先日、1977年の創業以来、45年も続いているという福岡の珈琲美美に行ってきた。
ここはずっと以前から一度は行きたいと思っていた店で、今回やっと念願がかなった形。
創業者の森光宗男氏は6年ほど前に韓国で客死されたが、今は奥様が立派に伝統を受け継いで経営されている。
3日間だけの北九州旅行であったが、その間に2回訪れてみて思ったことは、店主のこだわりの凄さと
そのご威光が今も店の隅々、店員の一人一人にまで及んでいる、ということであった。
美美は創業時はずっと狭い店で、交通量の多い国道沿いにあったらしいが、今は博多郊外の福岡城跡の近く、大濠公園の横にひっそりと優雅に建っている。近くには池があり、往時の吉祥寺、井の頭公園参道にあった「もか」に雰囲気がどことなく似ているのは、やはり店主の「もか」への想い入れから選んだ場所なのか。
最初に訪れた月曜日は豆売りだけの日で店主はおらず、店員が2、3名いたのみであったが、これは僕にとっては逆に運がよかったようで、ちょうど生豆のハンドピックをしていた入店3年めという店員さんからゆっくりとお話しを聞いたり、店内を案内して頂いたり出来た。
今回、お店で購入した「モカに始まり」焙煎・抽出・美美編という本を読んでみたが、こちらはタイトルからしてノウハウ本かと思ったら、焙煎や抽出について触れた後、後半は森光氏の思想が詰まったエッセイ集で、同じクラウドファンディングで発刊された産地紀行編に比べてぐっと読みやすい。
さて、美美では生豆を洗ってから焙煎することは有名だが、実は僕はお湯で洗うことまでは知らなかった。今でこそ生豆をお湯で洗ってから焙煎する手法は、アームズメソッドとして自家焙煎をされる人達の間では比較的知られているが、どうやらこれをやり始めたのは森光氏が最初だと思われる。ただし、本の中には、平山一政氏が提唱する「50度洗い」に倣い、という説明書きがある。知らなかったなぁ。
狭い場所に座って根気よく行う店員さんによるマンデリンのハンドピック。僕も横から欠点豆を探すのを協力してみたが、結局、見つけた3粒ほどはどれも合格豆だそうで戻され、逆に僕には見つけられなかった欠点豆をさらに見つけておられたのは流石であった。
店員さんから聞いた話と本の中の説明をまとめると美美の焙煎~抽出の手順はこんな感じである。
- 1バッチ分4キロの生豆を、2キロずつに分けて、合計1時間ほどかけてザルの中でじっくりとハンドピック。欠点豆をなるべく完全に取り除く。
- 次にラーメンの寸胴のような道具を使い、50℃のお湯で3回洗うことで、汚れを落とすと同時に生豆を目覚めさせる。そして洗った生豆は竹ザルに広げて一晩乾かす。(このとき芽を出した豆があったらしい)
- 焙煎は、「もか」の店主の標氏から引き継いだという、富士ローヤル製、半直火半熱風焙煎併用式5キロ焙煎機を使って、必ず奥様が行う。
- 焙煎後は、恐らく再びハンドピックで色付きの悪い豆を取り除くものと思われる。
- 抽出はデミタスならば、30gを木皿に出して、そこでまた2,3分かけて念入りにハンドピックした後、なんと奥様は一粒齧って状態を確かめておられた。
- これを粗挽きにしていよいよネルドリップする。抽出時間は見ていた限りでは3分ほどで、準備段階には物凄く時間を掛けていた割に、点滴から開始した後は必要量をさっと落とすようであった。
店のこだわりは他にも、メニュー毎に異なるカップ、木製の表紙のメニューや陶器の砂糖壺など、店内の至る所に感じられて、まったく隙が無い。さすが、一時は美大を目指したという森光宗男氏ならではの拘りで出来た店内はまるで博物館のようで、全体が調和していてとても落ち着く空間であった。
<店主がマスクをずらして、確認のためにさっと一粒、齧っているように見えた>
<イエメン・ムニール・モカのデミタスと珈琲以外の唯一のメニュー、フルーツケーキ>
<一杯1100円のゴールデン・ハラール・モカ。この豪奢な大倉陶園のデミタスは一体いくらするのか?>
<休みの日の2階の喫茶スペース>
<休みの日の厨房~整然としている>
<一階のレジ回りには、標氏の本や所縁のものが色々と置かれている>
<陶芸家・山本源太氏による砂糖壺。4年半待ってようやく完成したらしい。デカい!>
<木製の表紙がついたメニューも拘りの品の一つ>
ここからは自宅に戻ってからの僕のネルドリップの話。
<美美で買ってきた奥様の手作りのネル>
<銅製の枠はなんとお客さんで会社員の関口氏によるもの~綺麗!>
<淹れるのは美美で買ってきたマンデリン。店員さんが袋に入れる前に竹ザルに入れて、何度も何度も空中に投げ上げて振り混ぜながら、最後の欠点豆チェックをされていたのが印象的であった>
<独特の乳首のような突起がついたネルは、確かにその乳首の先から滴る>
<完成! 30g120㏄で淹れたが、濃すぎることはなく確かに美味しい>
<ついでながら、ネルの御三家?と僕が勝手に呼んでいる3本。コレクション完了!>
長~いブログになってしまったこと、ご容赦。
それほどに感動に満ち溢れた店でした!
<イエメン・ムニール・モカのデミタスと珈琲以外の唯一のメニュー、フルーツケーキ>
<一杯1100円のゴールデン・ハラール・モカ。この豪奢な大倉陶園のデミタスは一体いくらするのか?>
<休みの日の2階の喫茶スペース>
<休みの日の厨房~整然としている>
<一階のレジ回りには、標氏の本や所縁のものが色々と置かれている>
<陶芸家・山本源太氏による砂糖壺。4年半待ってようやく完成したらしい。デカい!>
<木製の表紙がついたメニューも拘りの品の一つ>
ここからは自宅に戻ってからの僕のネルドリップの話。
<美美で買ってきた奥様の手作りのネル>
<銅製の枠はなんとお客さんで会社員の関口氏によるもの~綺麗!>
<淹れるのは美美で買ってきたマンデリン。店員さんが袋に入れる前に竹ザルに入れて、何度も何度も空中に投げ上げて振り混ぜながら、最後の欠点豆チェックをされていたのが印象的であった>
<独特の乳首のような突起がついたネルは、確かにその乳首の先から滴る>
<完成! 30g120㏄で淹れたが、濃すぎることはなく確かに美味しい>
<ついでながら、ネルの御三家?と僕が勝手に呼んでいる3本。コレクション完了!>
長~いブログになってしまったこと、ご容赦。
それほどに感動に満ち溢れた店でした!