを6度として、231度で排出すればちょうど同じ焙煎度合いになる。今回はDev時間はほぼ同じであるが、オフセットが5度弱と少し足りなかった分、目標の83.2%に対して83.9%となり、若干浅い焙煎となった。

Peruオフセット確認

4回の各試行の焙煎度は、Take-1: フルシティ、Take-2: シナモン、Take-3: ミディアム、Take-4: ミディアム・ハイ といったところである。

焙煎順がバラバラな点はご容赦願いたい。取り合えず焙煎順にプロファイルを掲載する。

Take-1: フルシティ(※途中でArtisanの設定を弄りながらで、かなりいい加減な焙煎)
PeruHope-Take1-241

Take-2: シナモン
PeruHope-Take2-219

Take-3: ミディアム
PeruHope-Take3-225

Take-4: ミディアム・ハイ (※これが一番、ターゲットに近い焙煎)
PeruHope-Take4-230

ちなみに、テストしているうちに少しずつ気合が入ってきて、Take-4は Take-3のプロファイルをBackgroundに出して、それを辿りながら少しその先まで焙煎する、という焙煎であったが、こんな感じでしっかりと重なっている。頑張ればこのような焙煎が可能なのが、煎り上手+焙煎ロガーの醍醐味である。

PeruHope-Take4-with-Take3













マンデリンの煎り止め判断

マンデリン・アチェ・ディープ・グリーン

マンデリン豆の特徴は、スマトラ島のテロワールがなせるものというよりは、やはりスマトラウォッシュトという精製方法に負うところが大きいと思う。そもそも、スマトラ島の湿潤な気候の中では、ナチュラル精製など乾燥に時間のかかる処理をしていたら発酵が進み過ぎるか、カビが生えてしまってどうしようもないに違いない。

ウォッシュト精製でもパーチメントコーヒーの乾燥には通常は1~2週間かかると言われており、これをスマトラ島でやったら、恐らくいつまで経っても乾かないのだろう。

そこで、とにかく3日間だけ乾かして、さっさとパーチメントを外して種子だけの状態で乾かしてしまえ、というのがスマトラウォッシュトである。

ちなみに、同じインドネシア産でも、ジャワ・アラビカで有名なウォッシュト精製のコーヒーは全く風味が異なる。ということで、やはり最大のフレーバーの違いは精製方法からくる考える次第である。

閑話休題。

そのスマトラ・ウォッシュの豆は一般に焙煎が難しいとされるが、やってみれば納得してしまう。
まずハンドピックが難しい。どこに欠点豆の線引きをするか実に悩ましい。それによりどれくらいの風味が変わるのか、雑味が増減するのか、いずれじっくり実験してみたいが今回は別の話題、煎り止めの判断について取り上げたい。

先日、お客さんからの注文のマンデリンをフルシティーローストに焙煎しようとして、うっかり浅くなってしまい、納得できずに再度焙煎した際の2つのプロファイルが興味深かったので紹介したい。

まずこちらがハイ~シティロースト程度になってしまった焙煎プロファイル
豆の排出温度は230度で、取り出したときは2ハゼがバチバチしていた。

マンデリン・アチェ・Drop230度AUC242

そしてこちらがちゃんとフルシティまで焙煎したときのプロファイル
こちらも排出時の温度は230度である。

マンデリン・アチェ・Drop230度AUC375

しかし焙煎された豆を見て頂くと分かるように、2段階くらい焙煎度合いが異なる

重量減も83%と80.5%と全く異なる。焙煎ロガーを使っているので、滅多にここまで外れた焙煎度にはならないのであるが、1回目の焙煎では、勢いのある2ハゼの音と、焙煎最中の豆の色に惑わされて、つい早めに排出してしまった。この辺がマンデリンの焙煎の難しいところか。

マンデリン・アチェの煎り止め(同一排出温度)



同じ排出温度でも1ハゼ開始から排出までの時間は3:46と5:38と全く異なり、投入熱量に比例すると言われるAUC(Area Under the Curve)の値は242と375である。

結局、煎り止めの判断は、ロガー上では排出温度(つまり1ハゼ温度からの上昇温度)以外に、1ハゼからの排出までの時間、全体の焙煎時間などを見て、さらには音、色、匂い、煙りといった状況を見ながら最後はエイヤで決める必要がある。

同じ豆どうしであれば、焙煎度合いの一致を確認するには重量減を比べるのが一番確実である。

焙煎も数をこなしていると、バッチ量が違ったり、投入温度や中点温度がかなり違ったりしたとしても、途中のリカバリーで最終的にほぼ同じ焙煎度合いに出来るものである。そのときの自分の煎り止めの判断は言葉ではうまく説明できないが、とにかく大抵うまくいってしまうから不思議である。

僕は焙煎ロガーで、焙煎に科学的アプローチを持ち込むことで、誰でも簡単に目的の焙煎が出来るようになることをモットーとしているが、結局は職人的な勘の有無で結果に差が付くことも否定できない。

そういえば、焙煎ロガー Artisanとは「職人」という意味だな。

超高速焙煎の限界を探ってみるテスト

最近、超高速ノルディックローストに関する質問や問い合わせが度々くるようになったが、この焙煎方法は一種の偶然の発見であり、こんな焙煎が成り立つはずがない、と思われている方のためにも、なぜこれでちゃんと焙煎出来るのか、なんとか証明したいし、自分としてもこれが最善なのか深堀していく必要があると感じている。

そこで今回は短時間焙煎の限界を探るため、煎り上手を使って 10粒ローストに挑戦してみた。選んだ豆はペルーの水洗式の生豆でニュークロップである。もっとも火が入りにくいタイプの豆でもある。

10粒であれば予熱次第でどんな高速焙煎も意のまま200度に数秒で達することも可能というわけである。10粒だけなので、ここはポジティブ・ハンドピックによりガタイのよい豆だけを選別してみた。以下がテスト内容のサマリーである。

Take-1: バッチサイズは10粒、200度で投入、火力は強火
Take-2:
バッチサイズは10粒、160度で投入、火力は強火
Take-3: 
バッチサイズは10粒、
160度で投入、火力は弱火~中火
Take-4: バッチサイズは40g、超高速ノルディック・ロースト (220度で投入, 火力は強火)



<Take-1>
そもそも10粒では煎り上手の熱容量の方が大きくて豆投入による温度下降は生じず、200度の予熱は10粒に対しては高過ぎであった。入れた瞬間からどんどん温度が上がり、どんなに攪拌してもあっと言う間に焦げ出したので、1分半ほどで取り出したが、アルチザンは反応せず記録に残すことも出来なかった。明らかに焦げており、割ってみると当然見事なグラデーションであった。失敗。
10粒焙煎 Take1-変化



<Take-2>
投入温度をグッと下げて160度としたが火力は強めのままで、1ハゼ開始までどこまで短縮できるか頑張ったが、Take-1の失敗から、ちょっとビビってしまい、排出が少し早過ぎた。
10粒焙煎 Take2-変化

まあまあ均一ではあるが1分40秒では流石に浅過ぎた。
割ってみるとグラデーションも見える。火が入り切っていない。これも失敗。

10粒焙煎 Take2断面

プロファイルはこんな感じで、投入直後から豆温度は上昇している。

10粒焙煎-Take2 プロファイル

<Take-3>
今度は、投入温度は160度のまま、弱火で慎重に焙煎してみた。
1ハゼ開始まで2分9秒と短いが、超高速ノルディックよりは遅い。トータルも3分である。
これくらい時間をかけると10粒でもかなり綺麗に焙煎できる。
しかも、こころなしか、通常より大きく膨らんでいる

10粒焙煎 Take3-変化

割ってみてもグラデーションは生じていない。
10粒焙煎 Take3断面

ただ、超高速焙煎よりも長い時間をかけたのでは、あまり意味がない。
プロファイルを見ると、初っ端に一気に熱が入っている様子が見える。
10粒焙煎-Take3 プロファイル

<Take-4>
そして最後にいつもの超高速ノルディック・ローストをやった。
ただし、今回は敢えてサイズがとても小さい豆を10粒ほど意図的に混ぜて、これらがどういう色付きをするのか確認してみた。

バッチ量は40gで、これくらいあると豆投入によりちゃんと温度下降が生じる。
焙煎時間は2分40秒。いつものように220度で投入して、最大火力で熱し続けて、再び220度に達したら火を切って、余熱で230度近くまで振り続けてから排出する。

ペルー超高速ノルディック

焙煎した豆をお皿に取り出すと、見た目は普通のミディアムローストの風情である。
超高速ノルディック焙煎(ペルーホープ)

では小さな豆がどうなったか。 
さらに4粒ほど他の豆より大きなものも混じっていたので、これらを分離してみると、やはり豆の平均的な色づきは、大きな豆 > 普通の豆 > 小さな豆 となっている。

これはたぶんこの焙煎方法の限界であり、超短時間焙煎の宿命だと思われる。

以前のブログに書いた通り、ある程度のバッチ量があり、10分前後かける普通の焙煎では、塊として挙動するため、小さい豆でも貝殻豆でも、通常のサイズの豆と同じ色に焙煎される

しかし超高速焙煎では流石にこれは成り立たないらしい。

超高速ノルディック焙煎(ペルーホープ)拡大


超高速ノルディックローストのプロファイルはこんな感じである。

ペルー超高速ノルディック

白っぽい生豆、ムラのある生豆

皆さんは生豆をハンドピックする際に、白っぽい生豆を見つけたら取り除く方が多いと思うが、もしそれが多数点在している生豆に当たった場合はどうしますか? 

先日初めて購入してみた エルサルバドルSHG ジュリア Qグレードという生豆、見た目はあまり綺麗とはいいがたいものであった。白っぽい生豆が点在しており、密度が低そうに見える。実際には、高度1200mのSHGグレードなので、決して低地産ではないのだが、焼いてみるまでは少し心配であった。

ElSalvadorJuria生豆



白っぽい豆を軽く分離してみると、こんな感じである。
ElSalvadorJuria白い生豆

さらにブラックライトを当てると、やはり白っぽい豆の方がよく光る。
ElSalvadorJuria生豆+BlackLight


これを焙煎していくわけだが、取り合えず白っぽい生豆も敢えて取り除かずに焙煎してみた。
途中経過を見たかったので、今回は1ハゼの少し前で一度煎り止める「ダブル焙煎」にしてみた。

すると下記の写真のように、この時点でもうほとんどムラがない。少し意外であった。

ElSalvadorJuriaダブル焙煎途中

最終的に浅煎りに仕上げてみたが、やはりほとんどムラがない仕上がりである。
ElSalvadorJuria浅煎り


というわけで、結論として分かったことは、色が他の豆に比べて白っぽいからといって必ずしも死豆というわけでなく、取り除かなくてもちゃんと焙煎される豆もある、ということであった。

焙煎中の攪拌量についての考察

先日面白い現象に出くわしたのでここに紹介する。

もし、浅めの焙煎したときに妙な酸味が出て困っている方がおられれば、是非参考にして頂きたい。

発端は、僕が提供したロガー対応・煎り上手を使ってくれているある方(S氏)からの報告であった。

自分のセットはいつも1ハゼ開始温度が高い」と何回も言われるので、熱電対の取り付け位置やArtisanの設定を色々と変えて頂いたり、僕自身も同じ条件になるように色々試してみたが、どうにも話が噛み合わず、ついに先日、検証のために僕のログハウスまで来て頂いた。

S氏は、Artisanのデザイナー機能で作成した理想形フェーズ比率のプロファイルのカーブを、見事にトレースするような焙煎をされるのだが、一方で「自分が焼いた豆が美味しいと思ったことがない」とおっしゃるのである。

そこで同じ豆をまず僕が焼いてみせて、次にS氏にいつものやり方で、同じような焙煎度合いに焼いて頂いたのが下記のプロファイルである。これだけ見たら、どうみてもS氏の焙煎の方が上手いし、美味しいコーヒーになったと思うであろう。

攪拌の違い

それぞれのプロファイルを拡大するとこんな感じである。

<S氏の焙煎>
シダマ高攪拌焙煎


<僕の焙煎>
シダマ普通攪拌焙煎



ところが実際に飲んでみると、S氏の焼いたものは妙なエグ味や酸味が出ていて、僕には非常に飲みにくい味なのである。一方で僕が適当に焙煎した方のコーヒーは期待どおりの浅煎りモカの味わいであった。

焙煎する様子を見て直ぐに気付いたのは、S氏はカーブを綺麗に描くために、投入直後から物凄く細かく振り続けることである。高攪拌焙煎である。それに対して、僕の焙煎は至って暢気で、開始から1ハゼ投入くらいまでは、1~2秒に一回、ザッ、ザッと振る程度であるが、これでムラになったことはない。

さて、この違いは何かと考察してみる。
まず、煎り上手は半熱風式の焙煎道具であることを思い出して頂きたい。

攪拌量を増やすということは、コーヒー豆の間の空気を動かし、より多くの空気を外から取り入れることになる。結果として対流熱は減り、加熱は予熱した煎り上手本体から伝わる伝導熱が主体となる。つまり加熱効率が落ちるということである。

同じ予熱であれば、伝導熱+対流熱を使った方が一気にコーヒー豆内部まで加熱が可能である。
もし予熱が十分でなく、加熱効率が低いと、コーヒー豆の芯に熱が浸透する前に、表層部の自由水が失われて内部に熱が伝わりにくくなるのではないか、というのが僕の推察である。

ちなみに超高速ノルディックローストでは、初っ端からS氏の焙煎同様に細かく振り続けるが、これは220度という物凄い予熱を与えているからバランスが成り立っていると考えている。

何はともあれ、あとは実験を重ねることで、ここでの推察が正しいのか帰納法的に検証していきたい。
現在、ルワンダ・スカイヒルという生豆を使って、高攪拌・低攪拌・超高速ノルディックの3種類の焙煎を行ったサンプルを用意して、友人のバリスタ N氏にカッピングを依頼したところである。

さて、そんなことを考えていた矢先に、別の顧客から同じような報告が寄せられたので、そちらも紹介したい。その方もかなり細かな高攪拌焙煎をされるそうで、自分の焼いたケニアの浅煎りが、「トマトのような鮮やかな酸味を期待したのに、クリア感はなく、変な香ばしさと甘さを伴ったトマトケチャップのようなフレーバーでマズくて飲めませんでした」とおっしゃられる。

そこでプロファイルを送って頂いたら、なんだかS氏の焙煎と似ているのである。
これはなんだか偶然ではないような気がするのである。

ケニア高攪拌焙煎2





コーヒー生豆の大きさのバラツキと焙煎ムラの関係

Harusuke_MediumRoast
<エチオピア・ハルスケ・ナチュラル 中浅煎り>

コーヒー生豆の格付け基準にスクリーンサイズが含まれていない国、特にグアテマラやエチオピアなどの生豆では、やたらと大きな豆や逆に非常に小さな豆が含まれており、直感的に、

(1) 大きな豆は火が入りにくい
(2) 小さな豆は焦げやすい


と考えてしまうのではないだろうか。
さて、今回は(2)の検証に丁度良いサンプルを見つけたので、ここに紹介してみたい。

焙煎したのはエチオピア・ハルスケ・ナチュラルという豆で、焙煎後に冷却器で冷ましていたら、金網をすり抜けてチャフ受け脱落していたものを拾い上げたものである。まずはこの写真を見て頂きたい。
Harusuke_小さな豆

注目はもちろん真ん中の小さな豆である。全く焦げておらず、周りの大きな豆と同じ色合いに仕上がっている。アップにするとこんな感じ。
Harusuke_小さな豆UP



裏返して観察しても、まぁ同じ焙煎度といえる色合いである。

Harusuke_小さな豆裏
Harusuke_小さな豆裏UP


つまりこんなに大きさに差があっても、
焙煎中の攪拌がちゃんとされている限り、一つだけ先に焙煎が進んで焦げてしまう、なんてことはない、ということである。

焙煎中のコーヒー豆は加熱により塊として蓄熱していく。最初は吸熱し続け、1ハゼが始まった辺りから発熱反応に代わるため、後半は加熱を止めてもなかなか温度上昇スピードが落ちない。

この時のコーヒー豆の一つ一つは、塊の中に埋没している限り、大きさに関らず同じ温度にあると考えられる。そのために、このように小さな豆が混じっていても、同じ速度で焙煎が進むということだろう。もし焦げたとすれば、それは攪拌が足りなかったか、焙煎器のどこかに引っかかって、一つだけ塊から外れていた可能性が高い

あるいはある種の欠点豆だけ焦げやすい可能性もあるが、それについてはまだよく分かっていない。

逆に色づきが悪いのは、「他の豆に比べて大きくて火が入りにくかったから」ではなく、未成熟で少糖類の含有量が少なくてメイラード反応が弱かったと考えるべきである。焙煎前にどんなに丁寧にハンドピックしても微妙な未成熟豆は見分けられないが、焙煎後は下記の写真のように容易に判別できる。
Harusuke_未成熟豆


また、極端に大きな豆は変な発酵をしていたり、虫食いや貝殻豆予備軍(?)といった欠点豆であることも多く、結果的に取り除いてしまうかもしれないが、良豆である限り、大きいからといって一つだけ火が入るのが遅く浅くなる、といったことも同様にあり得ないと考えている。



煎り上手の温度プローブの位置についての検証

焙煎結果6種類

さて、煎り上手に取り付けている温度プローブの取り付け位置についてであるが、以下のような観点で取り付けてきた。

プローブの先端の位置(標準):
  1. 焙煎中のコーヒー豆に塊に潜りやすい
  2. 前面の蓋に近過ぎない(先端のパンチ穴からの熱風の影響を減らす)
  3. 底面に近過ぎない(プローブが焙煎中の攪拌を妨げない高さ、豆が下をくぐれる高さ)

このうち、1と2、及び1と3は相反する条件なので、結局その中間あたりにちょうどいい位置がある、という考えである。ということで現在、標準では以下のような位置に取り付けている。
  • プローブの先端は前面の蓋から2㎝離す
  • プローブの先端の高さは底面から7-8mm 

プローブの位置(新品)


しかしユーザの一人の方から、どうしても1ハゼ開始温度が高く表示される傾向がある、という連絡を受けて、以下の比較実験を行った。
  • プローブの先端の位置が標準的な位置 (Take1, Take2)
  • プローブの先端を極端に下げた場合 (Take3, Take4)
  • プローブの先端を極端に前に出した場合 (Take5, Take6)
焙煎条件は、同じ豆(ペルーの水洗式)、同じ焙煎量(70g)を使って同じ投入温度、同じ排出温度にする
というもので、各2回ずつ合計6回の焙煎を行った。ただし途中経過はある程度、自然に任せたため、プロファイルはあまり揃っていない。

また外で焙煎していたところ、Take5の途中でゲリラ豪雨前の強風が吹き出してしまい火力が暴れている。そのため、Take6だけかなり時間をおいて行っている。つまりTake6だけは連続焙煎ではなく、プローブが完全に冷えた状態で開始したわけであるが、結果として、これが安定焙煎の一つの鍵に思われる結果となっている。(ただし風が止んだせいかもしれない

テスト前の想定では、(多少攪拌を妨げてでも)プローブの先端を低くして、コーヒー豆の塊にプローブをなるべく潜らせた方が温度が実際の豆温度に近くなり温度表示も下がるのでは(?)、と考えていたが、実際はそのような結果にはならななかった。

プローブ位置テストの結果表

傾向として見えてきたのは、
  • プローブの位置が低すぎると温度が高く表示される傾向があり、結果として同じ排出温度で煎り止めした場合、浅い焙煎になる。(DT=FC開始から煎り止めまでの時間)に注目
  • 連続焙煎すると1ハゼの温度表示が高くなっていく傾向??  (要追加検証)
  • 前面蓋までの位置はそれほど気にしなくてもよさそう?? (要追加検証)
といったところである。

もう少し検証していく必要があるとは思うが、そもそも焙煎機よって標準的な1ハゼ温度は相当に開きがある低いものでは170度台、高いものでは200度以上という感じで、熱電対プローブの取り付け位置、豆の当たり具合、熱風のかかり具合、等に相当な影響を受ける。

僕のCR600の場合で、ET/BTで焙煎の最後の方までずっと30度ほど開きがあるが、煎り上手の場合、計測している温度は、豆温度(BT)に近いもの、熱風による影響(ET的な要素)、開口部からの空気の流入など常に影響を受けており、焙煎量が少ないために蓄熱の観点でも外的影響を受けやすいため、焙煎時の温度はかなり波打つ。

またFC開始温度が大きくずれるもう一つの要因として、FC開始の判断が難しい、ということがある。最初の数発でボタンを押すか、かなりバチバチ連続音がしてからボタンを押すかで、簡単に3-5度も変わってしまうのである。また、豆のよってハゼる音がとても小さいものもあり、ゆっくり1ハゼに突入するとさらに小さな音になるため、ますます難しい。

少し言い訳じみてくるが、結局は、焙煎は総合判断であり、焙煎ロガーの表示はコントロール焙煎のための有用なデータであっても絶対的なものではない。これはたとえ本格的な焙煎機でも、程度の問題はあっても同様だと思う。

そしてもちろん、気温・湿度、豆の水分量、焙煎機の蓄熱状態などでプロファイルは影響を受ける。

<プローブの先端を極端に下げた取付け - Take3,4>
プローブの位置(低い)


<先端を極端に前に出した取付け - Take5, 6>
プローブの位置(先端まで)


6回分の焙煎プロファイルは以下のとおりである。

<標準位置での焙煎 - Take1, 2>

プロファイループローブ位置(標準)

<プローブの先端を極端に下げた取付けでの焙煎 - Take3,4>
プロファイループローブ位置(低い)

<先端を極端に前に出した取付けでの焙煎 - Take5, 6>

プロファイループローブ位置(先端まで)

超高速ノルディックロースト珈琲豆のバリスタさんによる評価

エルパライソの焙煎


先日、ユーエスフーズさんが2日間限定で売り出したコロンビア・エルパライソ・アナロビック・ライチ(ビジャロシータ農園)は各日の限定販売量で10時からのネット販売であったが、両日とも開始後
数分で売り切れていた。初日はカートに入れてから少し迷っている間に、いつの間にかキャンセル。慌てて戻ったが既に完売。2日目はリベンジとばかり、10時になると同時に最速で必要情報を入力して即確定。なんとか10Kgばかり確保できた。

それが一昨日届いたが、通常の紙袋ではなく、ちょっと高級感のある白い不織布の袋でなんとなく嬉しい。ただしこの袋、空気を遮断するものではないので、すぐに1㎏ずつZip Lockに小分けして密封した。

それを昨日、煎り上手を使って、通常の浅煎り焙煎(約9分)と超高速ノルディック焙煎(2分45秒)の2とおりで仕上げてみた。冒頭の写真のとおり、ノルディック(右側)の方が大きく綺麗に膨らんでいる

早速飲んでみると、通常浅煎りの方は先日飲んだ Glitchコーヒーさんの焼いたものに近い味わいであったのに対して、ノルディックの方は鮮烈な柑橘系の酸味が刺激的で大変美味しく、この豆の持つポテンシャルの別の側面を見せてくれていると感じた。アフターは新鮮な柑橘フルーツを食べた後のように甘酸っぱさが長く続く。これもなかなかいいかも!

エルパライソ・タグ

さて、前置きが長くなったがここから、先日の超高速ノルディック・ローストで焼いた4種類の豆に対する、バリスタのN氏のカッピングコメントを掲載したい。

ーーーー
〜〜〜①エチオピア コチャレWS〜〜〜

ドライ/紅茶・スパイス(実)・華やか クラスト/甘い小麦(モルト)・バニラの香り ブレイク/砂糖の甘さ→モルト→紅茶→コーン カッピング/透明感・サトウキビ・アールグレイ・コーン茶・コブ茶(旨味)・オレンジ(ネーブル系)・滑らかな舌触り(軽めの質感)・後味がクリーン・繊細で・ユニーク。 コチャレ ウォッシュの紅茶っぽさと柑橘系の酸が"甘く細く"繊細ながら透明感のある味わい。 超高速短時間による「お茶」の様なユニークな印象が更にポテンシャルを光らせている印象を憶えました…☕︎ 特に一番良かった所は、Nordicで時折感じる「穀物」の様な生焼け感が無いところで非常に飲みやすかったです😌
〜〜〜②エチオピア ハルスケ NA〜〜〜
ドライ/シトラス・ワイニー クラスト/蜂蜜・パンケーキ・奥にベリー香 ブレイク/甘い香り・カルダモン・フルーティー カッピング/透明感(①よりは質感あり)・蜂蜜の甘さ・柑橘の酸(ジューシー)・シルクの様な舌触り(質感は中よりの軽さ)・トロピカルフルーツ・バナナ・心地良い発酵感・後味が甘く、伸びやか・ハーモニーがあり・安定的。 こちらはお伝えした通り、甘い長く続く余韻と発酵感がアナエロの様にすら感じ取れる芳香が素晴らしいです。 柑橘の酸も舌先では無く、香りとして昇華されていて嫌味無く飲み続けられる一杯…☕︎ 透明感もありながらフルーツ・香り・甘さのバランスも調和が取れていて、最後まで安定して楽しめる仕上がりだと感じました😌

〜〜③ブルンジ レッド ブルボン WS〜〜

ドライ/甘いナッツ香 クラスト/モルト・バニラ(①より重め) ブレイク/紅茶 カッピング/明瞭な綺麗さ・チョコの甘さ・丸い林檎系の酸(ジューシー)・滑らかな口触り(真ん中の質感)・フジ林檎・アプリコットティー・後味はクリーン(紅茶の様なスッキリ感)・落ち着いているが・質が良い。 ブルボン系の甘さとウォッシュの綺麗さをバランス良く感じられる味わい。 落ち着いている印象ですが、フレーバー感がハッキリとしているので落ち着いてゆっくり飲みたくなる一杯でした…☕︎ 同じウォッシュでも品種が異なると、 味わいも飲みたくなる気分も変わってくる所が非常に面白いとこのテイストで気付かされました😌
〜〜〜④ペルー ホープ〜〜〜
ドライ/カシス・ピーナッツ クラスト/キャラメル・甘いナッツ香 ブレイク/甘い砂糖系の香り カッピング/綺麗(質感がしっかりな為)・キャラメルの甘さ・柑橘系の酸(構造的)・丸い舌触り(重さは中くらい)・カシス(バランス型の熟度)・甘い豆~甘栗・カラメルシロップ・後味は甘い・一定的で・骨格がある。 4種の中では一番質感や舌触りの質感がある味わいでした。 ペルーアンデスを以前、試飲しましたが。 綺麗さと嫌味の無いカシス感と甘いシロップの様な水々しさはペルーホープの方が優れていると感じる一杯でした…☕︎ 何より浅煎りでここまでの甘さや質感を引き出せる技術に感服しております😌

<ここまで、原文どおり>
ーーーー
いかがであろう。

もし飲んでみたい方がおられましたら、KAZUHICOFFEEまでご一報ください。
サンプル提供も可能です。
また近日中に販売開始予定の、ロガー対応「煎り上手」を使えば、どなたでも数分で同じ焙煎が出来ます。ちょっとした曲芸のような焙煎ですが、ロガーさえあれば、実は普通の焙煎よりも簡単なのです(^^)/

超短時間焙煎~実験結果

昨日、2分半ほどの超短時間焙煎した2種類の珈琲豆をカッピングとペーパードリップで確認してみた。タンザニア・シンジンゴ・ウォッシュトとエチオピア・シャキッソ・ナチュラルである。

最初に豆面と断面の確認。
タンザニアの方はよく見ると少し焦げている豆があった。最初に攪拌が遅れたせいかもしれない。

超高速焙煎モカ豆

一方、割ってみると断面はこんな感じ。
超高速焙煎タンザニア豆アップ
超高速焙煎タンザニア豆断面

グラデーション焙煎にはなっておらず、均等に熱が入っていることが分かる。

エチオピアの方はこんな感じ。美しい豆面である。
超高速焙煎モカ豆2

割ってみるとこんな感じ。こちらもグラデーションはなく均一に火が通っている。
超高速焙煎モカ豆断面2


ということで、まずはカッピングで味の確認。
いつもどおり、コーヒーインストラクター試験で入手したカップを使って、7gの粉に95℃のお湯を注いで4分待つパターンを行った。

超高速焙煎カッピング準備

焙煎豆は流石にかなり硬く、Timemore C3を使って挽いたが結構引っかかる感じであった。しかし非常にいい香りがするのである。なんだか期待できる香り。
超高速焙煎コーヒー粉


ここまで浅いとブレイクしても、ほとんどクラストが浮いていない。
一応、軽く浮いている粉を取り除くと、綺麗な水色が見える。さらに4分ほど待ってからカッピング開始。

タンザニア:
  • アフリカらしい力強い柑橘系の酸味。しかし強過ぎることはなく良いバランス。美味しい。
エチオピア:
  • シャキッソ・ナチュラルには独特なハーブ感があり、個人的にはあまり好きでないのだが、なんと今回のこの焙煎では香りが素直で素晴らしく良い。これも美味しい。
要するに、意外なことに両方ともとても美味しく、しかも生豆のポテンシャルが良く引き出せているのであった。


超高速焙煎水色

次に 10g/150cc/90℃でペーパードリップをしてみた。淹れ方は粕谷バリスタの方式。すなわち、45秒蒸らして2投目、その後も45秒おきに3投目、4投目と150ccまで続けるやり方である。

超高速焙煎ドリップ準備
超高速焙煎ドリップ粉

やはり両方ともとても美味しく、ゴクゴクと両方とも飲み干してしまった!

なんなんだろう。これはノルディックローストの一種なのだろうか。
煎り上手が攪拌しやすいこと、熱伝導が良いこと、そして30gという少量焙煎であること、などがこの焙煎を可能にしているものと思われる。

焙煎の様子の動画を準備中なので、Youtubeに上げたらリンクを掲載したい。

超短時間焙煎~生豆に焦げが出来る原因を探るための実験(前半)

昨日ブログに書いたとおり、いきなり高温で短時間焙煎した場合、珈琲豆に焦げが発生するかの実験を行ってみた。

一般的な焦げの種類と定義は以下のとおりである。この中で今回のテストでは特にScorchedやFacedという現象が発生するかに注目しているので、結果が見えやすいように少し浅めで煎り止めている。

Scorched(焦げ)
 - 投入温度が高過ぎることによる初期の焦げ
 - 黒いスポットが出来るが、焙煎後は判別が難しい
 - 浅煎りでもスモーキーなフレーバーが感じられる
Tipped(欠け、割れ)
 - 熱量過剰で最も構造が弱い胚が焦げること
 - ビスケットの風味やスカンク臭、焦げ臭など
Faced (豆の表面焦げ)
 - 投入量過剰で攪拌が不十分となり、豆表面が焦げる
 - 熱量が多過ぎて、乾燥した豆の表面が焦げる

結論から先に書くと、
  • 高い投入温度で短時間焙煎したくらいでは焦げない
という結果であった。

テスト用の豆:
高温焙煎に強いとされるウォッシュト精製がタンザニア・シンジンゴ、弱いとされるナチュラル精製はエチオピア・シャキッソを50gずつ使用した。

実験手法:
煎り上手を220℃まで予熱して生豆を投入。そのまま高加熱で焙煎して、220℃に達したら排出。

プロファイルはこんな感じとなった。

こちらがウォッシュト精製で焙煎時間は2分35秒ほど。
Test1_Tanzania_Washed_30g

そしてこちらがナチュラル精製で、焙煎時間は2分30秒
Test2_Ethiopia_Natural_30g


焙煎した結果はこんな感じ。全く焦げていない!!

Test1タンザニア焙煎豆

Test2エチオピア焙煎豆


排出温度は220℃と言えば通常はミディアム・ハイ程度の焙煎度合いとなるが、これだけ短時間だと重量減は10.3%と9.3%とさすがに少なく、さてこれを何と呼んだものか。

見た目は結構飲めそうな雰囲気であるが、どうだろうか。
明日は、この豆の断面を調べたり、抽出したコーヒーの味も確かめてみたい。
もしこれで意外と美味しかったりしたら、ちょっとカルチャーショックである。

それにしても煎り上手は、長時間焙煎も可能なら、超短時間焙煎も可能な面白い道具である。

今回は証拠動画も撮ってあるので後日YouTubeにアップしたいと思う。
さらに次は超短時間深煎り焙煎にも挑戦してみたい。

Scott Raoの焙煎理論の実践比較

Scott Raoの著作、THE COFFEE ROASTER'S COMPANIONCOFFEE ROASTING - BEST PRACTICE- を読むと、全編を通して主張していることは以下の一文にまとまる。

For the vast majority of the world's roasters, achieving a steadily declining ROR and a 20%-25% DTR were revolutionary ideas that improved their average roast quality.

1) 投入から排出まで一貫してROR(温度上昇率)をスムースに下げ続けること
2) FC開始から排出までの時間(Development Time)を、全体焙煎時間の20-25%にする


彼はこれの科学的根拠は示せていないが、多数の焙煎機を経験して、何百というロースターを指導してきた結果、統計的にそうなる、と演繹法的に述べている。そして、こういったプロファイルを安定的に得るためにはどうすればよいか、ということを2冊の本に延々と記述しているわけであるが、ちょっと現実的ではないことも要求しており、実際にやろうとするとそう簡単にはいかない。Rao氏もこの理論は浅煎り~中煎りまでには当てはまるが、それ以上深い焙煎は検証できていない、と白状している。

そこで0か1かのレベルで完璧を目指すのではなく、理想形に近づけるという考えに切り替えている。特に「煎り上手」のように外気が常に流入する形状の焙煎器具では、そもそも安定した温度測定は不可能で、グラフの波打ちを頭の中でスムージングしながら、実際の豆温度を推定するしかない。

さて、今回はちょうど横浜のカフェに納めるブラジル500gを3バッチ焙煎する中で、焙煎指数は一致しているのに、明らかに感じる香りの違いが出ていたため、7gずつサンプルを取っておき、それらのプロファイルを検証してみた。

Brazil_Samples_焙煎豆

焙煎指数(重量減%)
Sample1:14.9%
Sample2:14.8%


仮定
2回目の焙煎(Sample2)の方が香りが良いと感じたわけであるが、これは1回目に発生したクラッシュ&フリックというRoRの大きな波打ちを、極力抑えるように火力調整したからだと思われる。
Rao氏の言う、DIPという操作である。

以下の2つのプロファイルを比べて頂きたい。

Brazil_500g_Sample1
Brazil_500g_Sample2


主な違いは1ハゼ開始以降である。
投入温度は同じだが、サンプル2の方が焙煎時間は少し長く、排出温度は少し低い。
これは経験から、焙煎指数を揃えるための直感的なバランス操作である。

操作内容が分かるように重ねたグラフが下記になる。
色の薄いラインがサンプル1、濃い方がサンプル2である。

Brazil_500g_Samples_重ねて解析

--------------------
焙煎の翌日、粉に挽いてカッピング評価してみた。
光の具合で写真の上では色合いに差がある様に見えるが、左右を逆に置くと明るい方が逆転することから、粉に挽いても見た目の差はないものと考える。

一方で、香りはサンプル2の方が甘く強く、サンプル1はロースト臭が少し強めに出ている

Brazil_Samples_珈琲粉


ブレイク前の様子はこんな感じ。
Brazil_Samples_Break前


ブラインドカッピングの結果

いつものようにカップの位置をグルグルと変えて、どちらのサンプルか分からないようにしたうえで、ブラインドカッピングとした。

味の差、フレーバー差は確実にあり1つは苦みが強めで微かな雑味も感じるのに対して、他方は心地よい酸味が残っておりロースト臭も少な目で、明らかにこちらがサンプル2だと思い、確認したところ、やはり正解であった。

ただしどちらの焙煎方法が正しいという話ではなく、そもそもこのブラジルはハイ~シティローストに焼いて苦みとローストの香りを意図的に強めているので、人によってはサンプル1の方が美味しいと感じるだろう。

~大事なことは、「こう焼けばこうなる」という理論が確かめられた、ということである~

Rao氏が言うように、極端なCrash&Flickは生豆の持つ繊細なフレーバーを損ねることは間違いなさそうである。しかしこのブラジルは普通に焼くと特に Crash&Flickが大きく出やすいのである。

なお、本格的にやるなら3つずつ同じ豆のサンプルを作って合計6個のカップをブラインドで全問正解できるか、で検証すべきであるが、今回はお店のものなのでそこまでは出来なかった。

そしてバッチ毎の多少のブレはあっても最終的にすべてのバッチを混ぜてしまうので均質化され、最終的には毎回同じ味に仕上がるのである。
Brazil_Samples_Blind_Cupping


同じプロファイルで焙煎した異なるコーヒーのフレーバー比較

なるべく同じ焙煎プロファイルで焙煎した異なる産地の珈琲の比較をやってみた。
今までもなんとなくは近いことはやったことがあるが、考えてみれば真面目にテスト比較したことはないことに気付いた次第。

今回は素材としては以下の2つの珈琲を選択した。実はこれらは中途半端に残っていた豆で、購入後に1年以上放置してあったため、恐らくインポートされてから2年程度は経過したPast Cropで、ウォッシュト精製の豆である。

ペルー・クナミア・オーガニック(北東部に位置するアマゾナス州)
エルサルバドル・シティオ・デ・マリア農園 (西部サンタアナ県)

さて焙煎に関しての変動要素をあまり多くするとなんだかわからなくなってしまうので、以下の要素を揃えるようにしてみた。一方で、1ハゼ開始温度と時間、トータル焙煎時間に関しては完全に揃えることは困難で、とにかく焙煎曲線が近くなるようにした結果、異なる珈琲豆であるにもかかわらず、焙煎指数はぴたりと一致した。


【共通ターゲット】
バッチ量: 300g
投入温度: 160℃
中点温度: 100℃を目標
排出温度: 215℃
その他:
・ガス圧の変更タイミングをなるべく揃える
・焙煎機は200℃以上に予熱後に少し冷やして、投入温度まで再加熱

【結果】

<エルサルバドル>
排出時間 10:50 (215.3)
DTR=20
AUC=138
重量減 84.8%

<ペルー>
焙煎時間:11:00 (214.3)
DTR=19.8
AUC=146
重量減(84.5%)

IdenticalRoastForDiffBeans

2つの曲線を重ね合わせると以下のとおりで、非常によく似たプロファイルであることが見て取れる。

ElSal-Peru-重ね合わせ

下の写真のとおり、焙煎プロファイルも焙煎指数も同じでも、豆の色は微かにエルサルバドルの方が明るく見える。もしアグトロン値だけで判断するならばエルサルバドルはミディアムでも、ペルーの方はハイローストと判断されるかもしれない

エルサル・ペルー焙煎比較


さて、これらを一日経った本日、なるべく同じ条件となるように並べて同時に抽出。
テースティングした結果は以下のとおり。

エルサル・ペルー珈琲豆比較

エルサル・ペルー抽出液比較

<エルサルバドル>
【ドライ時のアロマ】 アーシー、キャラメル
【フレーバー】 チョコレート、スィートオレンジ、アップル、コリアンダー
【マウスフィール】 シルキーで軽やかな酸が口中に長く続く
【オーバーオール】 甘くジューシーで美味しい

<ペルー>
【ドライ時のアロマ】 ロースト・アーモンドやバニラの甘い香りを感じる
【フレーバー】 ヌガー、ダークチョコ、アーシー
【マウスフィール】 重厚な酸、重ためのマウスフィール、渋み
【オーバーオール】 コク、酸味、苦味、渋みなど飲みごたえのある味

両方とも良いバランスの焙煎度合いで、総合的にはかなりレベルが高い味であったが、エルサルバドルの方は少しお湯で薄めると非常に飲みやすく美味しいコーヒーとなった一方で、ペルーの方は時間が経っているせいか微かな枯れ臭を感じる。これはペルーの中でもコロンビアに近いエリアのコーヒーであり、実際、典型的コロンビアのコーヒーと近しい重厚さを感じる味であった。

焙煎教室でもこのレベルの比較がやれたら面白いかもしれない。

Baked フレーバーについて

現在、余命僅かの実父の介護のため実家に滞在しており、当面その状況が断続的に継続する予定である。ということで現在、手元にある焙煎機は持ち込んだ「煎り上手」と Sandbox Smart Roasterのみ。もちろん珈琲器具、生豆の種類も限られているが、出来ることが少ない分、返って集中できることもあるかとポジティブに考えたいが、さて。

本日はSandboxを使って、コロンビア・ボルカニックという水洗式の豆を中深煎りに焙煎しようとした。ところが、プロファイルをいじり過ぎたからか、投入温度は十分に高かったのに、最初あまり温度が上がらず、途中で仕方なしに火力を少し上げたが最後までペースに乗れず、結果的に非常にだらだらとした焙煎になってしまった。具体的には以下のプロファイルを見て頂きたい。これは酷いね。
BakedProfile


早速これを試飲してみたら、予想どおり見事な Baked フレーバーとなっていた。
そもそも焙煎豆を見ると、Scorched豆がパラパラと混じっている。
コロンビア・ボルカニック・スコーチト

Scorched豆を取り除いたら一見、綺麗なハイローストだが、焙煎豆の香りを嗅ぐだけでもBakedフレーバーが出ていることがはっきりとわかる。

コロンビア・ボルカニック全体


ここで、折角なので Bakedの要因について少し考察してみたい。
下記はUCCの焙煎セミナーで教えている焙煎欠点の一部であり、これが一般的な解釈であると思われる。上記の写真を改めて見ると表面が焦げており、下記の定義の中では Facedに相当するか。


Baked(低温長時間焙煎)
 - 見た目の色が同様でも、カラメル化が不十分
 - 風味が抜けたポップコーンやシリアルのような感じ

Scorched(焦げ)
 - 投入温度が高過ぎることによる初期の焦げ
 - 黒いスポットが出来るが、焙煎後は判別が難しい
 - 浅煎りでもスモーキーなフレーバーが感じられる
 
Tipped(欠け、割れ)
 - 熱量過剰で最も構造が弱い胚が焦げること
 - ビスケットの風味やスカンク臭、焦げ臭など
 
Faced (豆の表面焦げ)
 - 投入量過剰で攪拌が不十分となり、豆表面が焦げる
 - 熱量が多過ぎて、乾燥した豆の表面が焦げる

Facedの要因は2つ書かれているが、今回の生豆投入量は通常と同じ100gであり、攪拌不十分というのは当たらない。では「熱量が多過ぎて」はどうか、というとこれも当たらない。むしろ熱が足りないから、こんなに温度上昇に時間がかかってしまった

一方、Scorchedの要因を見ると、「投入温度が高過ぎる」となっているが、これも当たらない。210℃での投入はごく普通で、通常はこれで焦げることはない。

そもそもRoRが最初から10度程度しかなく、そこから徐々に火力が下がっていったので、普通に考えたら焦げるはずはない。豆の排出時の温度も198℃とかなり低い。むしろ普通なら生焼けの温度であるが、20分という長時間焙煎によりしっかり bakeされて、実は豆を取り出す瞬間には2ハゼすら起きていた。

このことから考えられることは、豆全体の塊としての平均温度は低くても、一部の豆の表面は焙煎ドラムの接触温度に近くなっており、それが2ハゼを起こす220℃を超えていた、ということであろう。また焦げた理由は、いわゆる低温火傷と考えると分かり易い。

そしてこの場合、抽出したコーヒーのフレーバーは、とてもスモーキーでロースト臭の強いものになる。Scott Rao的には最もやってはいけない焙煎ということになるが、世の中にはこのような味を好む人も少なからずいるようなので、まったく珈琲焙煎は奥が深い。


金網vsセラミック網

焙煎に使うガスであるが、都市ガスで最高1700-1900℃、LPGで1900℃に達するされているが、実際は平均すると1000℃程度だそうである。

一方で、アルミニウムの融点は660℃、鉄が1536℃なので、鉄製の網は耐えても煎り上手のアルミは溶けてしまいそうであるが、実際はビクともしていない

コーヒー焙煎には強火を使うが、一番厳しいのは空で予熱しているときだろう。しかも僕は、煎り上手に厚手のアルミ箔を折ったフタを取付て、予熱時には本体を裏返して加熱したりもするので、アルミ箔に直接強火が当たるが全く溶けも変形もしていない。

これはアルミの熱伝導率の高さが効いているからだろう。火が直接当たる部分が熱くなっても即座に周りに熱を逃がして、結局焙煎中は全体的に偏りない温度になっていると思われる。

また、挿し込んでいる熱電対温度計の先端は宙に浮いているが、安定してきれいに温度上昇していく。これも考察すると、実は熱電対の先端が珈琲豆が接することで温度を示しているというよりは、熱電対を覆う円筒金属ケース全体が煎り上手と一体化してほぼ同じ温度になっていると考えられる。

温度計の接続コードは木製の柄に開けたトンネルに通してあり、熱電対の金属ケースは厚手のアルミ箔を押し固めて、煎り上手本体の接続部に固定してある。素材がアルミ同士なので、滞りなく本体からの熱が熱電対に伝わるものと思われる。

ここでちょっと妙なアナロジーを考えてしまった。

人間の匂いセンサーは鼻の奥にあるが、実は同じセンサーに辿り着く道は鼻孔からのストレートと、もう一つは口腔から遡る道がある。いわゆる鼻先香と口中香である。この2つの道を通って辿り着いた芳香成分を、匂いセンサーが感じ取るわけだが、煎り上手の熱電対も珈琲豆や容器内の熱い空気からのストレートな熱と、本体を伝わって後ろからくる伝導熱の2つの力で温度表示している、ということである。

話が長くなってしまった。

焙煎コントロールに必須の豆温度を知るためには、熱電対温度計に頼るしかないが、構造上、熱電対の先端を珈琲豆の塊に常時沈めておくことは困難で、結局、上記のごとく、様々な要素がミックスされた平均温度のようなものをみながら焙煎するしかない、ということである。

幸いにして、冒頭に書いたとおりアルミは熱伝導性がとても良いため、煎り上手の小さな本体はひとたび全体が予熱されれれば、熱電対温度計も同じ温度で、さらに珈琲豆の投入後は、中点を過ぎたところで珈琲豆も一体化して、結局はさほど実際の豆温度と温度計の表示には開きがないと考えて良いと思う次第。

となると、他に考察すべきことは、いかに火力源からの熱を効率よく豆の内部にまで伝えて珈琲豆(1粒)全体をなるべく同じ温度にして、さらに全部の珈琲豆を同じ温度にキープしながら、適切な温度上昇率(RoR)で温度上昇させていくか、ということになる。

そこでどういう形が有効かを考えて、いろいろな金網やセラミック網を試してきた。
色々な金網、セラミック網



熱の伝導は、金網では①+②で、セラミック網ではほぼ①のみとなる。

  ①火力源 ⇒ 金網 ⇒ 煎り上手の底
  ②火力源 ⇒ 煎り上手の底

端的に言って、セラミック網より金網の方が使いやすい。セラミック網は時間をかけてゆっくりと焙煎するには便利だが、予熱だけでも7,8分もかかるし、何しろ瞬発力がないため結局コントロールしにくい。

そんなか、先日見つけたのがこんなセラミック網で、これは珍しく底部の鉄板の多いがないため、①+②タイプの加熱方式である。本日早速これを使って焙煎してみたところ、やはり火から遠くなるせいか、使い勝手は金網と普通のセラミック網の中間であった。

直接火が当たるセラミック網

下記のプロファイルは意図したものではなく、勝手に1ハゼ直前に加熱が失速してしまい、瞬発力のないセラミック網ではリカバリに時間がかかり、長くフラットな部分が生じてしまった。ついでにいうと、このような加熱をするとほとんど1ハゼが起きずに200℃を超えていく。これはこれで一つ、小回りの利く煎り上手ならではの面い焙煎方法ではある。
AzoteaByCeramicGrill


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ということで使い勝手では金網に軍配が上がるが、問題は耐久性である。アルミほど熱伝導性がよくないためか、焙煎中、炎が当たる部分だけ真っ赤になり、他の部分は暗い色のままなので、百均の網のような細い針金で出来た網では10回と使わないうちに網が切れて使えなくなってしまう。現在、愛用しているものはホルモン焼き用という頑丈なもので、こちらは既に30回以上は使っているが、今のところ破損はない。
ホルモン焼き網

ただし中心部は熱で多少変形している。
ホルモン焼き網


最後の考察は金網なし、すなわち②のみの加熱方式である。本日それも改めてやってみた。
いつも金網を使っているので少し違和感があったが、結論としては、金網があるときとコントロール性にさほど違いはなかった。敢えて言うならば、金網があれば予熱時など煎り上手を金網の上に置くことも可能であるが、コンロだけだと最初から最後までずっと手に持っていなければならない、ということくらいか。

う~む、随分と色んな網を買っては試してきたが、結局要らないのか!?
こうして僕の煎り上手を使った実験はまだまだ続く。

煎り上手でノルディック・ローストにチャレンジ

先日のブログに書いたとおり、僕が通常、13分程度で焙煎しているブルンジの水洗式の生豆を、3つの焙煎フェーズのバランスとDrop温度をなるべく揃えたまま8分に縮小して焙煎するテストをやった。こちらは少し無理があったのか、数日経ってから飲んでみてもやはり芯残りが感じられて、特に冷めてくるとだんだん飲むのが辛くなってくるエグ味のようなものがある。

一方で、短時間焙煎で有名なノルディック・ローストという分野がある。Scott RaoのCoffee Roasting Best Practiceを読んでいたら下記の説明があったので、同じブルンジの生豆を題材に早速やってみた。

Many roasters from the Nordic countries prefer to roast batches lighly and quickly, with relatively high, flat RORs that crash gently just before discharge of the beans.

彼は、RoRの曲線、つまり温度上昇率が急に下がる(Crashする)と香りが飛んで段ボール紙のようなフレーバー(baked flavor)になると言って嫌っているが、Nordic roastだけは例外で、RoRの値をずっと高いままキープして短時間で焙煎し、最後に軽くクラッシュさせて直ぐにDropする、と説明している。

ということで、いつものように煎り上手を使って、RoRを20程度に保つことを目標に6分16秒という短時間で焙煎してみた。プロファイルはこのような曲線になった。予定どおりRoRを高くキープできている。

BurundiProfile4-Nordic-6min
ブルンジ・ノルディックローストby煎り上手


粉に挽くとこんな感じ。比較のため先日の8分短縮ローストの豆と同時にペーパードリップで淹れて試飲してみた。色的には微かにノルディックの方が浅いように見えるが、焙煎指数はほぼ同じである。
ブルンジ・ノルディック・粉の色比較


焙煎直後から良い香りがして期待できるものであったが、これを翌日、2日目と試飲してみたところ、確かに心地よい柑橘系の酸味がでている。明らかに先回の8分ローストと異なり、かなりの浅煎りであるが、最後まで美味しく飲めることが確認できた。

参考までに 8分短縮ローストを2回分、13分の通常ローストのプロファイルも載せておく。

BurundiProfile1-8min
BurundiProfile2-8min
BurundiProfile3-13min


さて、自分ではそう感じても、やはり思い込みが混じってはいけないので、この4種類の豆を僕の焙煎仲間の一人に送ってブラインドカッピングして頂くことにした。
ブルンジ・ノルディック・ブラインドカップ用サンプル

見た目ではまず判別不能である。彼がカッピングで見事ノルディックローストの豆を正解してくれれば、Scott Raoの理論の正しさが、少し裏付けが出来る。彼は、コーヒーのフレーバーはトータルの焙煎時間よりもRoRのカーブで大きく変わる、と主張している。結果が楽しみである。

なお、ノルディック・ローストに関しては2年近く前にもブログに書いており、読み返してみると、偶然にもこの時にもブルンジ産の豆を使っていたことに気が付いた。
 
<追記:3/14 23:21>
夜ちょっと思い立って、温存していたエチオピア・ゲシャ・ウォッシュトG1をノルディックローストにしてみた。この豆は普通に浅めに焙煎すると、期待ほど明白なゲイシャフレーバーは発せず、なんとなくそのまま1年ほど寝かせておいたものであるが、さてノルディックローストでよみがえるか!  プロファイルはこんな感じである。

粒揃いなせいか、1ハゼが一斉に元気よく起きる豆で、その分、気化熱が奪われるのか、頑張ってRoRを20くらいに高く保とうとしたが、最後で少し下がってしまった。その結果、焙煎時間はトータルで7分41秒となった。

1ハゼ開始から1分10秒で煎り止めたので、通常よりはやはりノルディック・ロースト寄りの焙煎になったと思う。さて実際に薫り高く焙煎出来ているかは明日のお楽しみ。

EthiopiaGeshaWashed_NordicRoast

バッチが小さいときの焙煎時間短縮の可能性の検証

Scott RaoのCoffee Roaster's Companionの40ページに以下の記述がある。

For any given machine, smaller batches requires less time to achieve adequte development!

曰く、どんな焙煎機であっても、バッチ量が少なければ短時間で目的の焙煎度にすることが出来る、ということである。火力的にはそのとおりであろうが、さてフレーバーは同じになるのか。

そこで、煎り上手のように70gと小さいバッチの場合にこれを当てはめるとどうなるのかを検証してみた。テストに使った焙煎豆はいつもの水洗式ブルンジのニュークロップである。この豆は火が入りにくいが、浅煎りから深煎りまで様々な顔を見せて、それぞれの焙煎度で美味しさがある。

今回はリファレンスとして、5日前に焙煎したDTR20%のシナモンローストの豆を使うことにした。
仮にこれを Take0と呼ぶ。このときは僕のメイン機(最大バッチ600g)で焼くときと同じ程度、13分ほどかけて焙煎したが、今回は同じ焙煎度を8分に縮めることにした。比率にして1.65倍の早焼きである。Take1,2が約8分、Take3は再び13分で焙煎したが、結果を表にしたものが下記である。

結論から書くと、この豆を8分で浅煎りにするのは無理があった。酸味の質が悪くキツイ味で、特に冷めてくるとちょっと飲めないレベルであった。一方で13分で焙煎したシナモンローストは、ウットリするほど美味しい酸味が出ており、この差は非常に大きい。ちなみにTake3は焙煎直後であるが、既に美味しく飲めるものであった。

ブルンジ短時間焙煎の比較

今回は焙煎指数的を揃えることにフォーカスしたのと、外焙煎で風が強かったことで、焙煎プロファイルは少し乱れたが、焙煎指数を見ると、シナモンローストレベルにきっちりと揃った。

ちなみに、焙煎の3つのフェーズの比率を保ちながら、トータル時間を13分から8分に短縮するために、あらかじめ下記のようなプロファイル目標を作って、それを見ながら焙煎した。
ブルンジ焙煎プロファイル・ターゲット


13分のプロファイルを並べたのが下記である。(Take0, Take3)
Burundi_13分浅煎り

そしてこちらが8分で焼いたときのもの (Take1, Take2)
Burundi_8分浅煎り

トータル時間以外は、排出温度、焙煎時間、焙煎指数などがよく一致している Take3にTake2を重ねたものが下記である。

Burundi_Cinnamon_8min_13min_211℃比較


<8分焙煎した豆の様子> きつい酸味
Burundi8分焙煎豆



<13分で焙煎した豆の様子> 心地よい酸味
Burundi13分焙煎豆



味の比較は、同一条件の元、同時にペーパードリップ抽出(CBR=15)することで確認した。
Burundi_8分浅煎り比較

ロガーの有無による焙煎の差を実感!

昨日焼いたブラインド焙煎(ロガー無しでの煎り上手)の珈琲を淹れてみた。エチオピア・イルガチェフェ・ハルスケ・ナチュラルの方は前のブログに追記したとおり、明らかに香りは少ないが、全体的には破綻しておらず、ただおとなしい味に仕上がっている。しかしやはりArtisanを使って焼いたいつものハルスケの方が、ずっと美味しい。 本日念のために、再度、ロガー付きの煎り上手で同じくらいの焙煎度に焼いた豆を用意したので、明日実際に比べてみようと思う。2つのプロファイルを上下に並べると、なぜロガーなしで焙煎した方の香りが少ないかが明確に分かる。
ロガー有無の比較_エチオピア


次にブラインド焙煎のウガンダを飲んでみたら、こちらはちょっと衝撃的なぐらいに味がおかしかった。この珈琲はどの焙煎度で焼いても美味しく、買って頂いたお客さんからもいつも大好評なのだが、これは何かが違う。ロースト臭が目立ちエグ味があるため、いつもの美味しさが感じられない

分析してみると、どうやら水抜き時間が短すぎたことが原因ではないかと思われる。この豆はアフリカ高地産のウォッシュト精製のニュークロップで、豆の密度が高く、火が入りにくいのである。

こちらも本日、ロガー付きの煎り上手で丁寧に焼いたものを用意したので明日、実際に飲み比べてみようと思う。

ロガー有無のプロファイルを並べるとこんな感じである。

ロガー有無の比較_ウガンダ


豆の様子を比べると、ロガー付きで焙煎したものの方が若干赤味を帯びていて、飲む前から美味しそうに見える。
ウガンダ焙煎豆比較


結果的に、思った以上にロガーの効果があることを確認出来て、今回のクラウドファンディングのプロジェクトの有効性にさらに自信が持てたことは収穫である。

追記: 2022/03/02
つい報告しそびれていたが、その後このブランド焙煎とロガー焙煎の焙煎豆を同じように挽いて、同時に同じCBRとタイミングで抽出したものをブラインドカッピングしてみた。

Blind焙煎比較(ウガンダ)

カップの裏に正解のシールを貼っておき、目をつぶって2つのカップをグルグルと回しては飲み比べてみたが、10回くらいやっても100%正解できた。

そもそもウガンダの方はロガー付きが少し浅めだったので簡単すぎたが、エチオピア・ナチュラルはほぼ同じ焙煎レベルで恐らく普通に飲むと大半の人が気が付かないレベルの差であった。しかし注意深く飲むと、香りの強さ、明るさなどに明らかな差があり、区別が出来る。ブラインド焙煎の方は、ハルスケの持つ vibrantな華やかさが大人しくなっている。これはプロファイルの示す通りの結果である。

煎り上手でのブラインド焙煎チャレンジ

本日はちょっと趣向を変えて、Artisanは繋いでいるけれども、画面を見ないで焙煎する実験をしてみた。下の写真のようにパソコンは閉じてあり、要するに、ロガーなしの通常の煎り上手で焙煎した場合、実際にはどういうプロファイルを描いているのか、というわけである。
ブラインド焙煎中


焙煎には1回目がウガンダのウォッシュト精製、2回目がエチオピアのナチュラル精製を使った。

まずウガンダの方はこんな感じである。
Uganda_Blind_Roast

意外なほど綺麗なラインを描けている。RoRが失速してゼロ以下になったりすることもなく、振動も風のある中で焙煎した割に少なく、3つのPhaseのバランスも悪くない。これならロガーを見ながら焙煎したのとほとんど変わらない。やはり毎日のようにロガーを繋いで焙煎している成果だろう。

ちなみにタイマーだけは使用して、コンロの火からの距離はほぼ一定に保って振っていたが、豆の挙動だけで、1ハゼ開始のタイミングも実際に始まる前に感じられた。焙煎は2ハゼ直前で止めて、出来上がった焙煎豆はこんな感じ。まずまずのハイローストである。
ウガンダ・ブラインド焙煎豆


次にエチオピア・ナチュラルを同じ要領で焙煎したが、こちらはちょっと様子が違った。まず火の入りが良過ぎて、5分くらい経過したところで既に1ハゼの予兆が出てきてしまったので、少し火から遠ざけたり勘で調整する必要があった。

その結果はグラフに如実に出ており、一度高くなり過ぎたRoRのラインが7分辺りで失速して、ゼロかマイナス値になってしまっている。また、メイラードのフェーズが短すぎるため香りが少な目になったと思われる。

Harusuke_Blind_Roast

焙煎豆の様子はこんな感じ。なんだか覇気がない雰囲気を感じるのは気のせいだろうか。こちらも2ハゼに少し入った辺りで煎り止めしておりハイローストのはずだが、その割に豆の色が少し薄い。
ハルスケ・ブラインド焙煎豆


以前から、火が入りやすいナチュラル精製豆の方がRoRのラインが大きく振動しやすいと感じていたが、今回もそのような結果となった。

なお、僕は煎り上手に相当に習熟しているから、このレベルに納まったが、もし初心者がブライドで焙煎したなら、もっととんでもないプロファイルを描くことは間違いないだろう。

追記:2022/02/24
昨日焼いたエチオピア・ハルスケ・ナチュラルを今朝、挽いてみたところ、もうこの時点で明確に分かるほどいつもの焙煎よりも香りが少ない。そして普段どおりペーパードリップしてみると、やはり香りが弱めのコーヒーとなった。ただモカのナチュラル豆は元々の香りがとても強いので、弱まった分、飲みやすい感もあり、これはこれで美味しい(^^;

いつも思っていることであるが、「香りを最大限に引き出すことが常に正解」ではない。やはり飲む人の好みで、意図的に香りに強弱をつけた焙煎をすることも大事である。そしてそのためには、やはり自宅でもコントロール焙煎である! 探求の道はまだまだ先が長い。

煎り上手での Identical Roast

安価な簡易焙煎機や焙煎道具でたぶん一番難しいことは同じ焙煎の再現である。
例えば手網でも上手くやればプロが本格的焙煎機を使って焙煎したものと遜色のない仕上がりになることもあるが、それを毎回再現せよ、と言われると困ってしまう。

では、僕が今、テーマとして追及している、煎り上手+Artisanロガーではどうか、ということで早速やってみた。

今回は使った珈琲豆は、スペシャルティではなく、コモディティ豆のコロンビアである。なぜこの豆かというと、単にSANDBOX焙煎機を購入したときの付録豆が放置されていたからである。
コロンビア・ナリーニョ

煎り上手での焙煎はいつものようにログハウスのベランダで行ったが、今日もかなり風が強く、炎が揺らぐのと、煎り上手を火から外した途端に風で急速に冷えるため、RoRの青いラインはかなり乱れてしまった。

しかし兎にも角にも、1回目のハイロースト焙煎の曲線を、2回目はなるべくなぞる様に焙煎してみた。
グラフで見ると下記のようになり、そもそも中点までの時間が1分近く開いてしまったため、DE(ドライエンド)までのラインは全く一致していない。しかし徐々に同じラインに乗せて、最終的にはかなり近い数値に揃えることが出来た。

煎り上手でIdentical_Roast_Challenge
<下のグラフは2つを重ねたもの>

数値は以下のとおり。

煎り上手でのIdenticalRoast(数値比較)


どうであろうか。
歩留まりから見ても、たぶんほぼ完ぺきなIdentical Roastと言えるだろう。

さて、次はこの豆を抽出で確かめたわけであるが、見た目はなぜだかTake2の方が微かに赤味がかって見え、こちらの方が美味しそうに感じた。粉にしてみるとさらに微妙であるが、やはり少し色が違うようにも見える。Take2の粉の方が少し明るい。Take1は最初の温度上昇に、もたついてしまったのが悪影響したのかもしれない。
煎り上手でのIdenticalRoast(コロンビア)

抽出方法はなるべく公平にするため、クレバードリッパーを使って浸漬式とした。
煎り上手でのIdenticalRoast(抽出)

CBR=15、湯温=90℃、浸漬時間2分として、熱いときと冷めたときを確認してみたところ、熱いときはTake2の方が少し酸味が立って美味しく感じTake1はフラットな味がした。しかし冷めてくるとその差はもう感じなくなり、正直、違いは全く分からなくなってしまった。 

つまり、煎り上手でIdentical Roastを行う実験としては成功 したと言える。

追記:
久し振りに焙煎したコモディティ豆は、ちゃんと焙煎したにも拘わらず、全般にコンビニ・コーヒーのようなノペっとした味がした。もう何か月もSpecialty級以上のコーヒーしか飲んでいなかったので、後口の悪さが逆に新鮮であった (^^)

予熱の効果(ウガンダ浅煎り)

Scott Rao氏の本を読むと、焙煎の最初にある程度の熱量を一気に入れて、豆の表面が乾燥する前、生豆内部の自由水が残っているうちに、豆の芯まで熱を通してしまうことが重要と書いてある。

ということで、それを確認してみたく、煎り上手を使って予熱なし、あり、の二通りの焙煎をやってみた。予熱の有無以外はなるべく同じ条件になるように無理やりやっているため、RORのカーブは結構乱れている。これは致し方ない。

プロファイルはこんな感じである。予熱の効果(ウガンダ浅煎り)

重ねたデータを見ると、焙煎最初の2分くらいのカーブ以外は、かなりきっちり同じラインを描いていることが分かるかと思う。薄いライン(灰色)が予熱あり、黒のラインが予熱なしのカーブである。
ウガンダ(予熱有無重ね合わせ)DTR24

データ的にも、見た目的にもまず区別できない程度に焙煎できた。

予熱の効果(比較データ)

さて、これを24時間置いて、本日カッピングしてみた。
同じ検体を2カップずつ、合計4カップを作り、それをブラインドで確認したところ、とても微妙な差ではあるが、ちゃんと区別は出来た。

結論としては、予熱なし焙煎の方も、想定していたような芯残りは感じられず、ただ酸味がマイルドになっていた。一方、予熱を入れた方は、くっきりとした酸味が立っており、まぁこれも理論通りの結果ではある。正直、どちらも美味しく感じて、特に優劣は付けれなかったが、珈琲豆の持っているポテンシャルを最大限に引き出す、という意味ではやはり予熱を入れた方が良い。

予熱の効果(カッピング)

ちなみに、今回の実験は煎り上手のように急加熱もスローダウンも自由自在に出来る焙煎器だからこそ出来た。普通のドラム式焙煎機では熱容量が大きいため、予熱なしで焙煎を始めると、必然的に長時間焙煎となるため、この場合は全く異なる味になるはずである。

煎り上手・霧吹き焙煎(ハゼなし焙煎に挑戦)

センチュリーフレンドさんが取り扱っている PRO1という韓国製の焙煎機はとてもユニークで、熱源がハロゲンランプと珍しいだけでなく、水タンクが右サイドについている。焙煎中、ハゼ直前の焙煎豆に霧吹き水をかけて一瞬温度を落とすことで、ハゼを起こすことなく、優しい味わいに焙煎する、というお話。

本日はこれを煎り上手で真似てみるテストをしてみた。

なおこれは1ハゼを止めるためのテストなので、時間節約もあり、温度上昇はかなり早くして水抜きを2,3分で終えてしまっているが、この点はもしかするともう少し時間を取った方が良かったかもしれない。
煎り上手・霧吹きテスト
<百均の霧吹きに浄水を入れたものを用意>

1回目:
一ハゼが起きる200℃の数度手前で霧吹きをジュッとかけて温度を下げた後は、そのまま加熱し続けてみた。結構しっかりかけたので当然、Artisanでみてもしっかりと温度は下がっているが、200℃くらいに戻ったところで普通にバチバチと1ハゼを起こし、まぁその後は普通にミディアムローストに仕上がっておしまい。これだけで味が異なるのか分からないが、取りあえずこのやり方ではハゼは止めれなかった。
モカベアー式ハゼなし焙煎チャレンジ1
<バサっと下がっている部分が霧吹きを掛けた個所>

ブルンジ・1回霧吹き
<普通のミディアムローストの豆面となった>

2回目:
やはり1ハゼが起きる数度手前で1回目の霧吹き、そして一度下がった豆温度が再び1ハゼ温度に近づいたらまた一吹き、という具合に、200℃に達しないように4回ほど霧吹きを掛けて、結局強引にハゼを起こさないまま排出。

これもちょっと違うかな、と思うが、見た目はなんだか先日、センチュリーフレンドで購入したグァテマラの中浅煎りの豆面と似ているような気もする。まぁ、気がする、というレベルではあるが、センターカット側に黒い皺が残った、独特のつや消しっぽい豆面という意味である。
モカベアー式ハゼなし焙煎2
<最後まで200℃を超えさせないまま排出>

ブルンジ・霧吹き焙煎
<豆面はこんな感じ、水を掛けたせいか重量減は13%と小さい>

こんな特殊な焙煎が簡単に出来てしまうのが、煎り上手のような焙煎器の醍醐味である。特にArtisanを接続しておけば、どんなことが起きているか数値とグラフで見れるので実験にはもってこいである。

先日、センチュリーフレンドの坂下氏にお会いした際にも、坂下氏がこの焙煎機がどのようなプロファイルで焙煎しているのか見てみたい、とおっしゃっていたが、実際非常に興味深い。プロファイルさえみれれば、もっとリアルな動きを試せるのだが。


煎り上手でどこまでCR600の焙煎に迫れるか?

現在、煎り上手+Artisanを使った焙煎教室プロジェクトをクラウドファンディングに出そうと準備をしていることもあり、連日、煎り上手を使った色んなテストを行っている。本日は一昨日、僕のメイン機 CR600で焙煎したブラジルの豆を、煎り上手を使って全く同じように焼くにはどうすればよいか、ということで実験してみた。
煎り上手でCR600を再現様子


焙煎度合いを同じにするために考慮すべき点としては以下が考えられる。

①同じ排出温度で取り出す
②一ハゼから排出までの時間を揃える
③AUC(Dry End/Yellow Pointから排出までに与えた熱量)を揃える
④焼き色を揃える
⑤プロファイルをなるべく同じラインに乗るようにして、同じ時点(温度 or 時間)で排出

焙煎道具が全く異なり、容量の違い、蓄熱量の違いも大きく、まず⑤は無理、④も煎り上手の形状から豆色を直接見るには暗いので、これも除外。理想は①②③が全て揃うことであるが、それはなかなか難しいので、取り合えず①を採用しようとまず考えた。

しかしながら、そもそも1ハゼ開始温度に約3-4度の差があり、煎り上手の方がいつも高めの温度でハゼが開始する。 そのことも考慮すると、煎り上手でCR600と同じ温度で排出すると、そのオフセット分だけ実際には低い温度で排出することになる。実際やってみたら、明らかに焼きが浅く、焙煎指数(Weight Loss)で見てもCR600の-15%に対して-13%程度となっていた。
煎り上手で同じ焙煎比較
<見た目も豆面もまずまずそっくり>

そこで4℃ほど先まで進めてみた結果がこれ。なかなかのもので、見た目はほぼ同じ。焙煎指数もほぼ完全一致、となり、どうやら再現出来たようである。


こちらがCR600での焙煎した時のプロファイル(バッチ量:500g)
ClassicoHR_by_CR600

こちらが煎り上手での焙煎した時のプロファイル(バッチ量:70g)
ClassicoHR_by_IriJozu


二つのプロファイルを並べると確かに似ているかな。

ブラジル焙煎CR600vs煎り上手


あとは味の方であるが、今回使ったブラジルはいつもの横浜のカフェへの納品用であるため、比較テストに使った豆はそっと袋に戻しておいた。

1ハゼは起こす豆と起こさない豆があるという説について

3粒の珈琲豆

これは約223℃まで焙煎を進めたグアテマラの豆である。
前からやってみたいと思っていた実験に、珈琲豆を2,3粒ずつ何度も焙煎しては、1ハゼが起きる豆と起きない豆に分けてその比率を調べたい、というものがあった。

今日はいつものように、使い勝手のテストも兼ねて、煎り上手+Artisanを使って、海の向こうコーヒーさんから取り寄せたサンプル豆(インドネシア・ワハナ農園ナチュラルとミャンマーのマイクロロット・レッドハニー)などを焙煎した。その後、ちょっと思いつきで、中途半端に残っていた先日の丸紅さんのグアテマラ豆を、3粒だけまだ熱い煎り上手に放り込んでみた。

そして普通に加熱していくと、3粒だから早くハゼが来るかと思ったが、そんなことはなく、全く正確に200℃まで加熱したとき、パチ、パチ、パチとはっきり連続音が3回聞こえた。どうやら、3粒とも1ハゼを起こしたようである。もちろん、これを持って、全てのコーヒー豆は1ハゼを起こすとは言わないが、少なくともハゼを起こす豆の方が、起こさない豆よりもずっと多いのかな、と思った次第。

ちなみにそのまま2ハゼまで起こそうと加熱し続けたら、220℃に到達する前に、なんだか1ハゼっぽいようなハゼ音が断続的に10回以上聞こえた。そして、2ハゼ温度になっても、ピチピチ音は生じず、そのまま静かに炭化してしまった。うーむ、どういうことかな。

今度は7粒くらいで実験してみようと思う。

焙煎プロファイル違いのカッピング(丸紅グァテマラ編)

さて、昨日焙煎した4種類+リファレンスとしたセンチュリーフレンド坂下氏焙煎のグァテマラ・ウェウェテナンゴ(丸紅)のカッピングである。いつものように、プラカップにステッカーを貼ったものを用意して、それを裏返してシャッフルすることでブラインド・カッピングとした。手法はJ.C.Q.A.方式で、7gの珈琲粉に対してカップ一杯すりきり(約135cc)の熱湯(95℃)を注いで4分後にブレイク。さらに少し冷めるまで2,3分おいてからカッピング開始。
グァテマラ5種カッピング準備
この時点ではまだ上の段が右から①②③、下の段が右から④⑤と並んでいる。
①センチュリーフレンド坂下氏によるミディアム・ロースト(以下、SFの豆)
②焙煎度 84.4%, DTR=19.8%, AUC=230C*min
③焙煎度 84.3%, DTR=24.9%  AUC=308C*min
④焙煎度 83.1%, DTR=30.3%  AUC=333C*min
⑤焙煎度 80.9%, DTR=38.6%  AUC=419C*min

グァテマラ5種カッピング準備2
粉に挽くとこんな感じ。
④と⑤は色が異なるのですぐに区別できるが、①②③は色だけでは判別不能。

グァテマラ5種カッピング準備3
お湯を注いでからは、シャッフルしてもうどれがどれだか分からない、、といいながら
やはり④と⑤は既に色だけでも異なる。
特に⑤はかけ離れて深い焙煎なので、もう立ち昇る匂いからして全く異なる。

さて結果である。

結論から言うと、やはり同じ焙煎度合いの①②③は非常に似たフレーバーであったが、慎重にカッピングすると、②の豆が一番、柑橘系の酸味が感じられた。実際この豆は投入カロリーが一番少ない。

一方、①と③は非常に似ていたが、これまた集中してカッピングすると、SFの豆の方がわずかに全体にマイルドな味わいであった。DTR=25%の焙煎は一つの理想形であり、SFの豆はそこに近いのか。

一方、興味深かったのは、焙煎度合いは一段上のハイロースト・レベルはずの④の豆が、普通に飲むと、焙煎度合いはミディアムだけど投入カロリーが近い③の豆とかなり味が近いと感じたことであった。AUCの数値と出来上がったコーヒーのフレーバーは、やはりかなり相関があるのかもしれない。

ちなみにフルシティまで焙煎した⑤の豆は当たり前ながら全く別フレーバーのコーヒーであり、これはこれで大変美味しい。大半の日本人が好む "The Coffee" という感じである。



生豆の水洗いの効果検証(カッピング編)

→ 訂正 (2021/12/9)
内容更新しました!

まず今回使用した珈琲豆であるが、両方ともウォッシュト精製のニュークロップで、ブルンジがレッドブルボン種、ウガンダがSL28/34である。SL28はブルボン種の突然変異、選抜種なので、まぁフレーバーが似ていても不思議はない。国の位置関係は下記の図のとおりで、ウガンダは赤道直下、ブルンジはルワンダを挟んでほんの少し北側に位置しており、確証はないが気候やテロワール的に似ていてもやはり不思議はない。

Map_of_Uganda_and_neighboring_countries

ということでこの二つを同じ焙煎度に煎ってみたわけだが、正直これほどよく似た味になるとは思わなかった。自分でも3回カッピングして、ウガンダ・ブルンジを正しく区別できたのは2回目だけ、水洗いの有無に至っては、毎回違う形で間違えてしまった。

一方、今回協力して頂いた僕の焙煎仲間の3名のカッピング結果であるが、こちらもバラバラ、誰も全問正解はなし。一番好みの豆についても意見は割れた。ただし普段、水洗い焙煎をしているY氏のみ水洗いをした・しない、の区別に関しては全問正解してくれた。

→ 訂正 (2021/12/9)
協力してくれた3名のうち、普段から手網や手鍋で水洗い焙煎をされている2名は、水洗いしたかどうか、についてピタリと正解してくれました。ただ微妙な差であったとも言っています。

水洗い比較焙煎豆
水洗い比較珈琲粉
水洗い比較・水色

自分も含めて4名、皆それなりに普段から正しい珈琲を飲んでおり、一般の方よりはずっと珈琲に精通していると自負している。僕自身コーヒーインストラクター1級に合格するために、かなり微妙な違いが分かるまでにカッピング訓練を積んできた。しかしその4名をもってしても、ここまで差がはっきりとしないとはちょっと想定していなかった。

今回は通常は豆の性格が明確に出やすいミディアム・ローストにして比べたが、深く煎るとどうなるか、ニュークロップではなく、カレントやパーストクロップではどうか。はたまたナチュラル精製や昨今流行りのアナエロビックのように発酵香の強い豆ではどうか等、まだまだやってみたい実験はある。

さらに経験的に角が取れて味がかなり丸くなると信じている、お湯洗い(いわゆるアームズメソッド)の効果は実際どれほどのものなのか、なんて検証もいずれはやってみたい。

いずれにせよ今回の結論として、少なくともウォッシュトの新豆で元々雑味が少ないスッキリとした味わいの豆に対しては、水洗いは無用、ということであった。

→ 訂正 (2021/12/9)
上記の結論は少し性急であった。少なくとも水洗いしたかどうかを見分けることは出来る人には出来るようである。ただそれはカッピングという手法を通してその微妙な違いが分かる、という差ではあるかもしれないが、その微妙な差が雑味の多寡やフレーバーの違いで付加価値を生んでいるならば、手間を掛けてでも水洗い焙煎には価値があることになる。いずれにせよ、珈琲豆のオリジンや状態との相性はありそうで、いつでも水洗いすれば味が良くなる、ということはないように思われる。

生豆の水洗いの効果検証(準備編)

手網や手鍋、あるいはアウベルクラフトなどの金網・直火式といった比較的原始的な道具で焙煎されたことがある方ならご存じのとおり、珈琲豆を焙煎するとどうしてもチャフが飛び散る。チャフ・コレクター付き焙煎機であればほとんどはそこに溜まるが、それでも珈琲豆の出し入れのときなどに多少は飛び散るので、焙煎機の横には掃除機が欠かせない。

ちなみにチャフは英語で chaff、カスとかくずといった意味で、お米ならば、もみ殻がチャフである。珈琲豆の場合は、コーヒーチェリーという果実の種子の周りにあった周乳が、精選過程で乾燥されてされて種子が取り出される際に薄皮として残ったものである。生豆は英語では Green Bean、テカテカ光っている薄皮は Silver Skin (= Chaff) である。日本語で生豆だからといって Raw bean とは決して呼ばれない。 閑話休題。

さて僕が追及している家庭焙煎の世界においては、通常、以下の3つの意図を持って焙煎前の生豆を水やお湯で洗う人がいる。一方で、小規模な自家焙煎店では、故森光氏の珈琲美美のように水洗いを看板にしているところが若干あるが極少数派であり、まして大手珈琲焙煎業者が水洗い・お湯洗いをしているという話はとんと聞いたことがない。なぜであろう。

<生豆を洗う理由>
①洗ってチャフを取り除くことで、チャフの飛散量を減らす
②洗うと盛大に汚れが取れるので、なんとなく安心(残留農薬があってもなくなる?)
③味がマイルドになる。雑味が減るなどの付加価値が付く。

①はちゃんとした焙煎機であれば解決

②については迷信的な部分が大きいと考える。確かに洗うと汚れが出るが、本来は焙煎の過程でチャフと共に剥がれ落ちる部分である。ナチュラル精製やハニー精製の方が落ちる汚れは多い。じゃ、ナチュラル精製の豆はより汚くて害があるのか? というとそうは思わない。
また残留農薬が種子にまで及んでいるとは思わないが、仮に微量が残っていたとしても200℃の高温で焼く過程で無毒化されるだろう。一部の柑橘類のようにポストハーベスト農薬でも使われていない限り、まず安全と考えていいと思う。生豆に直接農薬をかけたり燻蒸したりしたら検疫でひっかかるし、味が変わってバレるはず!

さて問題は③である。一般的には、洗うことでフレーバーは少しぼやけて、穏やかな味になると考えられている。この点は付加価値というより味作りの世界で、好みの問題である。では雑味は減るのか? 誰にとっても雑味はない方がいい。

そこで、洗う手間を掛けることの価値がどれほどあるのか検証してみることにした。
使った生豆は、ブルンジ・ギシャ農園とウガンダ・アフリカンスノーで、両方ともウォッシュト精製のニュークロップである。それぞれ600g分を用意し、水洗い用、そのまま焙煎用に二分する。なお、ブルンジの方は欠点豆が最初からほとんど見当たらないが、ウガンダは通常、300gで20-30粒程度取り除いている。


ブルンジ水洗いの様子

水洗いには回転式の野菜切りを使って、お米を研ぐようにゴシゴシとやる。グルグル回して水を切った後はタオルで残った水分を取り除き、さらに焙煎豆用の冷却機に入れて15分くらい乾かす。

ブルンジ水洗い前後重量

上の写真のように見た目はしっかり乾かしたようでも、やはり10gほどは水分が残っていることが分かる。実は次の点が水洗いのもう一つの大事なポイントで③にも通じる話なのだが、水に漬けることで欠点豆が見つけやすくなるのである。小さな虫食い跡や微かなカビなども色が濃くなり見分けやすくなる。また死に豆はより白っぽく見えるため、これも取り除きやすい。下の写真は水洗い前に取り除けなかった欠点豆である。まぁ実際は残っていても気付くほどのフレーバーのダメージは起こさないレベルの欠点豆ではある。もともと欠点豆の多いウガンダの方がより多く見つかったがそれは当然か。

水洗いで見つかった欠点豆



水洗い効果確認(生豆4種)
<生豆の状態、上段が水洗い無し、下段が水洗い有、見た目にはほとんど差がない>

水洗い効果確認(焙煎豆4種)
<なるべく同じ焙煎プロファイルで焼いて、同じように見える4つの珈琲豆>

ウガンダは排出温度を211℃、ブルンジは213℃で揃えた。両方ともより豆本来のフレーバーが分かりやすいミディアム・ローストである。焙煎プロファイルもなるべく揃えてみたが、熱の入れ方なのか水洗いによる水分含水量なのか、同じ豆なのに1ハゼ開始温度に結構差が出たためDTR値は差が出た。一方与えた熱量であるAUCについてはいずれも157C*min [DE: 160℃から測定開始]前後になるようにしたことで、焙煎指数的にもほぼ同じような値になり見た目のロースト度合いもあまり見分けがつかないと思われる。
Burundi_RoastProfile
<最初に焼いたウガンダ水洗いをBackgroundに薄く表示して、その曲線をなぞっている>

水洗い検証準備完了

さて、これをカッピングして味の差を見ていこうと思うが、僕の家庭焙煎仲間の数名にもサンプル豆を提供してブラインド・カッピングして頂き、先入観のない状態で一緒に比べてもらう予定である。結果はまた近日中にブログにアップする。

CR600で大坊珈琲ライクな焙煎に挑戦!

以前書いた2ハゼなしの長時間焙煎というブログ記事にコメントを頂き、その方には直接お返事させて頂いたが、そういえばこの手の実験はユニオン手廻しロースターの頃は熱心にやっていたけれど、今の焙煎機では試したことがないな、と気付いた。いわゆる大坊珈琲風、どこまでも深い苦味とコクがあり、それでいてキツイ苦味ではなく、むしろ最後には甘味すら感じるコーヒーを急に作ってみたくなり、届いたばかりのブルンジのニュークロップを使って早速トライ。

目標は30分で、ハゼはなるべく穏やかにする、場合によっては起こさない、という方針。1ハゼ温度の194℃に近づいたら、RORをグッと落として、2ハゼ温度の220℃になかなか到達しないように、火力を最小にするだけでなく、ダンパーよろしく豆投入口をときどきパカパカ開けて熱を逃がす手法で写真のような焙煎を行った。

すると実際、1ハゼは起きず、2ハゼもとても穏やかに始まりそのまま長々と続いたが、流石に30分まで引っ張る勇気がなく、25分ほどで排出。なかなかいい感じの黒々とした美味しそうな珈琲豆が出来上がった。RoastLiteの焙煎度チャートと比べてみても、間違いなくフレンチ・イタリアンの世界に到達している。やってみて気付いたのは、Artisanロガーが繋がっていることで、比較的容易にこういった特殊焙煎が出来る、ということだ。大坊氏の本を読むと、焙煎が進むにつれて火力をどんどんと落としていく、すると1ハゼが起きたり起きなかったり、といった説明をしているが、恐らく今回僕がやったような焙煎を温度計なしの手廻し焙煎器ながら職人的な感覚で行っていたのであろう。

ブルンジ大坊風焙煎
<注:グラフをセーブする前にリセットしてしまい、この写真しか残せず>


ブルンジR25
ブルンジ極深煎り

今日、取り合えずV60でいつものようにドリップしてみた。期待どおりの素晴らしい苦味。濃いめに淹れてもストレートで素直に美味しい。大坊珈琲かくありき、という感じ(^^)
一晩立ってもあまり油分が滲出していない点も、過激に植物細胞壁が壊れたりせずに深煎りの世界に到達できたことを物語っている。次は点滴ネルドリップでも淹れてさらに大坊珈琲に近づいてみよう。400gほど焼いたので当分は楽しめそうである。

SandBox3段階焙煎-イルガチェWashed編

本日は仕事に出掛ける前の朝飯前、ならぬ昼飯前の1時間で、SandBox内のプリセット3段階連続焙煎のテストを行った。昨日はナチュラル精製豆を使ったため浅煎りでも綺麗に膨らんだが、本日は綺麗な豆面に焙煎するのが困難な高地産ウォッシュト精製豆、その代表ともいえるエチオピア・イルガチェフェ・ウォッシュトである。というのもSandBox本体とは別に昨日、なぜか珈琲問屋からこのイルガチェとコロンビアナリーニョがSandBoxの付録として送られてきたので、早速これを焙煎してみた形である。

Sandbox付属生豆

まず、300gのイルガチェフェ生豆から完全に欠点豆を取り除いて、3分割したものを用意。これをSandBoxのプリセット・プロファイル(Normal3段階)で自動焙煎する。
イルガW生豆3分割

今回観察していて気が付いたのは、この焙煎プロファイルでは浅煎りほど時間をかけて1ハゼ開始にもっていっている、ということである。一方、1ハゼ後のカウントダウンは以下のように当然ながら深煎りほど長いため、結果としてトータルの焙煎時間はどれも近いものになる。また、Sandboxのプロファイルは、いずれも焙煎開始からRORが一貫して減少していくものであるが、僕は最近CR600でもこの形を目指すようにしている。
SanBox3段階焙煎プロファイル比較


一方、焼き上がったものは以下のように豆の色だけでくっきりと違いが分かるものである。
イルガ3段階焙煎bySandbox

焙煎による重量変化、焙煎指数は以下のとおりである。

浅煎り:88.7% (1.127)
中煎り:85.9% (1.164)
深煎り:82.7% (1.209)

さて、明日はこれをカッピングして、それぞれの焙煎度による味わいの違いを比べてみようと思う。

<追記> 2021/5/30
1日置いて3種類を飲んでみた。結果は断トツで中煎りが美味しく、イルガチェフェ・ウォッシュトらしい爽やかな柑橘系の酸味とティーライク・フレーバーが心地よい。次が浅煎りでこれもティーライク・フレーバーは出ているが、フレーバーの強さや味わいの点で中煎りに比べて見劣りしていることは否めない。最後の深煎りであるが、これはもう完全にイルガチェフェ特有のモカフレーバーを失っており、普通に美味しい珈琲、といった具合である。ここまで焙煎度に差があると味の差は分かりやすいが、サンプルロースターとして使うならば、焙煎度についてはせめて5,6段階は欲しいところである。自分で作った焙煎プロファイルが保存できるのかなど、使いこなすにはもう少し研究が必要である。

White Coffee

White Coffeeと聞けば、日本人なら大半がミルクの入った珈琲を思い浮かべるだろう。しかし北米では、特に健康志向の高い人達の間では別のものを意味し、それは超浅煎りの珈琲のことである。健康志向の高い僕としては急に実験してみたくなり、たまたま見つけた以下のサイトの情報を元に早速作ってみた。

What is White Coffee? | Poverty Bay Coffee Company

使ったのはコスタリカの豆で、焙煎機への投入温度はかなり低めの100度、取り合えず書かれていたレシピどおり、BT(豆温度)が華氏325度(摂氏163度)になったところで煎り止めした。焙煎時間を長めにするために、Diffuerを閉めて半熱風焙煎モードにして、ガス圧はずっと低いままにした。
WhiteCoffeeRoastProfile

焙煎後の珈琲豆はいわゆる Yellow Pointに近い状態で、当然この温度ではハゼなど起こるべくもなく、水分重量減はわずか5%程度である。さて、どんな味がするのか。
WhiteCoffeeCostRica

White Coffeeはかなり硬いので、生半可なコーヒーミルでは挽けない。しかし僕は ZProという高性能ミルを持っているので、これを使ってガリガリと挽いてみた。さすがにちょっとハンドルを回すのは重かったが、まぁあっさりと挽けた。

WhiteCoffeeGround

これを、V60を使って90度のお湯で普通にペーパードリップしてみた様子が以下のとおり。
WhiteCoffeeBrewed1

もちろん粉は全く膨らまない。出来上がった液体はもう全くコーヒーの体をなしていない。しかし飲んでみると、酸味は全くなく、むしろ仄かに甘い。カスカラティーの味に近いもので、まぁ普通に飲める、といったところ。

昨今、しばしば話題になる健康成分、クロロゲン酸は熱で大半が分解されてしまうため、元々生豆に豊富に含まれていたそれは、普通に焙煎すると浅煎りでも半減、深煎りではほぼ消失してしまうらしいが、White Coffeeなら豊富に含まれたままである。そしてカフェインは普通に含まれている。ということで、抗酸化作用や血糖値上昇の抑制、脂肪吸収の抑制などを期待してのコーヒーの飲み方としてWhite Coffeeは一つの有効な選択肢なのかもしれない。ただ、まったりとしたとした味は珈琲の味を期待しているとちょっと腑抜けな味なので、現地では深煎り珈琲と半々にしたりして、主にエスプレッソで飲むという話である。機会があれば、本場のバリスタさんが淹れてくれたWhite Coffeeを飲んでみたいものである。

生豆の水洗い、お湯洗い

大吟醸珈琲だとかアームズ焙煎だとか言って、珈琲生豆を水やお湯で洗ってから焙煎するという手法があるが、大規模ロースターにとってはほぼ無理なやり方なので、そういった大手は黙殺するためか、あくまで際物扱いとなっているように思う。しかしごく小規模なロースターや、個人で焙煎している人達の間では少なからず採用されている方法である。伝説の珈琲職人であった珈琲美美の森光宗男さんが水洗いに拘っていたことは有名であるが、最近の珈琲店でこのような手間がかかることをしているところがいったいどれくらいあるのであろうか。実際、一度やると確かに気になるほどの汚れが取れることが分かる。チャフもかなり一緒に取れるので、キッチンで手網や手鍋を使って焙煎している人達にとっては、レンジ回りの散らかり方が少なくなるメリットも大きい。
コロンビア水洗い

しかし、濡れた生豆はくっついてしまい焙煎機に投入するのが難しくなるので、今まで僕はほとんどやってこなかった。しかし物は試し、そもそも味にどれほどの変化があるのか確認したく、有機栽培コロンビアの生豆を使って、同じ分量を同じ焙煎度で焼いて、水洗いの有無の効果を調べてみた。CR600で水洗い焙煎を行うのは初めてであったが、投入時に糞詰まりそうになったので、少ししゃもじの持ち手側で突いてやると、なんとかドラムに落ちていってくれた。

焙煎の翌日、一応真面目に、コーヒーミルに入れる前に同じ豆を少し入れて捨てて残存粉をなくしてから挽く、という作業までして、一人カッピングしてみた。

まずドライの香りを確認したところ、通常焙煎の方がはっきりと香りは強い。しかし、これは焙煎後1日しか経過していないので、数日経過したらまた状況が変わるのかもしれない。
コロンビア水洗い有無カッピング

肝心な液体にしたときの味わいであるが、両方ともコロンビアらしいコクと酸味、それに甘い余韻を感じるのは共通であるが、通常焙煎の方は冷めてくるとウッディなフレーバーが混じり、雑味のようでもある。一方で水洗いした方は、冷めてきてもずっとクリーンカップのままであった。これが水洗いの効果なのだろうか。 

本日さらに、エチオピア・イルガチェフェ・ナチュラルの豆を使って、今度は50度のお湯洗い、いわゆるアームズ方式で焙煎してみた。
アームズ準備

お湯の温度は、先日かったデジタル温度計できっちり50度にしてから生豆を投入。お米のようにグルグルと研ぐと、さすがにナチュラル精製の豆からは大量にチャフが剥がれ落ちる。
イルガチェお湯洗い前後

ちなみに、水切り後にどれくらいの水分が残っているかであるが、ごらんのとおりかなり頑張って脱水しても、23g (6.8%)程度重量が増えている。この水分は焙煎時にはドラムの中で大量の水蒸気となるので、水抜きプロセスに多少の影響が出るはずである。

さて、お湯洗い焙煎で僕がいつも気になってしまうのは、豆面が今一つ綺麗に伸び切らない、ということである。通常、イルガチェフェのナチュラル精製豆は、いとも簡単に皺が伸びてツルツルの綺麗な豆面となるが、お湯で洗うったものは、やはりちょっとくすんだ感じになっている。
イルガチェ・アームズ焙煎豆

アームズ方式で焼いたイルガチェフェであるが、焙煎直後に飲んだところ、いつもより少し香りが抑えられて上品かな、という程度の差で、まだ本領を発揮しているとはいえない状態であった。

コーヒー実験再開!

ログハウスは本日2つ目の棚もDIYして、まずまず使えるようになってきた。結局、テーブル、ベンチ椅子、棚と全てのDIYで購入したのは、ビーバープロで売っている杉無垢板(24x910x1820mm) 3980円が1枚、カフェ板(30x 200x20mm) 980円が5枚の約9000円で、それ以外は全てログハウスの端材で作った。今日時点の中の様子はこんな感じ。
ログハウス内(2つめ棚追加)

焙煎機は今や何時でも稼働可能となり、毎日大活躍である。
CR600設置状況0418

先日は職業訓練で知り合った人達が7人ほど来てくれて、ちょっとしたお披露目会も開いた。
お披露目会

ということでログハウス作り、焙煎小屋作りもやっとひと段落したので、また珈琲道の追求を再開したいと思う。昨日はFBで知り合った自家焙煎仲間5人で、同じ豆(エチオピア・イルガチェフェ)を同時期にベストと思う焙煎をしたものを送りあって、自分のを含む5種類をカッピングしてコメントしあう、というイベントがあったが、このカッピングはログハウス内で音楽(Google Speaker + Spotify)を聴きながら快適に行った。
焙煎仲間カッピングイベント

今朝はログハウス内ではないが、2週間前に焙煎(パプアニューギニア)して直ぐに粉に挽いてから容器に常温保存したものと、豆のまま常温保存したものを、同じ条件でペーパードリップして味を比べるという実験をした。予見できたことではあるが、粉の方は2週間で見事に味が劣化していた。

・粉保存(アロマはほぼ消失、平坦で古臭い味、旨味は感じられずマウスフィールもざらついている)
・豆保存(チョコレートのアロマとフレーバーで、クリーンで甘味のある深い苦み。スムースな飲み口)

といった感じ。粉にした時の見た目は同じでも、もう全く別のコーヒーである。
珈琲粉劣化試験1
珈琲粉劣化試験2
珈琲粉劣化試験3

で、さらにログハウス内では、一度の焙煎で3種類の焙煎度の豆を作る、というのに挑戦。
やり方は以下の如し。

・約350gの豆(ブラジル・カシケ)をCR600で普通に焙煎開始。一ハゼから2分弱経過したところで一度全部取り出して、そのうちの1/3を別に用意した冷却装置に、2/3は直ぐに焙煎機に戻して焙煎続行。その2分後にまた全部取り出して、そのうちの1/2を別に用意した冷却装置に、残りはまた焙煎機に戻して、最後は6分弱のところで焙煎終了。という具合で3段階の焙煎度の豆が完成した。明日、どの焙煎度がどのようなフレーバーを出しているか確認しようと思う。
ブラジルカシケ・焙煎3段階


パーストクロップの浅煎りは有効か?

ノルディックローストだけでなく、3rd Wave Coffeeの店と言えば押しなべて浅めの焙煎を全面押ししているところが多いが、実際のところ浅煎りでも美味しく仕上がる豆とそうでない豆があり、むしろそうでない豆の方がずっと多い。

また、元は素性の良い豆であっても精製から時間が経つにつれて、浅煎りに向かなくなる傾向はあると思う。実際、浅煎りや中浅煎りで美味しい豆は大抵、生豆の時に緑色が濃い。但し、緑が濃くても浅煎りに向かない豆も多いのは前述のとおり。この場合は無理に浅煎りにすると生焼けで草っぽいフレーバーになったり、やたらと酸味が強くて飲みづらい味になったりするので、煎り上手を使ったごく少量のサンプルロースト確認が欠かせない。

昨日は精製から2年ほど経ったホンジュラスの豆を、浅煎りにしたものと、中煎りに仕上げたものの2種類を作って味わってみた。結果は、浅煎りの方は草っぽさの奥に良質な酸味が感じられるが今一つ、中煎りの方は枯れた味わいが全面に出てしまい雑味も出ていて今二つ、という具合であった。
ホンジュラス2年物浅煎り


以前、某有名店でマンデリンのオールドクロップ豆のネルドリップ・デミタスを注文したところ、酸味が強烈過ぎてちょっと飲むのが辛かった。一緒に飲んだ珈琲通のK氏も同じ感想だったので、一般的にはほとんどの人が「酸っぱ過ぎる!」と感じると思われる。パーストクロップやオールドクロップの豆でも浅煎りが可能なケースはあるのだろうが、やはり全般的には、良質な(密度の濃い)ニュークロップ + (中)浅煎り、というのが、一般受けするシトラス系とかジューシー感のある珈琲を作るための公式ということなのだろう。

ちなみに、水洗いした珈琲を浅煎りに仕上げるのは結構至難の業である。ダブル焙煎にすれば可能だが、この手法も大いにフレーバーを変えてしまうので元とは簡単に比較できないのが困った点である。

そこで、いずれ試したい実験として、精米機を使って生豆のチャフを外すことで、通常は水洗いで行う「大吟醸コーヒー」のようなものが作れるのか? というものがある。通常は生豆をゴシゴシ洗って「吟醸化」するわけだが、どうしても水分を吸収してしまい、少なくとも焙煎後の見た目はかなり違うものになってしまう。しかし精米機ならこの心配はなく、心置きなくフレーバーの違いが確認できるのではないか、という目論見である。つまり、以下の2パターンを同じ焙煎度に仕上げて味比べする、という作戦である。

A) チャフが付いたまま、チャフ除去装置のない手廻しロースターで、チャフごと焙煎した豆
B) 精米機でチャフを外して、余分な微粉も飛ばした綺麗な豆を手廻しロースターで焙煎した豆

精米機は、例えばこんなものが8000円ほどで売っているが、実際珈琲豆にはどれくらい使えるのであろうか。

精米機8000円

<後日談>
今回のホンジュラスを昨晩いつものように 55g / 800cc水で Cold Brew Coffeeを作ってみたら、妻に「美味しい」と絶賛されたので自分でも飲んでみたら確かに美味しい。ただし、配分は同じホンジュラスでも40gが中煎り、15gが浅煎りの豆でブレンドした。ホット向き、コールド向きで焙煎の仕方はやはり異なるようで、この辺のコントロールの勉強がこれからの自分の課題だなぁ。

Nordic Roasting Style

以前から疑問に思っていたことがある。僕は新しい豆を入手したら、まず「煎り上手」を使ってごく少量(60g)を浅めに焙煎して豆のポテンシャルを確かめてみるのだが、この時点で果実味がギッシリ感じられて、これは! と思ったとする。そこで、UNION手廻しやGeneCafeで200-300gの分量を同じ焙煎度(水分量減)に仕上げてみると、草っぽかったりキツイ酸味があったり、ちっとも美味しくない、いわゆるUndevelopedな コーヒーになることがあるのである。要するに浅煎りの場合、煎り上手の方が成功率が高い傾向がある。これがなぜなのか、という疑問。 

ところで浅煎りと言えば Nordic Roasting Styleという言葉が思い浮かぶが、これは何だろうと思って海外のサイトを少し調べてみた。総じて分かったことは、最初にガっと熱を入れて一気に豆温度を高温にして早めに1ハゼまでもっていき、後半は ROR(温度上昇)を緩やかにして、最終的には1ハゼ開始から1~2分で煎り止めるというものらしい。焙煎度合いはLight-Medium Roast or City Roastと表現されていたが、僕の理解では City Roastはもっとずっと深めだと思う。

先日入手したブルンジのウォッシュト豆を煎り上手で 浅煎り(1ハゼから1分33秒、トータル8分8秒、重量減84.3%)にしたら予想以上にフルーツ感が素晴らしく大変美味しかったので、さて残りをどうしようかと思って、この Nordic Roastのことを思い出し、GeneCafeをきっちり200度x6分で予熱してから、236gのブルンジ豆を投入して、240度の設定でなるべく短時間で焙煎してみた。1ハゼから1分30秒で止めたら、トータルが11分26秒で重量減が84.8%であった。熱量不足で煎り上手ほどには短時間で焙煎できないが、珈琲に抽出してみるとほぼ同じフレーバーでこちらも大変美味しい。まずは満足の出来栄えであった。以前のように予熱せずに開始して同じ1分半で止めたならば、見た目は同じでもきっと青臭い味になったものと思われる。

ということで結果的にGeneCafeでも Nordic Roasting Styleっぽい焙煎は可能だな、と思った次第。
ちなみに、本場ノルウェーでは 当然Nordic Roastが大半で、深煎りが飲めるのは Starbucksくらいらしい。また、ナチュラル精製の豆はあまり使わない、という情報もあったが、確かにFruits bomb, Berry bomb といった彼らが求めるフレーバーはナチュラルの発酵フレーバーとバッティングするので、ウォッシュト精製でなければならないのであろう。 

他にも、重量減の少ない浅煎りの方が儲けが大きい、浅煎りではエスプレッソ用のバスケットサイズが大きいのでこの点でも儲かる。だから北欧のロースターは浅煎りを流行らせた、といった穿った記事も見つけたが、ちょっと納得してしまった。サードウェーブ系でよく見る浅煎りエスプレッソでは一杯に20gも使うが、元祖イタリアン・エスプレッソはカップは小さめとはいえ8g程度、う~む、ノルウェー人頭いい! 

そうそう、今度、東京のフグレンコーヒーに確かめに行ってみよっと。

<煎り上手で焙煎したブルンジ> 1ハゼ開始から1分33秒
ブルンジ by 煎り上手


<GeneCafeで焙煎したブルンジ> 1ハゼ開始から1分30秒
ブルンジ by GeneCafe

豆はブルンジ・カフェルージュ・ブルボン 
(珈琲問屋の焙煎メンバーなので30%OFF、約200円/100g で購入)
珈琲問屋ブルンジ

ちなみに、ここに載っているラオス・ボラベンも以前買ってみたことがあるが、こちらは欠点豆、特に浮豆のオンパレードでしかも僕には発酵臭が強烈過ぎて持て余してしまった。

ポジティブ・ピッキングの驚くべき効果

前から一度やってみようと思っていたポジティブ・ピッキングをやってみた。通常は全体から欠点豆を取り除くが、その逆、つまり焙煎した豆を一旦すべてBadとみなして、そこから姿かたちが綺麗なものだけを選別するという方法である。テストに使った豆はガテマラ・ステイゴールドで、この豆はそれほど値が張らないのにいつも美味しく、そのコスパの高さに5Kgずつリピート購入して今までに25kg近く焼いてきた。
ガテマラ・ステイゴールド


焙煎前/後には当然ながらいつもどおりに念入りなハンド・ソーティングがしてあり、大きな欠点豆は含まれていないはずである。ここからそのまま取り出した12g、ポジティブピッキングで取り出した12gの2つを用意して、コーノ式ペーパーフィルタで全く同じように抽出した。 お湯は90度、蒸らしが40ccで45秒、次に60ccを注いで1分30秒待ち、最後に70ccを足して2分30秒でドリッパーを外した。

ポジティブ・ピッキング比較

さて、見た目もさほど違いもないし、味の差はちょっと分からないだろうな、と思いつつ両方を珈琲液にしてカッピングしてみると、なんと全然クォリティが違うのでびっくり!

ポジティブ・ピック・カッピング

通常のソーティングの珈琲も悪くはないのだが、よく味わうと少し雑味を感じる。さらに時間をおいて冷めてくると雑味が少し増す感じ。 一方、ポジティブ・ピッキングの方は全く雑味が感じられず、ひたすら美味しい。あまりの美味しさに途中からカッピングを止めて普通に飲み干してしまった。(^^;

どうやら普通にソーティングしただけでは、やはり良豆と欠点豆の間にグレーゾーン豆が残っており、これが雑味を出すらしい。つまり同じ珈琲生豆で開始したとしても、焙煎後に良豆だけを選って珈琲を淹れることで極上の一杯が作れる、ということか。 商業的にはちょっと成り立たないと思うが、個人で楽しむなら、たまにはここまで手をかけてみるのも面白い。

2万円のハンドミルと2千円のハンドミルの違い

この2日間ほぼ家から出ていないので、たっぷりある時間を使って前からやってみたかった、2万円と2千円のハンドミルの違いを検証してみました。

テストに使ったのはタンザニアのションゴ農園のニュークロップ豆をダブル焙煎で浅煎りにした少し硬めの豆で、12.0gずつ計測するだけでなく、豆の大きさ、数も揃えて臨みました。
比較したミルは、1ZPRESSOという会社のQ2モデルという2万円のミルと、HITORIという会社の約2000円のセラミックミルで、10倍の価格差が実際のところどのような違いになるのか、というのが今回の検証ポイントでした。
珈琲豆75粒(12g)
珈琲豆12g計量

ミルはこんな感じです。
ここから先の写真は、左が 1ZPRESSO, 右がHITORIです。
ハンドミル比較(ミル)


1ZPRESSO Q2モデルは、ステンレスのコニカル歯を使っています。
1ZPROSSOミル

一方、HITORIの方はセラミック素材で、セラミックでは一般的な臼のようにすりつぶす方式です。
Hitoriハンドミル

タマ込めした様子↓
ハンドミル(珈琲豆投入)

1ZPRESSOの挽き心地の良さは全然次元が違いますが、実際同じ量の珈琲豆を挽いて、何回転必要かカウントしてみたところ、ちょうど5倍の差がでました。このHITORIは以前は会社でずっと使っていたのですが、一杯分を挽くのに随分時間がかかって面倒だったのですが、今年に入って入手した1ZPRESSOに代えたら、それはもう快適で、あっと言う間に挽き終わるのですが、実際5倍の差がついているのは今回初めて確認できました。
ハンドミル比較(珈琲粉完成)

挽いた豆を観察すると、HITORIの方は大きな粒がちらほら混じっており、粒度の粗さが見えますが、ぱっと見では10倍の差があるようには見えません。
珈琲粉比較

そこで、元町ミカフェートで購入した微粉除去器具で微粉発生量を比較してみました。
微粉除去器具


この写真ではわかりにくいですが、微粉の発生量は約3倍違いました。
(重量を計るのを忘れました)
微粉量比較

さて、この違いに10倍のお金が払えますか、という話ですが、結局、日々の満足感をどこまで重視するか、が大きいかと思います。実は先日、同じようなテストをやって、そのときは抽出した珈琲のカッピングで比較したのですが、正直、私の力量では明確な味の差は感じられませんでした。
ただこの微粉量の差を見る限り、プロの味覚をもってすればきっと味の差も歴然なのだと思います。

三洋産業 CAFEC ペーパーフィルター3種類の比較

昨日、横浜の珈琲問屋に立ち寄ったら、一部で話題になっている三洋産業さんの浅・中・深の焙煎度別のペーパーフィルターが入荷していたので早速3種類を買い揃えて、比較実験をしてみました。

使用した豆は先週末にK氏宅のディスカバリー焙煎機で焙煎したコスタリカ Central Valley 産の Finca La Alquimiaという Washedの豆で、かなりの高級品です。浅煎りに仕上げましたが、4日ほど経過して素晴らしい香りを放っています。 

 ↓ ディスカバリーで別の豆(エチオピア)をフルシティまで焙煎した時の様子
Discovery焙煎(中深煎り)

CostaRica-Finca浅煎り

実験は以下のとおり。
珈琲:コスタリカ浅煎り10g、中挽き
湯温:90度 (深煎り用も敢えて同じ温度で抽出)
湯量:130cc (120cc抽出)
抽出時間:3回に分けて投入して合計2分 (但し中挽き用フィルタだけは1分半で落ち切った)

CAFEC比較準備


完成した様子
CAFEC比較カップ完成

カッピングと直接飲んだマウスフィールなどで評価
CAFEC比較カッピング

結論として、1分半で抽出完了した中煎り用のT-90が一番甘みが出ていて美味しく入った。
一方浅煎り用は、ちょっと酸味がきつくなってしまい、今一つでした。
深煎り用の T-83も悪くはなかったのですが、T-90の方がバランス良好でした。まぁ、T-83は83度で淹れるためのペーパーなので、今回のように90度で使うのはフェアじゃないかもしれませんが。

ちなみに、浅煎り用、中深煎り用では油分が浮きましたが、深煎り用では全く見当たりません。油分を通す性能にはかなり差がつけてあるようです。
CAFEC抽出液比較

使用した珈琲豆
CostaRica-Finca生豆

ガテマラ7段階焙煎にチャレンジ! (カッピング編)

昨日の7段階焙煎豆をカッピングしてみました!

面白い。 同じ豆で焙煎度が変わるとここまで表情が変わるのか。 我ながら大変勉強になります。

まず各10g + 5gずつ計量して、14個の紙カップに珈琲豆を準備。
そして、一応本格的に、ミルで挽く前に5gの方を使ってミルの歯についている前の豆のフレーバーを押し出す方法で 5g挽いて廃棄、10gを挽いてカップへ、を7回繰り返し。

カッピング・ドライ

上から見るとこんな感じ。まずはドライでのアロマチェック。うーむ、どれもいい感じ。
ガテマラはやはり、浅く焙いても深く焙いても美味しい豆だ。
カッピング・ドライ(上から)

熱湯を注いで4分待ってから、ブレイク。
カッピング・お湯注ぎ

たまたま戻ってきていた息子二人も参加してカッピング開始!
カッピング最中

楽しいぜぃ! 結論として2番、7番が美味しいと思った次第。「1ハゼから1分で煎り止め」の1番は、外でやるカッピングで使うものに一番近い感じで、ぐーっとフルーティな酸味が口の中に広がり、アフターテーストも結構強めの酸味があります。 7番は深煎りネルドリップの世界を彷彿させる深い味わいで素直に美味しい。6番は微かに焦げ臭が入ってしまいました。4,5番は普通に美味しいけど、ウエウエテナンゴ高地産のスペシャルティ珈琲の良さが生かせていない感じ。
カッピング・後

次はいつも手強いエチオピアでやってみよかなっと。

ガテマラ7段階焙煎にチャレンジ! (焙煎編)

今日はちょっと思い立って、ガテマラ・ウエウエテナンゴの豆(エル・コンスエロ農園)を題材に、焙煎度合いによる味の変化を調べるため、煎り上手を使って1ハゼ後の煎り止めまでの時間を15秒ずつ伸ばしながら、40gという少量焙煎を繰り返してみました。結果は以下の写真のとおり、ときどき豆の重量減少率が時間と逆転してしまうケースがあったりして、そこは愛嬌、手焙き焙煎の限界でもありますが、まあ全体にはグラデーションが作れました。一日寝かせて、明日はこれらをカッピングで味覚比較してみる計画です。

生豆の準備(この後、もう1バッチ用意)
ガテマラ7段階焙煎(生豆)

焙煎したものを上から見るとこんな感じ。1ハゼから煎り止めまでの焙煎時間を15秒刻みで1分~2分半変えて焙煎したもの。
ガテマラ7段階焙煎(CUP)

袋に入れたところ。
ガテマラ7段階焙煎(袋)

焙煎メモ。煎り上手では温度が測れないので、ハゼ開始と煎り止めの時間のみ。
ガテマラ7段階焙煎(データ)

「煎り上手」http://invention.co.jp/coffee/instrument/
これがあれば、少量焙煎が誰にでも簡単に出来てしまう優れものです。
ガテマラby煎り上手


今日は天気も良かったので、これとは別にいつものサンプルロースターで、同じガテマラ、メキシコ・ハニーオアハカとコスタリカ・タレスのブレンド、そしてエチオピアコチャレ・ウォッシュトを400gずつ少し深めに焙煎してみました。ここのところフルーティさを求めて、ずっと浅めに焙いていたので、久しぶりにしっかりとコクと苦み・酸味のバランスが感じられる珈琲が飲みたくなった、という次第でもあります。
ガテマラ焙煎グラフ


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