香豆火珈琲 (Kaz - Feel - Coffee) - 引越し済


KAZUHICOFFEEは 2021/11/11に開業いたしました。 屋号はそのままKAZUHICOFFEEです。

新HP: https://kazuhicoffeelab.com/
旧HP: http://www.kazuhicoffee.com/
Base: https://kazuhicoffee.thebase.in/

今はまだ珈琲豆のネット販売と時折行う焙煎教室だけですが、これから珈琲の家庭焙煎や小型焙煎機のコンサルティング業という分野を開拓したいと考えております。まずは発明工房さんの「煎り上手」や安価な小型ドラム型焙煎機などにちょっとした装置をつけて、焙煎プロファイルがリアルタイムに見えるようにすることで、短期間で焙煎の技術を学んだり、既に焙煎を開始されている方の技術が上達するようなプログラムを用意したいと考えております。これからまだまだやること山積ですが、まずは出発致しましたことお知らせ致します。 珈琲が仄かに好きという皆様が、もっともっと本物の珈琲のことを知って楽しんで頂けるようにすることが次の自分のミッションだと考えております。家庭用サイズの小型焙煎機を海外から輸入して販売する等も計画しております。皆さまが美味しい珈琲をいつでも気軽に楽しめるようにすることを全身全霊でサポートしたい!!

焙煎プロファイル

ケニア・マサイの評価

最近は可能な限り自分にとって未知のサンプル生豆を入手するようにしている。

選択肢が多過ぎて毎回とても迷うが、結局、間違いなく期待できそうな無難なものを選んでしまうことが多い。本日焙煎したケニア・マサイもその範疇である。 これは単一農園ものではなく、有名なドーマン社のブランド品で、ムランガ、キリニャガ、ニエリ産の珈琲豆をブレンドしてトップクォリティを担保していると説明がある。つまり、これぞ The Kenyan Coffeeということになる。
BlackcurrentSample

フレーバーの説明を見ると、あちこちにカシスが出てくるが、カシスは英語ではBlackcurrantである。現在勉強中のLe Nez du Cafeの中の香りの一つが、(14) Blackcurrant-likeで、これは僕にとって最も判別が難しい香りの一つだったりする。

なんでこの香りだけ名前に "like" が付いているのかも謎であるが、少しティッシュに垂らしても匂いを強くしてみても、頭の中に?マークが飛び交う香りである。そこでカシスジャムを買ってみると、こちらは分かり易くカシスの香りがする。うーむ。さて、コーヒーの場合はどうなのか

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<ケニア・マサイAA 生豆> by USフーズ
カシス、花のような香り、柑橘、パッションフルーツ、ドライフルーツなどの香り、スパイス系の香りなど複雑でしっかりとした香りが楽しめます。しっかりとしたボディーと甘味も楽しめます。 

カシスの香りをはじめとした、さまざまな華やかな香り、きれいな酸味、魅力的な甘さ、力強いボディー感が終始口の中を占領します。ガツンとコーヒーが迫ってきます。 
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これをいつものように、ノルディックローストによる浅煎り、ナチュラルローストによるミディアム、そして少し深めのハイロースト、と3種類に煎り分けてみる。

こういうとき、バッチサイズが70gの煎り上手が重宝する。

ケニア・マサイ焙煎度違い


焙煎プロファイルと、それぞれのUSフーズによる説明を並べてみる。

  • 浅煎り
  柑橘、パッションフルーツ、すもものような風味。りんごのような軽やかな風味も感じられる。
  酸味がしっかりとしている。クリーンで旨味がある。

KenyaMasai_Nordic


  • 中煎り
 柑橘、カシス、ドライフルーツのような風味。りんごのような軽やかな風味も感じられる。
 酸味が少し落ち着き、飲みやすさが出てくる。
 アフターでべっこう飴のようなコクのある甘味を感じる。

KenyaMasai_Medium

  • ハイロースト
  酸味が和らぎ、苦味とケニアらしい凝縮感、ボディー感が出てくる。
  カシスフレーバーとドライフルーツのような甘さを伴った酸味が広がる。
  アフターで焙じ茶を思わせる心地よい余韻が続く。
  香り、優しい酸味、ボディー、心地よいほのかな苦味、甘味を楽しめる。

KenyaMasai_HiRoast

さて明日から、試飲してみるが、実際説明のような味が出ているか。
この生豆はちょっと価格は高いが、欠点豆はほとんど見当たらず見た目も美しい。
焙煎してみると、かなり期待できる豆面をしている。実に楽しみである。

同じプロファイルで焙煎した異なるコーヒーのフレーバー比較

なるべく同じ焙煎プロファイルで焙煎した異なる産地の珈琲の比較をやってみた。
今までもなんとなくは近いことはやったことがあるが、考えてみれば真面目にテスト比較したことはないことに気付いた次第。

今回は素材としては以下の2つの珈琲を選択した。実はこれらは中途半端に残っていた豆で、購入後に1年以上放置してあったため、恐らくインポートされてから2年程度は経過したPast Cropで、ウォッシュト精製の豆である。

ペルー・クナミア・オーガニック(北東部に位置するアマゾナス州)
エルサルバドル・シティオ・デ・マリア農園 (西部サンタアナ県)

さて焙煎に関しての変動要素をあまり多くするとなんだかわからなくなってしまうので、以下の要素を揃えるようにしてみた。一方で、1ハゼ開始温度と時間、トータル焙煎時間に関しては完全に揃えることは困難で、とにかく焙煎曲線が近くなるようにした結果、異なる珈琲豆であるにもかかわらず、焙煎指数はぴたりと一致した。


【共通ターゲット】
バッチ量: 300g
投入温度: 160℃
中点温度: 100℃を目標
排出温度: 215℃
その他:
・ガス圧の変更タイミングをなるべく揃える
・焙煎機は200℃以上に予熱後に少し冷やして、投入温度まで再加熱

【結果】

<エルサルバドル>
排出時間 10:50 (215.3)
DTR=20
AUC=138
重量減 84.8%

<ペルー>
焙煎時間:11:00 (214.3)
DTR=19.8
AUC=146
重量減(84.5%)

IdenticalRoastForDiffBeans

2つの曲線を重ね合わせると以下のとおりで、非常によく似たプロファイルであることが見て取れる。

ElSal-Peru-重ね合わせ

下の写真のとおり、焙煎プロファイルも焙煎指数も同じでも、豆の色は微かにエルサルバドルの方が明るく見える。もしアグトロン値だけで判断するならばエルサルバドルはミディアムでも、ペルーの方はハイローストと判断されるかもしれない

エルサル・ペルー焙煎比較


さて、これらを一日経った本日、なるべく同じ条件となるように並べて同時に抽出。
テースティングした結果は以下のとおり。

エルサル・ペルー珈琲豆比較

エルサル・ペルー抽出液比較

<エルサルバドル>
【ドライ時のアロマ】 アーシー、キャラメル
【フレーバー】 チョコレート、スィートオレンジ、アップル、コリアンダー
【マウスフィール】 シルキーで軽やかな酸が口中に長く続く
【オーバーオール】 甘くジューシーで美味しい

<ペルー>
【ドライ時のアロマ】 ロースト・アーモンドやバニラの甘い香りを感じる
【フレーバー】 ヌガー、ダークチョコ、アーシー
【マウスフィール】 重厚な酸、重ためのマウスフィール、渋み
【オーバーオール】 コク、酸味、苦味、渋みなど飲みごたえのある味

両方とも良いバランスの焙煎度合いで、総合的にはかなりレベルが高い味であったが、エルサルバドルの方は少しお湯で薄めると非常に飲みやすく美味しいコーヒーとなった一方で、ペルーの方は時間が経っているせいか微かな枯れ臭を感じる。これはペルーの中でもコロンビアに近いエリアのコーヒーであり、実際、典型的コロンビアのコーヒーと近しい重厚さを感じる味であった。

焙煎教室でもこのレベルの比較がやれたら面白いかもしれない。

Baked フレーバーについて

現在、余命僅かの実父の介護のため実家に滞在しており、当面その状況が断続的に継続する予定である。ということで現在、手元にある焙煎機は持ち込んだ「煎り上手」と Sandbox Smart Roasterのみ。もちろん珈琲器具、生豆の種類も限られているが、出来ることが少ない分、返って集中できることもあるかとポジティブに考えたいが、さて。

本日はSandboxを使って、コロンビア・ボルカニックという水洗式の豆を中深煎りに焙煎しようとした。ところが、プロファイルをいじり過ぎたからか、投入温度は十分に高かったのに、最初あまり温度が上がらず、途中で仕方なしに火力を少し上げたが最後までペースに乗れず、結果的に非常にだらだらとした焙煎になってしまった。具体的には以下のプロファイルを見て頂きたい。これは酷いね。
BakedProfile


早速これを試飲してみたら、予想どおり見事な Baked フレーバーとなっていた。
そもそも焙煎豆を見ると、Scorched豆がパラパラと混じっている。
コロンビア・ボルカニック・スコーチト

Scorched豆を取り除いたら一見、綺麗なハイローストだが、焙煎豆の香りを嗅ぐだけでもBakedフレーバーが出ていることがはっきりとわかる。

コロンビア・ボルカニック全体


ここで、折角なので Bakedの要因について少し考察してみたい。
下記はUCCの焙煎セミナーで教えている焙煎欠点の一部であり、これが一般的な解釈であると思われる。上記の写真を改めて見ると表面が焦げており、下記の定義の中では Facedに相当するか。


Baked(低温長時間焙煎)
 - 見た目の色が同様でも、カラメル化が不十分
 - 風味が抜けたポップコーンやシリアルのような感じ

Scorched(焦げ)
 - 投入温度が高過ぎることによる初期の焦げ
 - 黒いスポットが出来るが、焙煎後は判別が難しい
 - 浅煎りでもスモーキーなフレーバーが感じられる
 
Tipped(欠け、割れ)
 - 熱量過剰で最も構造が弱い胚が焦げること
 - ビスケットの風味やスカンク臭、焦げ臭など
 
Faced (豆の表面焦げ)
 - 投入量過剰で攪拌が不十分となり、豆表面が焦げる
 - 熱量が多過ぎて、乾燥した豆の表面が焦げる

Facedの要因は2つ書かれているが、今回の生豆投入量は通常と同じ100gであり、攪拌不十分というのは当たらない。では「熱量が多過ぎて」はどうか、というとこれも当たらない。むしろ熱が足りないから、こんなに温度上昇に時間がかかってしまった

一方、Scorchedの要因を見ると、「投入温度が高過ぎる」となっているが、これも当たらない。210℃での投入はごく普通で、通常はこれで焦げることはない。

そもそもRoRが最初から10度程度しかなく、そこから徐々に火力が下がっていったので、普通に考えたら焦げるはずはない。豆の排出時の温度も198℃とかなり低い。むしろ普通なら生焼けの温度であるが、20分という長時間焙煎によりしっかり bakeされて、実は豆を取り出す瞬間には2ハゼすら起きていた。

このことから考えられることは、豆全体の塊としての平均温度は低くても、一部の豆の表面は焙煎ドラムの接触温度に近くなっており、それが2ハゼを起こす220℃を超えていた、ということであろう。また焦げた理由は、いわゆる低温火傷と考えると分かり易い。

そしてこの場合、抽出したコーヒーのフレーバーは、とてもスモーキーでロースト臭の強いものになる。Scott Rao的には最もやってはいけない焙煎ということになるが、世の中にはこのような味を好む人も少なからずいるようなので、まったく珈琲焙煎は奥が深い。


バッチが小さいときの焙煎時間短縮の可能性の検証

Scott RaoのCoffee Roaster's Companionの40ページに以下の記述がある。

For any given machine, smaller batches requires less time to achieve adequte development!

曰く、どんな焙煎機であっても、バッチ量が少なければ短時間で目的の焙煎度にすることが出来る、ということである。火力的にはそのとおりであろうが、さてフレーバーは同じになるのか。

そこで、煎り上手のように70gと小さいバッチの場合にこれを当てはめるとどうなるのかを検証してみた。テストに使った焙煎豆はいつもの水洗式ブルンジのニュークロップである。この豆は火が入りにくいが、浅煎りから深煎りまで様々な顔を見せて、それぞれの焙煎度で美味しさがある。

今回はリファレンスとして、5日前に焙煎したDTR20%のシナモンローストの豆を使うことにした。
仮にこれを Take0と呼ぶ。このときは僕のメイン機(最大バッチ600g)で焼くときと同じ程度、13分ほどかけて焙煎したが、今回は同じ焙煎度を8分に縮めることにした。比率にして1.65倍の早焼きである。Take1,2が約8分、Take3は再び13分で焙煎したが、結果を表にしたものが下記である。

結論から書くと、この豆を8分で浅煎りにするのは無理があった。酸味の質が悪くキツイ味で、特に冷めてくるとちょっと飲めないレベルであった。一方で13分で焙煎したシナモンローストは、ウットリするほど美味しい酸味が出ており、この差は非常に大きい。ちなみにTake3は焙煎直後であるが、既に美味しく飲めるものであった。

ブルンジ短時間焙煎の比較

今回は焙煎指数的を揃えることにフォーカスしたのと、外焙煎で風が強かったことで、焙煎プロファイルは少し乱れたが、焙煎指数を見ると、シナモンローストレベルにきっちりと揃った。

ちなみに、焙煎の3つのフェーズの比率を保ちながら、トータル時間を13分から8分に短縮するために、あらかじめ下記のようなプロファイル目標を作って、それを見ながら焙煎した。
ブルンジ焙煎プロファイル・ターゲット


13分のプロファイルを並べたのが下記である。(Take0, Take3)
Burundi_13分浅煎り

そしてこちらが8分で焼いたときのもの (Take1, Take2)
Burundi_8分浅煎り

トータル時間以外は、排出温度、焙煎時間、焙煎指数などがよく一致している Take3にTake2を重ねたものが下記である。

Burundi_Cinnamon_8min_13min_211℃比較


<8分焙煎した豆の様子> きつい酸味
Burundi8分焙煎豆



<13分で焙煎した豆の様子> 心地よい酸味
Burundi13分焙煎豆



味の比較は、同一条件の元、同時にペーパードリップ抽出(CBR=15)することで確認した。
Burundi_8分浅煎り比較

ロガーの有無による焙煎の差を実感!

昨日焼いたブラインド焙煎(ロガー無しでの煎り上手)の珈琲を淹れてみた。エチオピア・イルガチェフェ・ハルスケ・ナチュラルの方は前のブログに追記したとおり、明らかに香りは少ないが、全体的には破綻しておらず、ただおとなしい味に仕上がっている。しかしやはりArtisanを使って焼いたいつものハルスケの方が、ずっと美味しい。 本日念のために、再度、ロガー付きの煎り上手で同じくらいの焙煎度に焼いた豆を用意したので、明日実際に比べてみようと思う。2つのプロファイルを上下に並べると、なぜロガーなしで焙煎した方の香りが少ないかが明確に分かる。
ロガー有無の比較_エチオピア


次にブラインド焙煎のウガンダを飲んでみたら、こちらはちょっと衝撃的なぐらいに味がおかしかった。この珈琲はどの焙煎度で焼いても美味しく、買って頂いたお客さんからもいつも大好評なのだが、これは何かが違う。ロースト臭が目立ちエグ味があるため、いつもの美味しさが感じられない

分析してみると、どうやら水抜き時間が短すぎたことが原因ではないかと思われる。この豆はアフリカ高地産のウォッシュト精製のニュークロップで、豆の密度が高く、火が入りにくいのである。

こちらも本日、ロガー付きの煎り上手で丁寧に焼いたものを用意したので明日、実際に飲み比べてみようと思う。

ロガー有無のプロファイルを並べるとこんな感じである。

ロガー有無の比較_ウガンダ


豆の様子を比べると、ロガー付きで焙煎したものの方が若干赤味を帯びていて、飲む前から美味しそうに見える。
ウガンダ焙煎豆比較


結果的に、思った以上にロガーの効果があることを確認出来て、今回のクラウドファンディングのプロジェクトの有効性にさらに自信が持てたことは収穫である。

追記: 2022/03/02
つい報告しそびれていたが、その後このブランド焙煎とロガー焙煎の焙煎豆を同じように挽いて、同時に同じCBRとタイミングで抽出したものをブラインドカッピングしてみた。

Blind焙煎比較(ウガンダ)

カップの裏に正解のシールを貼っておき、目をつぶって2つのカップをグルグルと回しては飲み比べてみたが、10回くらいやっても100%正解できた。

そもそもウガンダの方はロガー付きが少し浅めだったので簡単すぎたが、エチオピア・ナチュラルはほぼ同じ焙煎レベルで恐らく普通に飲むと大半の人が気が付かないレベルの差であった。しかし注意深く飲むと、香りの強さ、明るさなどに明らかな差があり、区別が出来る。ブラインド焙煎の方は、ハルスケの持つ vibrantな華やかさが大人しくなっている。これはプロファイルの示す通りの結果である。

煎り上手でのブラインド焙煎チャレンジ

本日はちょっと趣向を変えて、Artisanは繋いでいるけれども、画面を見ないで焙煎する実験をしてみた。下の写真のようにパソコンは閉じてあり、要するに、ロガーなしの通常の煎り上手で焙煎した場合、実際にはどういうプロファイルを描いているのか、というわけである。
ブラインド焙煎中


焙煎には1回目がウガンダのウォッシュト精製、2回目がエチオピアのナチュラル精製を使った。

まずウガンダの方はこんな感じである。
Uganda_Blind_Roast

意外なほど綺麗なラインを描けている。RoRが失速してゼロ以下になったりすることもなく、振動も風のある中で焙煎した割に少なく、3つのPhaseのバランスも悪くない。これならロガーを見ながら焙煎したのとほとんど変わらない。やはり毎日のようにロガーを繋いで焙煎している成果だろう。

ちなみにタイマーだけは使用して、コンロの火からの距離はほぼ一定に保って振っていたが、豆の挙動だけで、1ハゼ開始のタイミングも実際に始まる前に感じられた。焙煎は2ハゼ直前で止めて、出来上がった焙煎豆はこんな感じ。まずまずのハイローストである。
ウガンダ・ブラインド焙煎豆


次にエチオピア・ナチュラルを同じ要領で焙煎したが、こちらはちょっと様子が違った。まず火の入りが良過ぎて、5分くらい経過したところで既に1ハゼの予兆が出てきてしまったので、少し火から遠ざけたり勘で調整する必要があった。

その結果はグラフに如実に出ており、一度高くなり過ぎたRoRのラインが7分辺りで失速して、ゼロかマイナス値になってしまっている。また、メイラードのフェーズが短すぎるため香りが少な目になったと思われる。

Harusuke_Blind_Roast

焙煎豆の様子はこんな感じ。なんだか覇気がない雰囲気を感じるのは気のせいだろうか。こちらも2ハゼに少し入った辺りで煎り止めしておりハイローストのはずだが、その割に豆の色が少し薄い。
ハルスケ・ブラインド焙煎豆


以前から、火が入りやすいナチュラル精製豆の方がRoRのラインが大きく振動しやすいと感じていたが、今回もそのような結果となった。

なお、僕は煎り上手に相当に習熟しているから、このレベルに納まったが、もし初心者がブライドで焙煎したなら、もっととんでもないプロファイルを描くことは間違いないだろう。

追記:2022/02/24
昨日焼いたエチオピア・ハルスケ・ナチュラルを今朝、挽いてみたところ、もうこの時点で明確に分かるほどいつもの焙煎よりも香りが少ない。そして普段どおりペーパードリップしてみると、やはり香りが弱めのコーヒーとなった。ただモカのナチュラル豆は元々の香りがとても強いので、弱まった分、飲みやすい感もあり、これはこれで美味しい(^^;

いつも思っていることであるが、「香りを最大限に引き出すことが常に正解」ではない。やはり飲む人の好みで、意図的に香りに強弱をつけた焙煎をすることも大事である。そしてそのためには、やはり自宅でもコントロール焙煎である! 探求の道はまだまだ先が長い。

予熱の効果(ウガンダ浅煎り)

Scott Rao氏の本を読むと、焙煎の最初にある程度の熱量を一気に入れて、豆の表面が乾燥する前、生豆内部の自由水が残っているうちに、豆の芯まで熱を通してしまうことが重要と書いてある。

ということで、それを確認してみたく、煎り上手を使って予熱なし、あり、の二通りの焙煎をやってみた。予熱の有無以外はなるべく同じ条件になるように無理やりやっているため、RORのカーブは結構乱れている。これは致し方ない。

プロファイルはこんな感じである。予熱の効果(ウガンダ浅煎り)

重ねたデータを見ると、焙煎最初の2分くらいのカーブ以外は、かなりきっちり同じラインを描いていることが分かるかと思う。薄いライン(灰色)が予熱あり、黒のラインが予熱なしのカーブである。
ウガンダ(予熱有無重ね合わせ)DTR24

データ的にも、見た目的にもまず区別できない程度に焙煎できた。

予熱の効果(比較データ)

さて、これを24時間置いて、本日カッピングしてみた。
同じ検体を2カップずつ、合計4カップを作り、それをブラインドで確認したところ、とても微妙な差ではあるが、ちゃんと区別は出来た。

結論としては、予熱なし焙煎の方も、想定していたような芯残りは感じられず、ただ酸味がマイルドになっていた。一方、予熱を入れた方は、くっきりとした酸味が立っており、まぁこれも理論通りの結果ではある。正直、どちらも美味しく感じて、特に優劣は付けれなかったが、珈琲豆の持っているポテンシャルを最大限に引き出す、という意味ではやはり予熱を入れた方が良い。

予熱の効果(カッピング)

ちなみに、今回の実験は煎り上手のように急加熱もスローダウンも自由自在に出来る焙煎器だからこそ出来た。普通のドラム式焙煎機では熱容量が大きいため、予熱なしで焙煎を始めると、必然的に長時間焙煎となるため、この場合は全く異なる味になるはずである。

焙煎プロファイル違いのカッピング(丸紅グァテマラ編)

さて、昨日焙煎した4種類+リファレンスとしたセンチュリーフレンド坂下氏焙煎のグァテマラ・ウェウェテナンゴ(丸紅)のカッピングである。いつものように、プラカップにステッカーを貼ったものを用意して、それを裏返してシャッフルすることでブラインド・カッピングとした。手法はJ.C.Q.A.方式で、7gの珈琲粉に対してカップ一杯すりきり(約135cc)の熱湯(95℃)を注いで4分後にブレイク。さらに少し冷めるまで2,3分おいてからカッピング開始。
グァテマラ5種カッピング準備
この時点ではまだ上の段が右から①②③、下の段が右から④⑤と並んでいる。
①センチュリーフレンド坂下氏によるミディアム・ロースト(以下、SFの豆)
②焙煎度 84.4%, DTR=19.8%, AUC=230C*min
③焙煎度 84.3%, DTR=24.9%  AUC=308C*min
④焙煎度 83.1%, DTR=30.3%  AUC=333C*min
⑤焙煎度 80.9%, DTR=38.6%  AUC=419C*min

グァテマラ5種カッピング準備2
粉に挽くとこんな感じ。
④と⑤は色が異なるのですぐに区別できるが、①②③は色だけでは判別不能。

グァテマラ5種カッピング準備3
お湯を注いでからは、シャッフルしてもうどれがどれだか分からない、、といいながら
やはり④と⑤は既に色だけでも異なる。
特に⑤はかけ離れて深い焙煎なので、もう立ち昇る匂いからして全く異なる。

さて結果である。

結論から言うと、やはり同じ焙煎度合いの①②③は非常に似たフレーバーであったが、慎重にカッピングすると、②の豆が一番、柑橘系の酸味が感じられた。実際この豆は投入カロリーが一番少ない。

一方、①と③は非常に似ていたが、これまた集中してカッピングすると、SFの豆の方がわずかに全体にマイルドな味わいであった。DTR=25%の焙煎は一つの理想形であり、SFの豆はそこに近いのか。

一方、興味深かったのは、焙煎度合いは一段上のハイロースト・レベルはずの④の豆が、普通に飲むと、焙煎度合いはミディアムだけど投入カロリーが近い③の豆とかなり味が近いと感じたことであった。AUCの数値と出来上がったコーヒーのフレーバーは、やはりかなり相関があるのかもしれない。

ちなみにフルシティまで焙煎した⑤の豆は当たり前ながら全く別フレーバーのコーヒーであり、これはこれで大変美味しい。大半の日本人が好む "The Coffee" という感じである。



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