香豆火珈琲 (Kaz - Feel - Coffee) - 引越し済


KAZUHICOFFEEは 2021/11/11に開業いたしました。 屋号はそのままKAZUHICOFFEEです。

新HP: https://kazuhicoffeelab.com/
旧HP: http://www.kazuhicoffee.com/
Base: https://kazuhicoffee.thebase.in/

今はまだ珈琲豆のネット販売と時折行う焙煎教室だけですが、これから珈琲の家庭焙煎や小型焙煎機のコンサルティング業という分野を開拓したいと考えております。まずは発明工房さんの「煎り上手」や安価な小型ドラム型焙煎機などにちょっとした装置をつけて、焙煎プロファイルがリアルタイムに見えるようにすることで、短期間で焙煎の技術を学んだり、既に焙煎を開始されている方の技術が上達するようなプログラムを用意したいと考えております。これからまだまだやること山積ですが、まずは出発致しましたことお知らせ致します。 珈琲が仄かに好きという皆様が、もっともっと本物の珈琲のことを知って楽しんで頂けるようにすることが次の自分のミッションだと考えております。家庭用サイズの小型焙煎機を海外から輸入して販売する等も計画しております。皆さまが美味しい珈琲をいつでも気軽に楽しめるようにすることを全身全霊でサポートしたい!!

焙煎機

Sandbox Smartのプリセット焙煎プロファイルの実力

Sandboxコチャレ3段階焙煎

先日、僕のブログを見た方から Sandbox Smartに関する問い合わせがあり、その後、話の流れでその方に僕のログハウスまで来て頂き実際にこの焙煎機に触って頂いた。実は昨年5月に購入して以来、最初の印象が僕にとっては少々期待外れだったため、他のことで忙しかったこともあり、正直この焙煎機はあまり使っていなかった。気が付けば、Makuake限定の無償でついてきた6か月間のVIPモードも剥奪されている。よって今使えるのはプリセット・モードだけであるが、なぜかそれが表示できない。どうやら現在のソフトウェアバージョン(v3.1.1-build 280)のバグらしい。以下の画面が出て、プロファイルは何も出てこない。うーむ。
Sandboxソフトバグ


正確には、焙煎機をブルートゥース接続するまではプロファイルのリストは正常に表示されているが、デバイスを接続すると全部消えてしまうというバグである。なんでやねん!
と思って、いろいろ触っていたら、裏技発見!

それは、デバイスを接続せずにプロファイルを選んで、気にせずに開始ボタンを押す、というもの。すると、デバイスを接続するか確認が出るので、そこで繋ぐと何事もなく動くではないか!

ということで、最近入手した エチオピア・イルガチェフェ・コチャレ・ウォッシュトの豆でいくつかのパターンを焙煎テストしてみた。選択肢は以下の8種類である。VIPモードのように産地や精製方法の区別はないので、後はこれらを元に手動で編集したプロファイルを作っていくことになる。今回は面白そうな以下の3パターンを確認してみた。

1) 酸っぱい香り味
2) スロー中煎り
3) 強くてまろやかな味

ちなみに下記の8段階は上から下に向かって焙煎度合いが強くなっていくわけであるが、スローxxというのは、1ハゼからカウントする排出までの時間は同じで、投入温度や最初の加熱が控えめで焙煎時間だけが延びるようになっている。

Sandboxプリセット・プロファイル


1) 酸っぱい香り味
Sandboxプリセット浅煎り酸香


2) スロー中煎り
※これは焙煎最後で豆温度が下がってしまっており、Scott Raoに言わせれば最悪な焙煎。香りが抜けて、フラットで段ボール紙のような味になるパターンである。
Sandboxプリセット・スロー中煎り

3) 強くてまろやかな味
Sandboxプリセット・まろやか深煎り

取り合えず、焙煎したてをV60でペーパドリップして飲んでみた感想は以下のとおり。

1) 酸っぱい香り味
・イルガチェのウォッシュトはやはりスィートスポットが広く、1ハゼから50秒で停止して最初の写真のとおり、かなり浅い焙煎であるが、きつい酸味などなく、レモン系の柑橘フレーバーが楽しめる。ただし香りのピークには全然達しておらず、ちょっと物足りない感じの味。

2) スロー中煎り
・最初に飲んだ感想は、まさにペーパーのような味。全然酸味も香りも感じない。こりゃ酷いな、と思いながら最後まで飲んでいたら、冷めてきたらさすがイルガチェ、やはり柑橘が強く香ってきて、これはこれでまぁいけるかな、と。ただこれもベスト焙煎でないことは確かである。

3) 強くてまろやかな味
・これは2ハゼに突入して10秒ほどで止めた焙煎で、流石にもう柑橘系は感じられず、コーヒーらしい円やかな苦味が口の中に広がり、3つの中では一番の飲みごたえがあり美味しい。ただし、流石にここまで焼くと、言われなければ、イルガチェ・ウォッシュトとは気が付かないかもしれない。

それにしても、この浅煎りプロファイルのネーミングである。酸っぱい香り味。日本人なら絶対に付けない命名で、ちょっとクスっとさせられた。

酸っぱい香り味

この浅煎りプロファイルは実際にはデフォルトは一ハゼ開始から45秒で止めるようになっているが、一番上の浅煎りプロファイルはなんと30秒である。そこまで浅くてはさすがに芯が残っていそうであるが、一応今度やってみるかな。

Sandboxプリセット・浅煎りプロファイル

自宅焙煎に適した焙煎器具に関する考察


さて、珈琲焙煎を初めて経験された方は、思ったより簡単、という感想を持つだろう。取り合えず焙煎豆を立派な姿にしたければ、ただ焦さないことだけを考えて、弱火で長時間かけて深く煎ればいい。しかしそこがちょっとした罠で、コーヒー液にしたときの味が美味しいかどうかはまた別の話なのである。そこで自宅で行う焙煎に使う小型の焙煎器具を選ぶ際のポイントを確認したい。

今や焙煎器具や焙煎機の種類はとても増えて玉石混交状態であるが、選択基準は以下のとおりである。

・焙煎したいバッチサイズ
・連続焙煎したいか、それともせいぜい1日1回程度の焙煎か? (信頼性)
・どれぐらい手間をかけたいか、あるいはどれぐらい美味しさを追求したいか?
・焙煎の再現性にこだわるか? (温度計によるプロファイル監視が必須)
・深煎り傾向が好きか、浅煎り傾向が好きか

浅煎りが好きなら熱風式の方が簡単、大坊珈琲のような漆黒の焙煎豆を作りたいならドラム式の手廻し焙煎機などがいい。テクニック次第でなんでも可能なのが手網焙煎。しかしこれは体力がいる。あとはハマ珈琲さんが有名にした片手鍋焙煎、際物の電子レンジ焙煎やヒートガン焙煎、エチオピアの伝統的なフライパン焙煎など実に様々な焙煎方法がある。

そして最も肝心なのが予算で、国産のちゃんとした焙煎機は個人にはおいそれと手が出ない価格のものばかりであるが、中国・台湾・韓国などから輸入するのであれば、10~30万円程でなかなかいいものがある。但しサポート面は未知数で、もし故障したら自分で直す覚悟が必要であろう。

熱源は電気が簡単であるが大きめのバッチではカロリー不足。ガスはカセットコンロは不経済で、キッチンの都市ガスは便利だが、奥さん次第。小型LPGボンベは充填してくれる業者がなかなか見つからない。電気式で1番簡単なのは、フレッシュローストSR500/SR800などの熱風で撹拌する方式であろう。

焙煎の奥深さや、楽しさ、精妙さなどを追求したければ、やはりドラム式が面白い。その際大事なのは熱電対温度計が取り付けられるものを選ぶことである。これなら頑張れば Artisanという焙煎ソフトが使えて、プロファイルをリアルタイムで目視したり、ログを残したりできるので、再現性を追求したり、味との相関を研究したりする面白さが出てくる。
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さて、以前にも僕が使っている焙煎器具については何度か紹介してきたが、改めて自分の経験を振り返ってみたい。

1. 1990年代

会社員になって早々に、職場の先輩の影響で珈琲焙煎に目覚めて、その頃は主に南蛮屋本店で買った「いるいる」というホウロクを使って焙煎していた。今もこのホウロク型は、多少の改良など加えたものが数種類売られていますが基本構造は同じで、容量は50g程度、持ち手が筒状で陶器製の本体に生豆を入れてガスコンロの上で振りながら焙煎して、ここぞというところで持ち手の穴から豆を取り出すものです。焙煎中、持ち手は相当に熱くなり、軍手では耐えられず、東急ハンズで革製の分厚い手袋を買ったものでした。説明では3分ほどで焙煎出来る、と書いてありますが、それは誇張で、実際には10分前後かけて煎らないと、煎りムラが酷いことになります。
いるいる
数年後に、当時生豆を買っていた珈琲問屋・天王町店の店頭で電気式焙煎機を見つけて、衝動買いしたのが、今は説明書しか残っていないこの焙煎機で、これは大変な代物であった。細い棒をグルグル回すだけの攪拌では豆は回転せず、かつ縁の方はほとんど動かないため、そのままでは見事なムラムラ焙煎。仕方がないので、焙煎中は機械ごと持ち上げて、ゆさゆさ揺すりながら焙煎していた。さらにサーモスタットで浅い焙煎のまま自動排出されてしまうのを防ぐために、熱検出回路は殺して、代わりに針金で引っ張って好きなタイミングで排出出来るように改造。でもこの焙煎機、どうやっても美味しい珈琲は焼けなかったなぁ。でも懐かしい。。
ファインロースター


2. 2000年前後

相変わらず時々「いるいる」を使っていたが、1998年に仕事関係で英国に赴任になり、生豆が入手できなくなると思い、珈琲問屋で買い込んだ生豆を大量に船便に潜り込ませて英国に持ち込んだ。しかし当時の英国のコーヒーはあまりに悲惨さで、結局、英国にいた6年間はひたすら紅茶を飲んでいた。僕にとっての珈琲暗黒時代である (^^) 
2000年を過ぎてやっとロンドンなどにスタバが出来始めて、後半の3年ほどはスタバでだけ珈琲豆を買って、必ずカプチーノにして飲んでいたものであった。

3. 2010年代

日本に戻ってからの数年は仕事も忙しく、ほとんど焙煎のことは忘れていたが、横浜・本牧珈琲の珈琲豆だけは欠かさず買って、家でも職場でもそれなりに美味しい珈琲を飲んでいた。妻と二人で毎週かなりの量のコーヒーを飲むため、定期的に来る30%OFFセールのときには、一気に3Kgくらい買って冷凍保存したものであった。

2010年後半になり、有名・無名の珈琲店巡りをしまくっていたら、また無性に珈琲焙煎がしたくなり、目を付けたのが手廻し焙煎機、ユニオン・サンプルロースター(パンチング無)である。この焙煎機については何度も紹介してきたので詳細は割愛するが、超単純な構造は故障と無縁で、今のメイン機を買うまで、少しずつ改良しながら毎週ひたすらこれで焙煎してきた。パンチング有りのタイプもあるが、キッチンで焙煎するならお薦めは無しの方である。理由はチャフが飛び散らないから。僕もずっとキッチンで焙煎していたが、煙りはさておき、チャフは焙煎機の中に留まるので意外と散らからなかった。このタイプは燻り臭が付きやすい、という話もあるが、実際は気になるほどではなく、周りの人達にも美味しいと好評でした。一度に400-500gを焙煎したいのであれば今でも最有力候補であろう。ただ、外でやるなら風対策は必須である。また、炎が焙煎機の外にはみ出すため熱効率は著しく悪く、カセットコンロだと燃料費が嵩むのが難点である。
青空焙煎キット


2010年代の最後にはGeneCafeという完全熱風式焙煎機をまたも珈琲問屋で購入。これは温度ダイヤルやタイマーを合わせたらあとはお任せ自動焙煎も可能なものだが、実際には回転する豆をじっと観察しながら、ここぞというタイミングで強制排出ボタンを押して煎り加減を選ぶ必要がある。浅煎りも得意で比較的綺麗に焼けるが、ハゼ音がほとんど聞こえないことと、連続焙煎が出来ないことが難点だ。また、日本の100Vでは火力不足気味で、マニュアル通りにやると、加熱に時間がかかり過ぎて豆が乾燥し過ぎて美味しく焼けない。美味しく焼くには空焼き「予熱」が必須である。ヒーターの寿命が縮むという人もいるが、そんなこと言っていられない。
GeneCafe焙煎機


4. 2020年~現在

今年の2月に10か月待ちでついに届いたのが今のメイン機、Cormorant CR600、英国製クラフト焙煎機である。これも何回か紹介してきたので詳細は割愛。およそ基本機能は全て備わった半熱風式の小型焙煎機である。一度これを使い始めると、もう手廻し焙煎機には戻れない!
Cormorant焙煎機


さらに少し前にMakuakeで買ったのがサンプル焙煎用のSandBox Smart 焙煎機であるが、これはなかなか絶妙に焙煎してくれる一方で、焙煎中の豆が見えず、プロファイルの調整はかなり難しい。
SandBox焙煎機

なお、この焙煎機に付属してきた下記の冷却装置は、浅煎りなどどうしても残ったチャフも綺麗に分離してくれる構造になっており大変重宝している。
冷却装置


その他、下記のような手網焙煎器具を時々使うが、なかでも「煎り上手」は誰でもとても綺麗に焼けるので、僕は初めての人にはいつもこれを勧めてきた。ただし説明書にあるような3分では焼けないのは「いるいる」と同様である。ちゃんとやるなら、少し予熱もした上で、10分前後かけて焙煎したい。

手網焙煎器具


最後に Dr.MAHN(上記写真の左端)という上部が開いた手網焙煎器具であるが、これの利点は焙煎中に豆の一部取り出すのが容易という点で、一度の焙煎で複数の焙煎度合いの珈琲豆を作るには大変便利である。僕が焙煎教室をやるときには、100gの生豆を投入して、同じ生豆から浅煎り、中煎り、深煎り(or 中深煎り)を約30gずつ一度に作って、生徒さんに味を比べてもらったりしている。



CR600のメインテナンス、故障履歴について

CR600アップ白黒
ちょっと長い記事となるが、CR600のメンテナンスについて説明を試みたい。
以前使っていた手廻し焙煎機は当然ながら故障とは無縁であり、メンテと言えば蓋を開けて中にたまったチャフを捨てるだけであった。そのため正直なところ本格的な焙煎機がこんなに手が掛かるとは想定していなかった。 1バッチが600gなのでチャフの発生量もかなり多く、チャフ受けに全て入ってくれればいいのであるが、実際には内部にかなり溜まり、これは蓋を開けて清掃する以外に方法がない。FBのユーザーグループの書き込みを見ると、どうやらメンテを怠っているとドラムからの排気口が詰まって、最悪、相当なところまでバラさなければ復旧できない状況になるらしいので、僕は週1で清掃するように心がけている。

★★★【清掃メンテナンス】★★★
〇ステップ1:ホッパーと豆受けのボウル取り除いて、電源も外してから焙煎機をひっくり返す。
       結構重いのでドスンとならないように慎重に!
CR600メンテ開始


〇ステップ2:手前の足2つを外し、裏蓋のネジ4つも外して、裏蓋を開ける。

CR600ボトム

〇ステップ3:掃除機と刷毛で丁寧に溜まっているチャフを取り除く。

CR600清掃
CR600清掃前後

〇ステップ4:元通り蓋をして、PhidgetのUSBケーブルを挿してから慎重に焙煎機を起こす。
〇ステップ5:電源を繋いで、ファン、ドラムのつまみを回して動作に問題がないことを確認する。

あとは排気ダクトにブロワーの空気を送り込んで内部のチャフや煤を飛ばして清掃しておしまい。
CR600ダクト清掃

以上。

次は、ついでに今までの故障歴についても紹介したい。

★★★【故障その1:初期不良(排気FANの割れ)】★★★
CR600FAN交換前


少し間抜けな話だが、使い始めて3か月ほど経ってやっと、時々生じる異音が気になって、よく観察していたら、なんと排気FANの1つにクラックが走っていることを発見。どうやら輸送中の衝撃で力が掛かった様子。初期不良である。早速、Cormorant社のJohanに連絡したら直ぐに新しいFANを送ってくれるとの返事。安心して待つこと2週間ほどでモノが届いた。もちろんすべて無償。
メンテマニュアルとか何もないが、交換はさほど難しくなく、取り合えず2連結されたFANを外して無事交換完了。修理後の確認でも問題なし。良かった!
CR600FAN交換中

★★★【故障その2:点火確認用の熱電対の故障】★★★

FAN交換後の最初の焙煎テストは問題なかったので安心していたら、なんと翌日から何かおかしい。火がなかなか点かず、しかもすぐ消えてしまうのである。そうこうしているうちに、どうやっても点火はしてもガスが直ぐに遮断されてしまい焙煎不能になってしまった。ユーザグループの情報を見ていると、どうやらこれはちょっとした傾向不良のようで、点火成功を検出する熱電対の故障であることが分かった。再びJohanに連絡。この時は焙煎出来ないという緊急事態であったため、インターネットフォンで国際電話して必死で状況を伝えたら、交換パーツを無償で送ってくれること、及び暫定対応方法を伝授してくれた。つまり熱電対の起電力を乾電池で置き換える、という方法であった。

結局この状態で1か月ほど使うことになったのであるが、回路のインピーダンスが相当に低いのか、新品のアルカリ乾電池がみるみるなくなる。接続しっぱなしだとモノの30分も持たず、ON/OFFスイッチを追加する必要があった。一度試しにニッケル水素電池(1.2v)を繋いでみたら、直ぐに駄目になったので訝って確認したら、なんと高熱でパッケージが溶けてしまっていた。要するにNiMHは内部抵抗が低いために、乾電池の時以上に大電流が流れてしまい加熱したらしい。

さて待つこと1か月余り、やっと届いた熱電対の取り付けはそれほど容易ではなかったが、とにもかくにも交換は終了し、恐る恐る点火してみると、もうガスが勝手に消えることはなく安定していることを確認して一安心。

今回はドラム部分まで外して行う大手術(というほどでもないが^^;)
CR600熱電対交換1
CR600熱電対交換1アップ


CR600熱電対交換2
CR600熱電対交換3


結局、その後は今後のことも考えて排気ダクト、熱電対スペア、排気ファン、制御ボードなどをまとめて購入。Johanの好意でほとんど原価だと思われる合計1万円ほどであった。

最後に、Artisanなどの焙煎制御ソフトを使うための熱電対温度計についても少し紹介しておきたいと思う。この焙煎機は内蔵温度計があるので、Artisanなしでも焙煎可能であるが、やはりArtisanが使えるのと使えないのでは焙煎の面白さ、再現性などで段違いの差が出るので、まずは必須アイテム(オプション)と考えたい。裏返すと 熱電対からの出力をUSBに変換するPhidgetボードと、2入力を1つにまとめるViNTハブが見える。取り付けも粘着テープとマジックテープという簡便さ。これらは別に他にも同じことが出来るボードがあれば置き換えが出来る。しかしArtisanがサポートしている変換ボードでなければならないため、結局はこの組み合わせを選ぶことになるであろう。
CR600 Phidgetモジュール

Sandbox Smart ロースター

2月半ばにマクアケ・クラウドファンディングで申し込んだ台湾製の小型焙煎機 SandBox Smart Roasterが先日ようやく届いたので使ってみた感想を少しばかり報告したい。この焙煎機が画期的なのは、このサイズと価格でスマホとBluetoothで繋がって、焙煎中のプロファイルを管理できる点である。

最大焙煎量100gに対して、マクアケ先行価格でも88000円というのは少し高いと思う人も多いかもしれない。しかし各種焙煎機を持っている僕にとってはサンプルローストするのに都合が良いサイズである。同様なことができるIKAWA/Panasonic The Roastの本体が20万円以上することを考えると、まぁ安いとも言える。実際、マクアケ達成率は6000%となっており、採算分岐点の60倍も人気があったようである。この焙煎機は分類的には「電気式&直火式 」であり、僕のコレクションにはないタイプであることも購入動機となった。
SandBox_Laos比較準備

<僕の焙煎機コレクション>
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手網(普通の手網、Dr MAHN) 直火、ガス
手網  (煎り上手) 半熱風に近い直火、ガス
Union 手廻しロースター 半熱風、ガス
GeneCafe Roaster 完全熱風、電気
Cormorant CR600 直火/半熱風切替、ガス、
SandBox Smart Roaster 直火、電気

さてSandBoxの話に戻って、使い勝手はどうかというと、これがなかなか微妙である。
電気式小型焙煎機の課題は一般的に焙煎豆の冷却性能であるが、SandBoxはここをあっさりと諦めて外で冷却する方式である。これは焙煎している者から見れば良い決断だと思うが、初心者にとっては恐らく以下の点でハードルが高くなると思われる。
SandBox生豆投入

1) 予熱で熱くなった焙煎機本体に焙煎カゴを手で入れるのがちょっと原始的
2) 熱い焙煎機から焙煎カゴを取り出して、焙煎豆を冷却機に移す作業が大変
3) 焙煎機の内部や外に飛び散ったチャフの掃除が煩雑
SandBoxチャフ汚れ

特に2番はトリッキーで、実際僕は初回焙煎では慌ててしまい、焙煎カゴを開ける際に熱い焙煎豆をログハウスのベランダにぶちまけてしまった。付属のグローブが馬鹿デカく指先が不自由なせいでもある。でもこれは、熱い焙煎カゴをまず冷却装置のザルにそのまま乗せてから、落ち着いて蓋を開けることで解決した。

SandBox焙煎豆冷却

一方で、焙煎自体は開始から終了までスマホでモニターしながら、お任せもできるし、慣れれば少し自分の味付けで制御も可能な点はとても快適である。

ただしお任せとはいっても、この焙煎機は一ハゼ開始のタイミングを自分で入力してあげる必要がある。従来の小型焙煎機は温度と時間だけで自動的に焙煎度合いを決めて豆排出まで行うのに対して、より実際の焙煎士が行う作業に近いことをやらせる点が第2の画期的な点である。一ハゼ開始ボタンを押すと焙煎停止までのカウントダウンが始まるが、これはDTR (Development Time Ratio)の概念を取り入れたのかもしれない。つまり1ハゼ開始~豆排出までの時間(Development)が焙煎トータル時間の何パーセントかが大事、という考え方である。
SandBox焙煎モニター

付属のプロファイルでは、RORは焙煎開始時に高く、その後は単調に減っていくようになっている。

SandBox焙煎度設定

ということで今回は、随分前に珈琲問屋のバーゲンで買って少しだけ残っていたラオスのナチュラル精製を、浅煎り、中煎りの2つに煎り分けてみた。この豆は正直、相当オンボロで、欠点豆のオンパレード、浮豆だらけ、というものであるが、丁寧にこれらを取り除いたものを同量に分けたものを用意した。

自動焙煎モードは3段階のみ、それを通常スピード、スロースピードの2段階に分けて6種類が選べるようになっている。なお、VIP会員という有料サブスクに入ると、珈琲豆の産地毎に開発した特別焙煎プロファイルを使えるようになるが、今ある選択肢はとても限られていてサブスクまでする価値は薄いかもしれない。
Sandbox焙煎度メニュー

結論から言って、焼き上がった豆に浅煎り、中煎りともムラは全くなく大変綺麗である。また、3段階だとさすがに浅煎りと中煎りで、かなりくっきりと差が分かる色合いとなった。
SandBox焙煎度比較1


予熱の設定は初期設定では190度となっており、到達するのに4分弱の時間がかかった。2回目の焙煎では、Coolingプロセスを途中で止めて直ぐに次の焙煎に入ることで半分以下の時間に短縮できる。この手の小さな電気式焙煎機で、Back to back焙煎OK、と明言しているものは意外と珍しいかもしれない。
SandBox焙煎開始合図


次は同じ生豆を100gずつ6セット作って、それらを6種類の自動焙煎モードで焙煎して、見た目の違いや珈琲液にした時のカップの違いなどを確かめてみようと思う。

英国製クラフト焙煎機CR600の紹介

直輸入した英国製のクラフト焙煎機 Cormorant CR600を使い始めて3か月ほど経った。昨年の5月に注文して届いたのが今年の2月23日なので9か月以上も待ったわけであるが、待っただけのことはあるクラフト機の名に相応しい質感の高い綺麗な焙煎機である。
CR600全体(カラー)


この焙煎機は小型ながら、およそ焙煎に必要な機能はすべて盛り込まれている。ただし全てマニュアル操作であり、管理ソフトのArtisanの使用が欠かせない。スペックは以下のようになっている。

SPECIFICATIONS - Cormorant Roasters

内蔵の赤外線セラミックバーナーは燃焼効率がとてもよく、火力をガっと上げて短時間で豆温度を上昇させて香りを引き出したり、逆に火力を絞ってBake気味に引き延ばしながら甘味を出したりと、味作りが自由自在。あとは焙煎士の腕次第、といったところである。
CR600_Burner

焙煎中に制御するのは、ガス圧、エアー(熱風)量、ドラム回転速度、そして直火式/半熱風式を切り替えるDiffuserというレバーで、Artisanを使ってプロファイルをモニタリングしながら焙煎する。乗り物に例えるならば小型スポーツカーを操る感覚で焙煎している。ガス圧やエアーの調整が少々ピーキーなところも、焙煎中の心地よい緊張感を呼び起こし、とても楽しい。
CR600_Trier

この焙煎機で焙煎すると、少なくとも僕のやり方で焙煎すると、なぜか珈琲にとても甘味が出るのである。なぜこうなるのかは現在、開発元のCormorant社にも問い合わせたりと究明中だったりするが、甘味を引き出した焙煎が出来る理由として、Diffuserの存在やドラムの蓄熱性の高さが大きいと思われる。火力が強くドラムの蓄熱性が高いと、豆の量が多くてもしっかり芯まで熱を入れることが出来るので、僕は予熱を少し高めにとって、最初の1分半はガスを切って予熱だけで焙煎開始(水抜き)するようにしている。

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ちなみに社名のCormorantとは英語で鵜のことであるが、この鳥のマークがロゴに使われている。焙煎機の正面のロゴは、パッと見は単なるロゴなのだが、実はロゴ型に抜かれた覗き窓で、焙煎中はここからバーナーの火が目視できる仕組みだ。最初は「この焙煎機は焙煎中の火は見えないのが難点だな」などと勘違いしていたくらい、さり気ないギミックとなっている。
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