香豆火珈琲 (Kaz - Feel - Coffee) - 引越し済


KAZUHICOFFEEは 2021/11/11に開業いたしました。 屋号はそのままKAZUHICOFFEEです。

新HP: https://kazuhicoffeelab.com/
旧HP: http://www.kazuhicoffee.com/
Base: https://kazuhicoffee.thebase.in/

今はまだ珈琲豆のネット販売と時折行う焙煎教室だけですが、これから珈琲の家庭焙煎や小型焙煎機のコンサルティング業という分野を開拓したいと考えております。まずは発明工房さんの「煎り上手」や安価な小型ドラム型焙煎機などにちょっとした装置をつけて、焙煎プロファイルがリアルタイムに見えるようにすることで、短期間で焙煎の技術を学んだり、既に焙煎を開始されている方の技術が上達するようなプログラムを用意したいと考えております。これからまだまだやること山積ですが、まずは出発致しましたことお知らせ致します。 珈琲が仄かに好きという皆様が、もっともっと本物の珈琲のことを知って楽しんで頂けるようにすることが次の自分のミッションだと考えております。家庭用サイズの小型焙煎機を海外から輸入して販売する等も計画しております。皆さまが美味しい珈琲をいつでも気軽に楽しめるようにすることを全身全霊でサポートしたい!!

2022年05月

超高速ノルディックローストの考察

最近編み出した「煎り上手」を用いた超高速焙煎はユニークで魅力的であること、そして一度体験してみればかなりの人がその味の虜になるのでは、とちょっと確信に近いものを感じている。
ちょっとした曲芸のような焙煎である。

初期の頃に撮った動画を上げてあるので、まずはこれを見て頂きたい。

高速焙煎の様子

KAZUHICOFFEEオリジナルの焙煎方法として「超高速ノルディックロースト」と命名してみた。
ただ一人よがりでは仕方ないので、さらに深堀りしていっている。幸いにして、焙煎仲間の一人からバリスタのN氏を紹介して頂いたので、サンプルを送って評価してもらっている最中である。

実は少し前にN氏に送った「ブラジル・ベラビスタ農園のドライオン・ツリー」という豆を超高速焙煎したものを、豆の素性は明かさずにカッピングして頂いたのだが、そのときのコメントが以下のとおりである。

〜〜〜ブラジルDOT②〜〜〜
ドライ/ドライピーナッツ(豆煎餅)
クラスト/コーン菓子・ほうじ茶
ブレイク/フルーツピール・焼き菓子
カッピング/透明感・水水しい・ライトボディ・コーン(🍦)・ほうじ茶・アフターが安定・繊細・ユニーク
※焙煎技術を駆使した新しい味わいでした。
日本蕎麦や和菓子と合わせて飲んだり…
一味違った高貴な体験をしたい方にオススメしたいです😊🍵

2)"どの様な方へ"や"どの様なシーン"で飲んで頂きたいのかを明確に決め、
河村さんの焙煎技術もハッキリと表現されている所がしっかりとイメージ出来ました。
(特に②は、飲んでいて今までとは違った新しいワクワク感があります。)

いかがだろう。なんとも心強い内容のコメントである。自分が感じていたことをこうして言葉にして頂けるのはありがたい。特に、癖になる味、という点でN氏と意見が一致した点が嬉しい。

実は今もそのブルンジを飲んでいるのだが、なんともフレッシュな酸味が心地よく元気が出る。

下記は今回、N氏に送った豆は以下の4種類で、いずれもニュークロップである。
  1. ブルンジ・レッドブルボン・ウォッシュト
  2. エチオピア・ハルスケ・ナチュラル
  3. エチオピア・コチャレ・ウォッシュト 
  4. ペルーホープ・ウォッシュト
焙煎した時のグラフは下記のようであり、いずれお3分以下の焙煎時間である。
詳細は拡大してみて頂きたいが、重量減は凡そ10.0 - 10.5% という感じである。

Burundi_SuperNordic_40g
EthiopiaHarusukeNatural_SuperNordic_40g
EthiopiaKochare_SuperNordic_40g
PeruHope_SuperNordic_40g

焙煎豆の様子は下記のとおりで、排出温度は230度近く通常焙煎ならハイロースト以上の温度であるが、短時間であるため、いずれも焼き色的にはシナモンロースト程度となっている。

重量減が少ない=生豆の持つ成分が多く残っている

よって美味しい。
そしてコーヒーの健康成分の代表である、クロロゲン酸もきっと豊富に残っているだろう。

さてさて、次のN氏のカッピングコメントが楽しみである。

超短時間焙煎~実験結果

昨日、2分半ほどの超短時間焙煎した2種類の珈琲豆をカッピングとペーパードリップで確認してみた。タンザニア・シンジンゴ・ウォッシュトとエチオピア・シャキッソ・ナチュラルである。

最初に豆面と断面の確認。
タンザニアの方はよく見ると少し焦げている豆があった。最初に攪拌が遅れたせいかもしれない。

超高速焙煎モカ豆

一方、割ってみると断面はこんな感じ。
超高速焙煎タンザニア豆アップ
超高速焙煎タンザニア豆断面

グラデーション焙煎にはなっておらず、均等に熱が入っていることが分かる。

エチオピアの方はこんな感じ。美しい豆面である。
超高速焙煎モカ豆2

割ってみるとこんな感じ。こちらもグラデーションはなく均一に火が通っている。
超高速焙煎モカ豆断面2


ということで、まずはカッピングで味の確認。
いつもどおり、コーヒーインストラクター試験で入手したカップを使って、7gの粉に95℃のお湯を注いで4分待つパターンを行った。

超高速焙煎カッピング準備

焙煎豆は流石にかなり硬く、Timemore C3を使って挽いたが結構引っかかる感じであった。しかし非常にいい香りがするのである。なんだか期待できる香り。
超高速焙煎コーヒー粉


ここまで浅いとブレイクしても、ほとんどクラストが浮いていない。
一応、軽く浮いている粉を取り除くと、綺麗な水色が見える。さらに4分ほど待ってからカッピング開始。

タンザニア:
  • アフリカらしい力強い柑橘系の酸味。しかし強過ぎることはなく良いバランス。美味しい。
エチオピア:
  • シャキッソ・ナチュラルには独特なハーブ感があり、個人的にはあまり好きでないのだが、なんと今回のこの焙煎では香りが素直で素晴らしく良い。これも美味しい。
要するに、意外なことに両方ともとても美味しく、しかも生豆のポテンシャルが良く引き出せているのであった。


超高速焙煎水色

次に 10g/150cc/90℃でペーパードリップをしてみた。淹れ方は粕谷バリスタの方式。すなわち、45秒蒸らして2投目、その後も45秒おきに3投目、4投目と150ccまで続けるやり方である。

超高速焙煎ドリップ準備
超高速焙煎ドリップ粉

やはり両方ともとても美味しく、ゴクゴクと両方とも飲み干してしまった!

なんなんだろう。これはノルディックローストの一種なのだろうか。
煎り上手が攪拌しやすいこと、熱伝導が良いこと、そして30gという少量焙煎であること、などがこの焙煎を可能にしているものと思われる。

焙煎の様子の動画を準備中なので、Youtubeに上げたらリンクを掲載したい。

超短時間焙煎~生豆に焦げが出来る原因を探るための実験(前半)

昨日ブログに書いたとおり、いきなり高温で短時間焙煎した場合、珈琲豆に焦げが発生するかの実験を行ってみた。

一般的な焦げの種類と定義は以下のとおりである。この中で今回のテストでは特にScorchedやFacedという現象が発生するかに注目しているので、結果が見えやすいように少し浅めで煎り止めている。

Scorched(焦げ)
 - 投入温度が高過ぎることによる初期の焦げ
 - 黒いスポットが出来るが、焙煎後は判別が難しい
 - 浅煎りでもスモーキーなフレーバーが感じられる
Tipped(欠け、割れ)
 - 熱量過剰で最も構造が弱い胚が焦げること
 - ビスケットの風味やスカンク臭、焦げ臭など
Faced (豆の表面焦げ)
 - 投入量過剰で攪拌が不十分となり、豆表面が焦げる
 - 熱量が多過ぎて、乾燥した豆の表面が焦げる

結論から先に書くと、
  • 高い投入温度で短時間焙煎したくらいでは焦げない
という結果であった。

テスト用の豆:
高温焙煎に強いとされるウォッシュト精製がタンザニア・シンジンゴ、弱いとされるナチュラル精製はエチオピア・シャキッソを50gずつ使用した。

実験手法:
煎り上手を220℃まで予熱して生豆を投入。そのまま高加熱で焙煎して、220℃に達したら排出。

プロファイルはこんな感じとなった。

こちらがウォッシュト精製で焙煎時間は2分35秒ほど。
Test1_Tanzania_Washed_30g

そしてこちらがナチュラル精製で、焙煎時間は2分30秒
Test2_Ethiopia_Natural_30g


焙煎した結果はこんな感じ。全く焦げていない!!

Test1タンザニア焙煎豆

Test2エチオピア焙煎豆


排出温度は220℃と言えば通常はミディアム・ハイ程度の焙煎度合いとなるが、これだけ短時間だと重量減は10.3%と9.3%とさすがに少なく、さてこれを何と呼んだものか。

見た目は結構飲めそうな雰囲気であるが、どうだろうか。
明日は、この豆の断面を調べたり、抽出したコーヒーの味も確かめてみたい。
もしこれで意外と美味しかったりしたら、ちょっとカルチャーショックである。

それにしても煎り上手は、長時間焙煎も可能なら、超短時間焙煎も可能な面白い道具である。

今回は証拠動画も撮ってあるので後日YouTubeにアップしたいと思う。
さらに次は超短時間深煎り焙煎にも挑戦してみたい。

ナチュラル・ローストについての考察

Scott Raoが定義するナチュラルローストはエッセンスにすると以下の一文だけである。

Allways-declining ROR

これは要するに、加熱加速度(ROR)を最初はMaxで開始して、豆のDropまで常にRoRを減らし続ける、しかもなるべくなだらかに、というものであるが、実際にやってみれば、これは結構自然の摂理に反している。かなり頑張っても下記のグラフのように、普通は1ハゼ開始からしばらくして急にRORが下がるクラッシュ、そしてそのリバウンドのフリックが続く。(RORのカーブは青いライン)

UnNaturalRoastKochare

以下はスコットラオの説明の一部である。

焙煎プロセスのうち、2/3程度が吸熱反応とされ、これは豆の外側から内側に熱を伝えている状態。
そして焙煎の初期段階では、Inner/Outer bean のΔTは50℃かそれ以上あると推測される。
早焼きではΔTのピークは大きくなり、ゆっくり焙煎すればΔTは小さい。

加熱していくと最初は front of evaporation (蒸発の最前線)は一番外側の層だが、 それが徐々に内側に進んでいく。内部は外側より温度が低く水蒸気が植物繊維(cellulose)の中に閉じ込められたまま膨張しようとするため豆が膨らんでいく。

そして、1ハゼ時直前には植物細胞の内部気圧は5-25気圧にも達する。
限界まで行くと1ハゼを起こし水蒸気とCO2を放出し、一時的に気化熱が豆の表面から熱を奪うためにクラッシュが起きて、水蒸気の放出が終わると今度は反転して豆中心部の温度が一気に上昇するフリックが発生する。

要するに、普通に焙煎していくと、RORのカーブは:

 - FCの直前でRORがflatになり、その約1分後に plummets、さらに1分弱でreboundする

ということである。

さてこれを防ぐ方法はいろいろ書いてあるが、一番の基本はDry End以降は火力を少しずつ下げていき、水蒸気を徐々に放出させながら豆の外部・内部の温度差を小さくしていき、静かにFC開始に入ること、だと理解した。ただしだからといって、だらだらとメイラードフェーズを引っ張るとRORがフラットやマイナスに近くなり、(メラノイジンの重合が進み)甘さがなくなるそうだから厄介である。

まるでロケットが地球に帰還するときのようにFCには正しいアングルで入る必要がある、ということである。するとクラッシュはほとんど起きず、ゆえにリバウンドも起きにくくなる。
以下は僕が焙煎したかなり完成度の高いナチュラルローストの例である。

NaturalRoastHaruSuke

このコーヒーは焙煎直後にカップを確認したが、期待どおり上品な甘みと酸味が素晴らしく仕上がっていた。数日置けばきっと素敵なフレーバーが立ち上がってくるものと思われるが、お客さんの注文分であったため、残念ながら手元には残っていない。

ところで僕は、ナチュラルローストが成り立つのはハイローストくらいまでだと想定している。

というのは、DTRという考えがあり、1ハゼ開始以降のデベロップメント・フェーズを引っ張り過ぎるとやはり甘さが消える、とされているが、RORをどんどんと小さくしていくと、例えば豆温度で200℃で1ハゼが来たものを、225℃まで上げたいと思ったら、異常に長いデベロップメント・フェーズになってしまうからである。

そもそも深煎りのロースト臭を楽しむのであれば、こんな理論はナンセンスで、まぁせいぜい、珈琲豆を炭化させないように均等にじわじわ熱を入れて焼いていく、というくらいの割と単純な理論でどうにかなるようにも思われる。

確かオオヤミノルさんの本で見たような気がするが、世の中には、「一本焼き」と称して、最初から最後まで同じ火力で一気に焼いてしまう人もいるそうである。きっと深煎りだから成り立つ世界だ
この場合1ハゼ以降、発熱フェーズに入ったらバチバチと元気よく暴走気味に焙煎が進むので、煎り止めタイミングは相当にシビアになるだろう。

それはそうと、ちょっと検証してみたいことがある。

・焙煎開始時にどんなに強い火力で熱しても、攪拌している限り豆の表面が焦げることはない。

煎り上手ならこういう検証も簡単である。早速明日あたりやってみたいと思う。

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