香豆火珈琲 (Kaz - Feel - Coffee) - 引越し済


KAZUHICOFFEEは 2021/11/11に開業いたしました。 屋号はそのままKAZUHICOFFEEです。

新HP: https://kazuhicoffeelab.com/
旧HP: http://www.kazuhicoffee.com/
Base: https://kazuhicoffee.thebase.in/

今はまだ珈琲豆のネット販売と時折行う焙煎教室だけですが、これから珈琲の家庭焙煎や小型焙煎機のコンサルティング業という分野を開拓したいと考えております。まずは発明工房さんの「煎り上手」や安価な小型ドラム型焙煎機などにちょっとした装置をつけて、焙煎プロファイルがリアルタイムに見えるようにすることで、短期間で焙煎の技術を学んだり、既に焙煎を開始されている方の技術が上達するようなプログラムを用意したいと考えております。これからまだまだやること山積ですが、まずは出発致しましたことお知らせ致します。 珈琲が仄かに好きという皆様が、もっともっと本物の珈琲のことを知って楽しんで頂けるようにすることが次の自分のミッションだと考えております。家庭用サイズの小型焙煎機を海外から輸入して販売する等も計画しております。皆さまが美味しい珈琲をいつでも気軽に楽しめるようにすることを全身全霊でサポートしたい!!

自宅焙煎

嶋中氏の本「HOME COFFEE ROASTING」

この本のタイトルを見て実は少々ショックを受けた。というのも、自分は今、家庭焙煎コンサルティングを本業にしようとしており、まさにこういう本を自分でも出したいな、と考えていた矢先だったからである。

嶋中氏の家庭焙煎の本

しかも著者の名前に旦部氏の名前がある。旦部氏と言えば、珈琲マニアなら知らない人はいない有名な珈琲研究家であり、僕自身、特に氏の「コーヒーの科学」には大変お世話になっている。エビデンスに基づいた旦部氏の発言には絶対的な信頼を置いてきた。そこにさらに嶋中労氏である。以前ブログにも書いたとおり、嶋中氏の本は、まるでその人とずっと一緒に過ごしてきたのではないかと思われるほどにリアルさを感じさせるもので、講談調の文章と相まってとても楽しい。ということで大いに期待してアマゾンで早速注文してみたら翌日にはもうポストに入っていた。

さて、読んでみての感想は、正直いって少し拍子抜けであった。もっと技術書よりを期待していた。そもそも共著者に旦部氏の名前はあるが、あくまで全編が嶋中氏の文章であって、内容は珈琲焙煎家などにインタービューしたエピソード満載の珈琲物語的要素が強い。

タイトルの「HOME COFFEE ROASTING」は、昨今の自宅珈琲ブームもあり、家庭焙煎をしている人や、これから開始したい人には実にアピールする。そして表紙には旦部氏の名前である。これは一本取られた! という感じ (^^;

さて内容であるが、さすが嶋中氏の文章だけあって、とても読みやすく一気に最後まで読める。ただし、「コーヒーの鬼」などの迫真のルポぶりに比べて、少しやっつけ仕事的な内容にも見える。そもそも嶋中氏はジャーナリストであって焙煎士ではない。焙煎を実際にやっている者なら突っ込みを入れたくなるような箇所もちらほら見当たる。恐らく色々インタビューして得られた情報は自分で体験したわけではないと細かい部分で消化しきれず、本にまとめるには苦労されたと思われる。

例えば文中に以下の説明があるが実態は逆だろう。モカは小粒でも元気にハゼるし、思いがけず大きく膨らむ。一方、ブラジルは総じてハゼも大人しく、膨らみ方も穏やかで一様である。

<112ページからの抜粋>
「例えばナチュラルのモカと同じくナチュラルのブラジルを比べると、モカは線香花火みたいに弱々しくハゼるが、ブラジルは力強くハゼる」

前半の「お家焙煎の科学」の稿は、旦部氏の「コーヒーの科学」を読んだ方が分かりやすい。手網や手廻し焙煎機の使い方の説明も一人の意見を受け売りしている感じで、やや中途半端である。途中、無理やり水増ししたような内容が入って、読んでいると少々中だるみするが、流石にポイントは抑えている。例えば奇しくも先日僕がブログに書いた大坊氏風の1ハゼなし焙煎についてもなかなか分かりやすく説明している。ただしこれも大坊氏自身の本に書かれている内容と同じではある。

また本書の随所に引用される旦部氏や田口氏の発言については、旦部氏、田口氏の著作を読み漁っている者にとっては既知の内容ばかりであった。

とここまで偉そうなことばかりを書いてきたが、全体としては主だった珈琲の大家の考えや知見を巧みにキュレーションしており、しかも読みやすい文章にまとめているのは流石だと思う。僕は珈琲本を買っても内容が今一つだと直ぐに手放してしまう性分であるが、この本は僕の蔵書に加えようと思う。

自宅焙煎に適した焙煎器具に関する考察


さて、珈琲焙煎を初めて経験された方は、思ったより簡単、という感想を持つだろう。取り合えず焙煎豆を立派な姿にしたければ、ただ焦さないことだけを考えて、弱火で長時間かけて深く煎ればいい。しかしそこがちょっとした罠で、コーヒー液にしたときの味が美味しいかどうかはまた別の話なのである。そこで自宅で行う焙煎に使う小型の焙煎器具を選ぶ際のポイントを確認したい。

今や焙煎器具や焙煎機の種類はとても増えて玉石混交状態であるが、選択基準は以下のとおりである。

・焙煎したいバッチサイズ
・連続焙煎したいか、それともせいぜい1日1回程度の焙煎か? (信頼性)
・どれぐらい手間をかけたいか、あるいはどれぐらい美味しさを追求したいか?
・焙煎の再現性にこだわるか? (温度計によるプロファイル監視が必須)
・深煎り傾向が好きか、浅煎り傾向が好きか

浅煎りが好きなら熱風式の方が簡単、大坊珈琲のような漆黒の焙煎豆を作りたいならドラム式の手廻し焙煎機などがいい。テクニック次第でなんでも可能なのが手網焙煎。しかしこれは体力がいる。あとはハマ珈琲さんが有名にした片手鍋焙煎、際物の電子レンジ焙煎やヒートガン焙煎、エチオピアの伝統的なフライパン焙煎など実に様々な焙煎方法がある。

そして最も肝心なのが予算で、国産のちゃんとした焙煎機は個人にはおいそれと手が出ない価格のものばかりであるが、中国・台湾・韓国などから輸入するのであれば、10~30万円程でなかなかいいものがある。但しサポート面は未知数で、もし故障したら自分で直す覚悟が必要であろう。

熱源は電気が簡単であるが大きめのバッチではカロリー不足。ガスはカセットコンロは不経済で、キッチンの都市ガスは便利だが、奥さん次第。小型LPGボンベは充填してくれる業者がなかなか見つからない。電気式で1番簡単なのは、フレッシュローストSR500/SR800などの熱風で撹拌する方式であろう。

焙煎の奥深さや、楽しさ、精妙さなどを追求したければ、やはりドラム式が面白い。その際大事なのは熱電対温度計が取り付けられるものを選ぶことである。これなら頑張れば Artisanという焙煎ソフトが使えて、プロファイルをリアルタイムで目視したり、ログを残したりできるので、再現性を追求したり、味との相関を研究したりする面白さが出てくる。
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さて、以前にも僕が使っている焙煎器具については何度か紹介してきたが、改めて自分の経験を振り返ってみたい。

1. 1990年代

会社員になって早々に、職場の先輩の影響で珈琲焙煎に目覚めて、その頃は主に南蛮屋本店で買った「いるいる」というホウロクを使って焙煎していた。今もこのホウロク型は、多少の改良など加えたものが数種類売られていますが基本構造は同じで、容量は50g程度、持ち手が筒状で陶器製の本体に生豆を入れてガスコンロの上で振りながら焙煎して、ここぞというところで持ち手の穴から豆を取り出すものです。焙煎中、持ち手は相当に熱くなり、軍手では耐えられず、東急ハンズで革製の分厚い手袋を買ったものでした。説明では3分ほどで焙煎出来る、と書いてありますが、それは誇張で、実際には10分前後かけて煎らないと、煎りムラが酷いことになります。
いるいる
数年後に、当時生豆を買っていた珈琲問屋・天王町店の店頭で電気式焙煎機を見つけて、衝動買いしたのが、今は説明書しか残っていないこの焙煎機で、これは大変な代物であった。細い棒をグルグル回すだけの攪拌では豆は回転せず、かつ縁の方はほとんど動かないため、そのままでは見事なムラムラ焙煎。仕方がないので、焙煎中は機械ごと持ち上げて、ゆさゆさ揺すりながら焙煎していた。さらにサーモスタットで浅い焙煎のまま自動排出されてしまうのを防ぐために、熱検出回路は殺して、代わりに針金で引っ張って好きなタイミングで排出出来るように改造。でもこの焙煎機、どうやっても美味しい珈琲は焼けなかったなぁ。でも懐かしい。。
ファインロースター


2. 2000年前後

相変わらず時々「いるいる」を使っていたが、1998年に仕事関係で英国に赴任になり、生豆が入手できなくなると思い、珈琲問屋で買い込んだ生豆を大量に船便に潜り込ませて英国に持ち込んだ。しかし当時の英国のコーヒーはあまりに悲惨さで、結局、英国にいた6年間はひたすら紅茶を飲んでいた。僕にとっての珈琲暗黒時代である (^^) 
2000年を過ぎてやっとロンドンなどにスタバが出来始めて、後半の3年ほどはスタバでだけ珈琲豆を買って、必ずカプチーノにして飲んでいたものであった。

3. 2010年代

日本に戻ってからの数年は仕事も忙しく、ほとんど焙煎のことは忘れていたが、横浜・本牧珈琲の珈琲豆だけは欠かさず買って、家でも職場でもそれなりに美味しい珈琲を飲んでいた。妻と二人で毎週かなりの量のコーヒーを飲むため、定期的に来る30%OFFセールのときには、一気に3Kgくらい買って冷凍保存したものであった。

2010年後半になり、有名・無名の珈琲店巡りをしまくっていたら、また無性に珈琲焙煎がしたくなり、目を付けたのが手廻し焙煎機、ユニオン・サンプルロースター(パンチング無)である。この焙煎機については何度も紹介してきたので詳細は割愛するが、超単純な構造は故障と無縁で、今のメイン機を買うまで、少しずつ改良しながら毎週ひたすらこれで焙煎してきた。パンチング有りのタイプもあるが、キッチンで焙煎するならお薦めは無しの方である。理由はチャフが飛び散らないから。僕もずっとキッチンで焙煎していたが、煙りはさておき、チャフは焙煎機の中に留まるので意外と散らからなかった。このタイプは燻り臭が付きやすい、という話もあるが、実際は気になるほどではなく、周りの人達にも美味しいと好評でした。一度に400-500gを焙煎したいのであれば今でも最有力候補であろう。ただ、外でやるなら風対策は必須である。また、炎が焙煎機の外にはみ出すため熱効率は著しく悪く、カセットコンロだと燃料費が嵩むのが難点である。
青空焙煎キット


2010年代の最後にはGeneCafeという完全熱風式焙煎機をまたも珈琲問屋で購入。これは温度ダイヤルやタイマーを合わせたらあとはお任せ自動焙煎も可能なものだが、実際には回転する豆をじっと観察しながら、ここぞというタイミングで強制排出ボタンを押して煎り加減を選ぶ必要がある。浅煎りも得意で比較的綺麗に焼けるが、ハゼ音がほとんど聞こえないことと、連続焙煎が出来ないことが難点だ。また、日本の100Vでは火力不足気味で、マニュアル通りにやると、加熱に時間がかかり過ぎて豆が乾燥し過ぎて美味しく焼けない。美味しく焼くには空焼き「予熱」が必須である。ヒーターの寿命が縮むという人もいるが、そんなこと言っていられない。
GeneCafe焙煎機


4. 2020年~現在

今年の2月に10か月待ちでついに届いたのが今のメイン機、Cormorant CR600、英国製クラフト焙煎機である。これも何回か紹介してきたので詳細は割愛。およそ基本機能は全て備わった半熱風式の小型焙煎機である。一度これを使い始めると、もう手廻し焙煎機には戻れない!
Cormorant焙煎機


さらに少し前にMakuakeで買ったのがサンプル焙煎用のSandBox Smart 焙煎機であるが、これはなかなか絶妙に焙煎してくれる一方で、焙煎中の豆が見えず、プロファイルの調整はかなり難しい。
SandBox焙煎機

なお、この焙煎機に付属してきた下記の冷却装置は、浅煎りなどどうしても残ったチャフも綺麗に分離してくれる構造になっており大変重宝している。
冷却装置


その他、下記のような手網焙煎器具を時々使うが、なかでも「煎り上手」は誰でもとても綺麗に焼けるので、僕は初めての人にはいつもこれを勧めてきた。ただし説明書にあるような3分では焼けないのは「いるいる」と同様である。ちゃんとやるなら、少し予熱もした上で、10分前後かけて焙煎したい。

手網焙煎器具


最後に Dr.MAHN(上記写真の左端)という上部が開いた手網焙煎器具であるが、これの利点は焙煎中に豆の一部取り出すのが容易という点で、一度の焙煎で複数の焙煎度合いの珈琲豆を作るには大変便利である。僕が焙煎教室をやるときには、100gの生豆を投入して、同じ生豆から浅煎り、中煎り、深煎り(or 中深煎り)を約30gずつ一度に作って、生徒さんに味を比べてもらったりしている。



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