香豆火珈琲 (Kaz - Feel - Coffee) - 引越し済


KAZUHICOFFEEは 2021/11/11に開業いたしました。 屋号はそのままKAZUHICOFFEEです。

新HP: https://kazuhicoffeelab.com/
旧HP: http://www.kazuhicoffee.com/
Base: https://kazuhicoffee.thebase.in/

今はまだ珈琲豆のネット販売と時折行う焙煎教室だけですが、これから珈琲の家庭焙煎や小型焙煎機のコンサルティング業という分野を開拓したいと考えております。まずは発明工房さんの「煎り上手」や安価な小型ドラム型焙煎機などにちょっとした装置をつけて、焙煎プロファイルがリアルタイムに見えるようにすることで、短期間で焙煎の技術を学んだり、既に焙煎を開始されている方の技術が上達するようなプログラムを用意したいと考えております。これからまだまだやること山積ですが、まずは出発致しましたことお知らせ致します。 珈琲が仄かに好きという皆様が、もっともっと本物の珈琲のことを知って楽しんで頂けるようにすることが次の自分のミッションだと考えております。家庭用サイズの小型焙煎機を海外から輸入して販売する等も計画しております。皆さまが美味しい珈琲をいつでも気軽に楽しめるようにすることを全身全霊でサポートしたい!!

水洗い

生豆の水洗いの効果検証(カッピング編)

→ 訂正 (2021/12/9)
内容更新しました!

まず今回使用した珈琲豆であるが、両方ともウォッシュト精製のニュークロップで、ブルンジがレッドブルボン種、ウガンダがSL28/34である。SL28はブルボン種の突然変異、選抜種なので、まぁフレーバーが似ていても不思議はない。国の位置関係は下記の図のとおりで、ウガンダは赤道直下、ブルンジはルワンダを挟んでほんの少し北側に位置しており、確証はないが気候やテロワール的に似ていてもやはり不思議はない。

Map_of_Uganda_and_neighboring_countries

ということでこの二つを同じ焙煎度に煎ってみたわけだが、正直これほどよく似た味になるとは思わなかった。自分でも3回カッピングして、ウガンダ・ブルンジを正しく区別できたのは2回目だけ、水洗いの有無に至っては、毎回違う形で間違えてしまった。

一方、今回協力して頂いた僕の焙煎仲間の3名のカッピング結果であるが、こちらもバラバラ、誰も全問正解はなし。一番好みの豆についても意見は割れた。ただし普段、水洗い焙煎をしているY氏のみ水洗いをした・しない、の区別に関しては全問正解してくれた。

→ 訂正 (2021/12/9)
協力してくれた3名のうち、普段から手網や手鍋で水洗い焙煎をされている2名は、水洗いしたかどうか、についてピタリと正解してくれました。ただ微妙な差であったとも言っています。

水洗い比較焙煎豆
水洗い比較珈琲粉
水洗い比較・水色

自分も含めて4名、皆それなりに普段から正しい珈琲を飲んでおり、一般の方よりはずっと珈琲に精通していると自負している。僕自身コーヒーインストラクター1級に合格するために、かなり微妙な違いが分かるまでにカッピング訓練を積んできた。しかしその4名をもってしても、ここまで差がはっきりとしないとはちょっと想定していなかった。

今回は通常は豆の性格が明確に出やすいミディアム・ローストにして比べたが、深く煎るとどうなるか、ニュークロップではなく、カレントやパーストクロップではどうか。はたまたナチュラル精製や昨今流行りのアナエロビックのように発酵香の強い豆ではどうか等、まだまだやってみたい実験はある。

さらに経験的に角が取れて味がかなり丸くなると信じている、お湯洗い(いわゆるアームズメソッド)の効果は実際どれほどのものなのか、なんて検証もいずれはやってみたい。

いずれにせよ今回の結論として、少なくともウォッシュトの新豆で元々雑味が少ないスッキリとした味わいの豆に対しては、水洗いは無用、ということであった。

→ 訂正 (2021/12/9)
上記の結論は少し性急であった。少なくとも水洗いしたかどうかを見分けることは出来る人には出来るようである。ただそれはカッピングという手法を通してその微妙な違いが分かる、という差ではあるかもしれないが、その微妙な差が雑味の多寡やフレーバーの違いで付加価値を生んでいるならば、手間を掛けてでも水洗い焙煎には価値があることになる。いずれにせよ、珈琲豆のオリジンや状態との相性はありそうで、いつでも水洗いすれば味が良くなる、ということはないように思われる。

生豆の水洗いの効果検証(準備編)

手網や手鍋、あるいはアウベルクラフトなどの金網・直火式といった比較的原始的な道具で焙煎されたことがある方ならご存じのとおり、珈琲豆を焙煎するとどうしてもチャフが飛び散る。チャフ・コレクター付き焙煎機であればほとんどはそこに溜まるが、それでも珈琲豆の出し入れのときなどに多少は飛び散るので、焙煎機の横には掃除機が欠かせない。

ちなみにチャフは英語で chaff、カスとかくずといった意味で、お米ならば、もみ殻がチャフである。珈琲豆の場合は、コーヒーチェリーという果実の種子の周りにあった周乳が、精選過程で乾燥されてされて種子が取り出される際に薄皮として残ったものである。生豆は英語では Green Bean、テカテカ光っている薄皮は Silver Skin (= Chaff) である。日本語で生豆だからといって Raw bean とは決して呼ばれない。 閑話休題。

さて僕が追及している家庭焙煎の世界においては、通常、以下の3つの意図を持って焙煎前の生豆を水やお湯で洗う人がいる。一方で、小規模な自家焙煎店では、故森光氏の珈琲美美のように水洗いを看板にしているところが若干あるが極少数派であり、まして大手珈琲焙煎業者が水洗い・お湯洗いをしているという話はとんと聞いたことがない。なぜであろう。

<生豆を洗う理由>
①洗ってチャフを取り除くことで、チャフの飛散量を減らす
②洗うと盛大に汚れが取れるので、なんとなく安心(残留農薬があってもなくなる?)
③味がマイルドになる。雑味が減るなどの付加価値が付く。

①はちゃんとした焙煎機であれば解決

②については迷信的な部分が大きいと考える。確かに洗うと汚れが出るが、本来は焙煎の過程でチャフと共に剥がれ落ちる部分である。ナチュラル精製やハニー精製の方が落ちる汚れは多い。じゃ、ナチュラル精製の豆はより汚くて害があるのか? というとそうは思わない。
また残留農薬が種子にまで及んでいるとは思わないが、仮に微量が残っていたとしても200℃の高温で焼く過程で無毒化されるだろう。一部の柑橘類のようにポストハーベスト農薬でも使われていない限り、まず安全と考えていいと思う。生豆に直接農薬をかけたり燻蒸したりしたら検疫でひっかかるし、味が変わってバレるはず!

さて問題は③である。一般的には、洗うことでフレーバーは少しぼやけて、穏やかな味になると考えられている。この点は付加価値というより味作りの世界で、好みの問題である。では雑味は減るのか? 誰にとっても雑味はない方がいい。

そこで、洗う手間を掛けることの価値がどれほどあるのか検証してみることにした。
使った生豆は、ブルンジ・ギシャ農園とウガンダ・アフリカンスノーで、両方ともウォッシュト精製のニュークロップである。それぞれ600g分を用意し、水洗い用、そのまま焙煎用に二分する。なお、ブルンジの方は欠点豆が最初からほとんど見当たらないが、ウガンダは通常、300gで20-30粒程度取り除いている。


ブルンジ水洗いの様子

水洗いには回転式の野菜切りを使って、お米を研ぐようにゴシゴシとやる。グルグル回して水を切った後はタオルで残った水分を取り除き、さらに焙煎豆用の冷却機に入れて15分くらい乾かす。

ブルンジ水洗い前後重量

上の写真のように見た目はしっかり乾かしたようでも、やはり10gほどは水分が残っていることが分かる。実は次の点が水洗いのもう一つの大事なポイントで③にも通じる話なのだが、水に漬けることで欠点豆が見つけやすくなるのである。小さな虫食い跡や微かなカビなども色が濃くなり見分けやすくなる。また死に豆はより白っぽく見えるため、これも取り除きやすい。下の写真は水洗い前に取り除けなかった欠点豆である。まぁ実際は残っていても気付くほどのフレーバーのダメージは起こさないレベルの欠点豆ではある。もともと欠点豆の多いウガンダの方がより多く見つかったがそれは当然か。

水洗いで見つかった欠点豆



水洗い効果確認(生豆4種)
<生豆の状態、上段が水洗い無し、下段が水洗い有、見た目にはほとんど差がない>

水洗い効果確認(焙煎豆4種)
<なるべく同じ焙煎プロファイルで焼いて、同じように見える4つの珈琲豆>

ウガンダは排出温度を211℃、ブルンジは213℃で揃えた。両方ともより豆本来のフレーバーが分かりやすいミディアム・ローストである。焙煎プロファイルもなるべく揃えてみたが、熱の入れ方なのか水洗いによる水分含水量なのか、同じ豆なのに1ハゼ開始温度に結構差が出たためDTR値は差が出た。一方与えた熱量であるAUCについてはいずれも157C*min [DE: 160℃から測定開始]前後になるようにしたことで、焙煎指数的にもほぼ同じような値になり見た目のロースト度合いもあまり見分けがつかないと思われる。
Burundi_RoastProfile
<最初に焼いたウガンダ水洗いをBackgroundに薄く表示して、その曲線をなぞっている>

水洗い検証準備完了

さて、これをカッピングして味の差を見ていこうと思うが、僕の家庭焙煎仲間の数名にもサンプル豆を提供してブラインド・カッピングして頂き、先入観のない状態で一緒に比べてもらう予定である。結果はまた近日中にブログにアップする。

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