香豆火珈琲 (Kaz - Feel - Coffee) - 引越し済


KAZUHICOFFEEは 2021/11/11に開業いたしました。 屋号はそのままKAZUHICOFFEEです。

新HP: https://kazuhicoffeelab.com/
旧HP: http://www.kazuhicoffee.com/
Base: https://kazuhicoffee.thebase.in/

今はまだ珈琲豆のネット販売と時折行う焙煎教室だけですが、これから珈琲の家庭焙煎や小型焙煎機のコンサルティング業という分野を開拓したいと考えております。まずは発明工房さんの「煎り上手」や安価な小型ドラム型焙煎機などにちょっとした装置をつけて、焙煎プロファイルがリアルタイムに見えるようにすることで、短期間で焙煎の技術を学んだり、既に焙煎を開始されている方の技術が上達するようなプログラムを用意したいと考えております。これからまだまだやること山積ですが、まずは出発致しましたことお知らせ致します。 珈琲が仄かに好きという皆様が、もっともっと本物の珈琲のことを知って楽しんで頂けるようにすることが次の自分のミッションだと考えております。家庭用サイズの小型焙煎機を海外から輸入して販売する等も計画しております。皆さまが美味しい珈琲をいつでも気軽に楽しめるようにすることを全身全霊でサポートしたい!!

2022年02月

ロガーの有無による焙煎の差を実感!

昨日焼いたブラインド焙煎(ロガー無しでの煎り上手)の珈琲を淹れてみた。エチオピア・イルガチェフェ・ハルスケ・ナチュラルの方は前のブログに追記したとおり、明らかに香りは少ないが、全体的には破綻しておらず、ただおとなしい味に仕上がっている。しかしやはりArtisanを使って焼いたいつものハルスケの方が、ずっと美味しい。 本日念のために、再度、ロガー付きの煎り上手で同じくらいの焙煎度に焼いた豆を用意したので、明日実際に比べてみようと思う。2つのプロファイルを上下に並べると、なぜロガーなしで焙煎した方の香りが少ないかが明確に分かる。
ロガー有無の比較_エチオピア


次にブラインド焙煎のウガンダを飲んでみたら、こちらはちょっと衝撃的なぐらいに味がおかしかった。この珈琲はどの焙煎度で焼いても美味しく、買って頂いたお客さんからもいつも大好評なのだが、これは何かが違う。ロースト臭が目立ちエグ味があるため、いつもの美味しさが感じられない

分析してみると、どうやら水抜き時間が短すぎたことが原因ではないかと思われる。この豆はアフリカ高地産のウォッシュト精製のニュークロップで、豆の密度が高く、火が入りにくいのである。

こちらも本日、ロガー付きの煎り上手で丁寧に焼いたものを用意したので明日、実際に飲み比べてみようと思う。

ロガー有無のプロファイルを並べるとこんな感じである。

ロガー有無の比較_ウガンダ


豆の様子を比べると、ロガー付きで焙煎したものの方が若干赤味を帯びていて、飲む前から美味しそうに見える。
ウガンダ焙煎豆比較


結果的に、思った以上にロガーの効果があることを確認出来て、今回のクラウドファンディングのプロジェクトの有効性にさらに自信が持てたことは収穫である。

追記: 2022/03/02
つい報告しそびれていたが、その後このブランド焙煎とロガー焙煎の焙煎豆を同じように挽いて、同時に同じCBRとタイミングで抽出したものをブラインドカッピングしてみた。

Blind焙煎比較(ウガンダ)

カップの裏に正解のシールを貼っておき、目をつぶって2つのカップをグルグルと回しては飲み比べてみたが、10回くらいやっても100%正解できた。

そもそもウガンダの方はロガー付きが少し浅めだったので簡単すぎたが、エチオピア・ナチュラルはほぼ同じ焙煎レベルで恐らく普通に飲むと大半の人が気が付かないレベルの差であった。しかし注意深く飲むと、香りの強さ、明るさなどに明らかな差があり、区別が出来る。ブラインド焙煎の方は、ハルスケの持つ vibrantな華やかさが大人しくなっている。これはプロファイルの示す通りの結果である。

煎り上手でのブラインド焙煎チャレンジ

本日はちょっと趣向を変えて、Artisanは繋いでいるけれども、画面を見ないで焙煎する実験をしてみた。下の写真のようにパソコンは閉じてあり、要するに、ロガーなしの通常の煎り上手で焙煎した場合、実際にはどういうプロファイルを描いているのか、というわけである。
ブラインド焙煎中


焙煎には1回目がウガンダのウォッシュト精製、2回目がエチオピアのナチュラル精製を使った。

まずウガンダの方はこんな感じである。
Uganda_Blind_Roast

意外なほど綺麗なラインを描けている。RoRが失速してゼロ以下になったりすることもなく、振動も風のある中で焙煎した割に少なく、3つのPhaseのバランスも悪くない。これならロガーを見ながら焙煎したのとほとんど変わらない。やはり毎日のようにロガーを繋いで焙煎している成果だろう。

ちなみにタイマーだけは使用して、コンロの火からの距離はほぼ一定に保って振っていたが、豆の挙動だけで、1ハゼ開始のタイミングも実際に始まる前に感じられた。焙煎は2ハゼ直前で止めて、出来上がった焙煎豆はこんな感じ。まずまずのハイローストである。
ウガンダ・ブラインド焙煎豆


次にエチオピア・ナチュラルを同じ要領で焙煎したが、こちらはちょっと様子が違った。まず火の入りが良過ぎて、5分くらい経過したところで既に1ハゼの予兆が出てきてしまったので、少し火から遠ざけたり勘で調整する必要があった。

その結果はグラフに如実に出ており、一度高くなり過ぎたRoRのラインが7分辺りで失速して、ゼロかマイナス値になってしまっている。また、メイラードのフェーズが短すぎるため香りが少な目になったと思われる。

Harusuke_Blind_Roast

焙煎豆の様子はこんな感じ。なんだか覇気がない雰囲気を感じるのは気のせいだろうか。こちらも2ハゼに少し入った辺りで煎り止めしておりハイローストのはずだが、その割に豆の色が少し薄い。
ハルスケ・ブラインド焙煎豆


以前から、火が入りやすいナチュラル精製豆の方がRoRのラインが大きく振動しやすいと感じていたが、今回もそのような結果となった。

なお、僕は煎り上手に相当に習熟しているから、このレベルに納まったが、もし初心者がブライドで焙煎したなら、もっととんでもないプロファイルを描くことは間違いないだろう。

追記:2022/02/24
昨日焼いたエチオピア・ハルスケ・ナチュラルを今朝、挽いてみたところ、もうこの時点で明確に分かるほどいつもの焙煎よりも香りが少ない。そして普段どおりペーパードリップしてみると、やはり香りが弱めのコーヒーとなった。ただモカのナチュラル豆は元々の香りがとても強いので、弱まった分、飲みやすい感もあり、これはこれで美味しい(^^;

いつも思っていることであるが、「香りを最大限に引き出すことが常に正解」ではない。やはり飲む人の好みで、意図的に香りに強弱をつけた焙煎をすることも大事である。そしてそのためには、やはり自宅でもコントロール焙煎である! 探求の道はまだまだ先が長い。

煎り上手での Identical Roast

安価な簡易焙煎機や焙煎道具でたぶん一番難しいことは同じ焙煎の再現である。
例えば手網でも上手くやればプロが本格的焙煎機を使って焙煎したものと遜色のない仕上がりになることもあるが、それを毎回再現せよ、と言われると困ってしまう。

では、僕が今、テーマとして追及している、煎り上手+Artisanロガーではどうか、ということで早速やってみた。

今回は使った珈琲豆は、スペシャルティではなく、コモディティ豆のコロンビアである。なぜこの豆かというと、単にSANDBOX焙煎機を購入したときの付録豆が放置されていたからである。
コロンビア・ナリーニョ

煎り上手での焙煎はいつものようにログハウスのベランダで行ったが、今日もかなり風が強く、炎が揺らぐのと、煎り上手を火から外した途端に風で急速に冷えるため、RoRの青いラインはかなり乱れてしまった。

しかし兎にも角にも、1回目のハイロースト焙煎の曲線を、2回目はなるべくなぞる様に焙煎してみた。
グラフで見ると下記のようになり、そもそも中点までの時間が1分近く開いてしまったため、DE(ドライエンド)までのラインは全く一致していない。しかし徐々に同じラインに乗せて、最終的にはかなり近い数値に揃えることが出来た。

煎り上手でIdentical_Roast_Challenge
<下のグラフは2つを重ねたもの>

数値は以下のとおり。

煎り上手でのIdenticalRoast(数値比較)


どうであろうか。
歩留まりから見ても、たぶんほぼ完ぺきなIdentical Roastと言えるだろう。

さて、次はこの豆を抽出で確かめたわけであるが、見た目はなぜだかTake2の方が微かに赤味がかって見え、こちらの方が美味しそうに感じた。粉にしてみるとさらに微妙であるが、やはり少し色が違うようにも見える。Take2の粉の方が少し明るい。Take1は最初の温度上昇に、もたついてしまったのが悪影響したのかもしれない。
煎り上手でのIdenticalRoast(コロンビア)

抽出方法はなるべく公平にするため、クレバードリッパーを使って浸漬式とした。
煎り上手でのIdenticalRoast(抽出)

CBR=15、湯温=90℃、浸漬時間2分として、熱いときと冷めたときを確認してみたところ、熱いときはTake2の方が少し酸味が立って美味しく感じTake1はフラットな味がした。しかし冷めてくるとその差はもう感じなくなり、正直、違いは全く分からなくなってしまった。 

つまり、煎り上手でIdentical Roastを行う実験としては成功 したと言える。

追記:
久し振りに焙煎したコモディティ豆は、ちゃんと焙煎したにも拘わらず、全般にコンビニ・コーヒーのようなノペっとした味がした。もう何か月もSpecialty級以上のコーヒーしか飲んでいなかったので、後口の悪さが逆に新鮮であった (^^)

RDC ハンドドリップセミナー初級

ごく最近、マニアックなコーヒー・ブログで有名なファナティック三神さんの店が近くにあることを知り、昨日そこのハンドドリップセミナー(初級編)に参加してきた。店名はRoast Design Coffeeといい、新百合ヶ丘駅から徒歩5分ほどの雰囲気の良い飲食店などが複数入居するビルの一角にある。店内は縦に長く間口は広くないため、セミナーの定員はMAXで4名である。
RDCハンドドリップセミナー(RDC店頭)

1時間ほどのセミナーは、ブルンジの浅煎り豆(KIBINGO, フリーウォッシュト)を使って、抽出に影響する要素のうちの以下の2点を変えて、味がどう変わるかを確認するものであった。

・粉の量 (いわゆる CBR: Coffee Brew Ratio)
・粉のメッシュ (細挽き、中細挽き、粗挽きの3段階)

RDCハンドドリップセミナー1

三神氏は飾らない語り口で客観的な説明の仕方をされるため、とても分かり易い。

1つめの実験は、CBR=14と15でどう味が変わるか、であった。具体的には、同じ30gの珈琲粉に対して、一方はお湯を420cc、他方は450cc注ぐ。抽出方法は Hario V60で3回の均等注湯であった。

通常は、粉の比率が高いCBR14の方が収率(抽出率)が低くなるそうであるが、今回はお湯の注ぎ方の問題か、CBR15の方が高い収率となった。

2つ目の実験は、CBRは同じで、メッシュだけを変えるもの。当然、メッシュが細かい方が濃く抽出される。ちゃんと濃度計を使って数値的な部分も見せてくれるため、納得感が大きい。
RDCハンドドリップセミナー(ブルンジ粉)
<これはお店で出しているコーヒーと同じ中細挽き>

細かい説明は割愛するが、総括すると以下のようになる。

・抽出率と濃度は別であり、少ない粉で抽出率を上げて濃く出来るがエグ味が出やすい。
・挽目で味の配分が変わるが、まず濃度を考えて、次に味の配分を考えるとシンプル
・他のセットアップとの関係もあるので、抽出方法だけ取り出しても意味がない。


ご興味のあられる方は是非参加してご自分で結果を確認して頂きたい。1時間とは思えない充実度で、お土産の珈琲豆100g付きで3000円と、かなり良心的な価格設定である。
RDCハンドドリップセミナー(お土産)

予熱の効果(ウガンダ浅煎り)

Scott Rao氏の本を読むと、焙煎の最初にある程度の熱量を一気に入れて、豆の表面が乾燥する前、生豆内部の自由水が残っているうちに、豆の芯まで熱を通してしまうことが重要と書いてある。

ということで、それを確認してみたく、煎り上手を使って予熱なし、あり、の二通りの焙煎をやってみた。予熱の有無以外はなるべく同じ条件になるように無理やりやっているため、RORのカーブは結構乱れている。これは致し方ない。

プロファイルはこんな感じである。予熱の効果(ウガンダ浅煎り)

重ねたデータを見ると、焙煎最初の2分くらいのカーブ以外は、かなりきっちり同じラインを描いていることが分かるかと思う。薄いライン(灰色)が予熱あり、黒のラインが予熱なしのカーブである。
ウガンダ(予熱有無重ね合わせ)DTR24

データ的にも、見た目的にもまず区別できない程度に焙煎できた。

予熱の効果(比較データ)

さて、これを24時間置いて、本日カッピングしてみた。
同じ検体を2カップずつ、合計4カップを作り、それをブラインドで確認したところ、とても微妙な差ではあるが、ちゃんと区別は出来た。

結論としては、予熱なし焙煎の方も、想定していたような芯残りは感じられず、ただ酸味がマイルドになっていた。一方、予熱を入れた方は、くっきりとした酸味が立っており、まぁこれも理論通りの結果ではある。正直、どちらも美味しく感じて、特に優劣は付けれなかったが、珈琲豆の持っているポテンシャルを最大限に引き出す、という意味ではやはり予熱を入れた方が良い。

予熱の効果(カッピング)

ちなみに、今回の実験は煎り上手のように急加熱もスローダウンも自由自在に出来る焙煎器だからこそ出来た。普通のドラム式焙煎機では熱容量が大きいため、予熱なしで焙煎を始めると、必然的に長時間焙煎となるため、この場合は全く異なる味になるはずである。

おうちでクラフト珈琲焙煎プロジェクト、ついに始動

先ほど、ついに僕のクラファンのプロジェクトを一般公開しました。

煎り上手+Artisanがあれば、思い立った時に、思いどおりの珈琲が作れます!

今日は暗くなってからログハウスのベランダで、購入したてのエチオピア・モカのナチュラル精製豆をLEDランプの下で焙煎しましたが、豆の色ではなくプロファイルを見ながら焙煎するので、暗くても楽勝で綺麗に焙煎出来ます。今回は初めてコーヒー豆ということで、ハイロースト気味のミディアムに仕上げましたが、焙煎直後の豆を挽いてペーパードリップで試飲してみたところ、とてもバランスよく上品なモカの香りが出ており満足の逸品に仕上がっていました。

ハルスケby煎り上手




ラズパイでArtisanを使う方法

丁度ブログのコメントで質問が来たので、ここでラズベリーパイ(Raspbery Pi 4B)を使って Artisanを使う方法をまとめてみたい。まずラズパイであるが、Artisanは結構重たいソフトなので、モデルとしては最上位の4Bを使う方が無難である。実はまだ3Bで動作するか調査したことはないのであるが。

一方、メインメモリについては、2GB/4GB/8GBと選べるが、2GBのもので十分に動作することは確認済みである。

さて、OSについてであるが、今月ついに 64bit版「Raspberry Pi OS」の正式リリースが発表されたが、現在のラズパイ用Artisanインストーラは32 bit用なので、今は64bitに飛びつく必要はない。ちなみに僕が使っているのは Raspbian OS は Debian 10.11 ベースの 32bit版である。

$ getconf LONG_BIT
32

$ cat /etc/debian_version
10.11

# uname -a
Linux pi2 5.10.83-v7l+ #1499 SMP Tue Dec 7 14:08:09 GMT 2021 armv7l GNU/Linux

念のため、Artisanの使用メモリを確認すると以下のとおりである。

〇Artisanを立ち上げる前
pi@pi2:~ $ free
              total        used        free      shared  buff/cache   available
Mem:        3930868      189572     2600300       74232     1140996     3526776
Swap:        102396           0      102396

〇Artisanを立ち上げた後
pi@pi2:~ $ free
              total        used        free      shared  buff/cache   available
Mem:        3930868      305716     2468376       89936     1156776     3394928
Swap:        102396           0      102396

Artisanのもっさりとした動作からもっとメモリを消費しているかと思ったが、実際は113MB程度でありメモリ使用量はさほど多くない。体感上も、2GB版と4GB版のラズパイで操作性の差は見られない。

さて、ラズパイでArtisanを使うためには王道は、Phidget社の熱センサーボードと対応する熱電対(K-Type)を使うことである。この前提で、セットアップ手順を簡単にまとめる。

1. gcc コンパイラを用意
2. USBドライバをインストールする
3. Phidgetドライバのソースコードをダウンロードして、コンパイル、インストールする
4. 必要に応じてUSBのポート設定を行う

1については割愛、2については以下のようになる。
% sudo apt update
% sudo apt full-upgrade
% sudo apt install libusb-1.0-0-dev

3についてはこんな感じ。
% cd /tmp
% wget http://www.phidgets.com/downloads/libraries/libphidget.tar.gz
% tar zxvf libphidget.tar.gz
% cd libphidget-2.1.9.20190409/
% ./configure
% make
% make install

僕は上記のようにセットアップしたが、うーむ、もしかしてコンパイルしなくても、これだけでも良いかも(^^)

$ sudo apt install libphidget22

4については取り合えず、PhidgetボードをUSBポートにつなげて、どう認識されているか確認する。

% usb-devices | grep -i phidget

T:  Bus=01 Lev=02 Prnt=02 Port=03 Cnt=03 Dev#=  8 Spd=12  MxCh= 0
D:  Ver= 2.00 Cls=00(>ifc ) Sub=00 Prot=00 MxPS=64 #Cfgs=  1
P:  Vendor=06c2 ProdID=003f Rev=01.1a
S:  Manufacturer=Phidgets Inc.
S:  Product=HUB0000_0
S:  SerialNumber=619152
C:  #Ifs= 1 Cfg#= 1 Atr=80 MxPwr=100mA
I:  If#=0x0 Alt= 0 #EPs= 1 Cls=03(HID  ) Sub=00 Prot=00 Driver=(none)

後は Artisan側の設定かな。
Phidget 1051/1048であれば ConfugureのDevice⇒Meterタブで Phidgetのその型番を選び、VINT HUB接続であれば、Machineタブから Phidget VINT TMP 1101 を選ぶ。 

Phidget1051

最後に気を付ける点を挙げるなら、USB Type-Bの接触不良が結構多いのでしっかり挿し込むことくらい。ちなみに 百均などでも手に入る USB Type-B/C アダプタを使えば、USB Type-C ポートにも接続可能である。

<追記>
Artisanのインストールも必要でした。当然ですが。

Artisanのwebsiteから最新パッケージをダウンロードしてインストールする。

% sudo dpkg -i  artisan-linux-2.4.6_raspbian-buster.deb


クラウドファンディングに挑戦

実は今月、クラウドファンディングで、おうちでクラフト焙煎教室x科学的アプローチ、というプロジェクトの参加者(支援者)を募ろうと計画している。

僕が若かった昭和から平成時代前半には、ちゃんとしたコーヒーは喫茶店や専門店で飲むものであり、家飲みはインスタントか、せいぜい挽売りのコーヒー粉をペーパーで淹れるくらいであった。でも僕は大学1年生のときに既に木製の手廻しコーヒーミルを持っていて豆で買っていたが、今から思うと焙煎から時間が経っていたのか、挽き立てでもちっとも膨らまなかったように思う。

自分で焙煎を初めて試みたのは社会人になった直後で、手網から始まって、いるいるという道具での焙煎、そして電気式焙煎機と進んでいった。
いるいるノパンフ

時代はずっと進んで今ではどうだろう。自宅でのコーヒー焙煎がこんなに身近になったのは、やはりSNSの影響が大きいと思う。ベールに包まれていた焙煎の神秘性がすっかり暴かれて、今では、なんだ、こんなに簡単に焙煎出来るぞ、と気が付いた人が、さらにSNSや動画で発信したりするので、少しでも焙煎に興味を持った人なら直ぐに色んな情報に目が行くだろう。

そんなかで僕がやりたいのは、おなじ焙煎教室でも、科学的アプローチ である。

クラファンの紹介文の中に書いている内容を少し抜粋すると、コーヒー焙煎にもナビゲーションがある、それは焙煎ロガーだ、ということである。

もしコーヒー焙煎を車の運転に例えるならば、こんな感じである。

目的地  ⇒ 焙煎度、目的のフレーバー、味
方位磁石 ⇒ 温度計(豆温度)
地図   ⇒ 珈琲豆の様子、音、匂い
カーナビゲーション ⇒ 焙煎ロガー

そう、僕がやりたいのは、煎り上手という、乗り物で言うと原付バイクか自転車にみたいなものにも、ナビゲーションをどうぞ、ということである。自宅焙煎をしている人も、しばらくやっていると、ほとんどの人が温度計の重要性には気が付き、そこまではなんとか導入しようとするが、焙煎ロガーにまで辿り着いている人はほんの一握りである。温度計だけではコンパスと地図だけでドライブするようなもので、やはり現代ならカーナビ付きでドライブしたいだろう。焙煎だって同じである。

今回のプロジェクトを手始めに、自宅焙煎にも一気に焙煎ロガーを浸透させていく、ちょっとしたムーブメントを起こしたいのである。

現在、事前公開中であるが、正直、まだあまり手応えを感じるところまでは来ていない。
なんとか賛同して頂ける方が少しでもいて、今回の定員の40名に到達してくれることを祈りたい。

中身を読んで頂ければ、内容に対してかなり良心的な価格設定にしていることを理解して頂けると思う。しかしこれでも高いと言われるのであれば、真摯に受け止めて、なんとかギリギリまでコストを削って価格を下げてでも、一人でも多くの方に焙煎ロガーの面白さ、有用性を味わって頂きたいと思っている。 一般公開まであと1週間ほど。公開後はリターンの設定は変更できなくなるので、今のうちに皆さんの率直なご意見を頂けるととても有難い。是非よろしくお願いいたします。

CAMPFIRE クラウドファンディング(事前公開)

ドライブイメージ


煎り上手焙煎と相性の良い網の研究

煎り上手の焙煎は、ガスコンロの上に直接かざすよりも、間に網を置いた方がずっと使い勝手がよくなるが、どんな網が適しているかという課題がある。網を使うことのメリットは以下の3つである。

  • 熱源が面状になり、均一に火を当てやすい。
  • 網自体も熱容量があり、煎り上手を網に押し付けることで伝導熱を積極的に使える。
  • 煎り上手を網の上に置いて休める
セラミック網+煎り上手
焼き肉網+煎り上手

網の種類としては、普通の焼き網か、セラミックがついた餅網のようなものに2分されるが、前者は煎り上手に直接火が当たるのに対して、後者は間接的になり、まるで高級焙煎機で使われる二重ドラムのような恰好になる。それぞれのメリット・デメリットは以下のとおり。

  • 焼き網:加熱の加速度がよく一気に温度を上げれるが、RORがピーキーな動きになりやすい。
  • もち網:安定した温度上昇が可能だが、失速気味のときに一気に過熱しようと思っても出来ない
ちなみに、百均の網は針金が細くて、10回程度使うと既に金網が崩壊して使い物にならなくなる。やはり金物屋で購入したい。僕が今回見つけたのは、ホルモン焼き網というもので、如何にもガッチリと太い針金で作られている。一方、セラミック網は最初、近所のスーパーSANWAの500円のものを買ったら7,8回の使用で金属が崩壊してきたので、カインズホームで買い直し。こちらは300円程度と安い。
焼き網2種類

今回は、セラミック網の加熱力の弱さを補うために、真ん中にドリルで7,8個の穴を開けて直火が少しでも通るようにしてみた。
セラミック網の改造

さて、これらを使って、セラミック網で3回、ホルモン網で2回焙煎してみた。
Artisanのプロファイルは下記のようになったが、正直、5回目の焙煎は油断していてちょっと失敗気味。よそ見している間に一気に過熱し過ぎて慌てて火から遠ざけて強引にリカバリした形。まぁ、それでも結果的にはトータルのバランスはさほど悪くないところが、Artisanのパワーである。

まず、セラミック網+煎り上手での焙煎3連発。東チモールだけはインドネシアに近いのでフルシティにしてみたが、その他はハイローストに仕上げた。最初の水抜きフェーズ(緑)がどうしても長くなりがちであるが、その後は徐々に加速してトータルでは悪くない。特にDTRという指標を見ると、Scott Raoが理想とする、20-25%に容易に収めることが出来る。
セラミック網での焙煎3連発

次は、煎り上手に直火が当たるホルモン網での2連発、4回目、5回目。
どうしてもRORのライン(青)が暴れやすいが、焙煎をコントロールする楽しさはより大きい。
5回目は前述したように、よそ見のせいで、中点温度が140℃もあり、リカバリのために、RORを一度ゼロにして故意に失速させている。その後は通常っぽいラインに乗せて、DTRは理想範囲の24.6%。

焼き肉網での焙煎2連発

5つの焙煎の焼き上がりはこんな感じ。
今回の豆はどれも今回初めてサンプルで取り寄せたもので、明日以降飲むのが楽しみである。
煎り上手焙煎5連発

ちなみに、雲南省のトリプルファーメンテーションという珍品も入っており、これは昨年のSCAJで入手したものである。生豆は見た目が結構汚く、欠点豆が区別できないほどで、匂いもかなり強烈。完熟果実のような発酵臭がプンプンする。しかし焙煎すると意外にも均一な色合いに焼き上がり、穏やかな香りになっている。不思議な豆である。

雲南トリプルFermant

Identical Roast の実践

コーヒー豆を焦げ茶色になるまで適当に焙煎するだけなら、それこそ百均で売っているような身近なものでも工夫次第でいくらでも出来てしまうし、まぐれで案外、美味しく焙煎出来てしまうこともあるかもしれない。しかしそういった簡易的なものでは絶対にできないこととして、うまくいった焙煎の再現という課題がある。これを、取り合えず Identical Roastと呼ぶことにする。

Papua400g_Batch1&2

例えば、上記の例は昨日、僕が Cormorant CR600焙煎機を用いて、横浜のKOPE花伝カフェさんの豆を2回に分けて焼いたときのプロファイルである。バッチ量、投入温度を揃えて、さらにリファレンスとなる焙煎プロファイルをバックに表示させて、そのラインを辿るように火加減や風量を調節していく。そして、豆温度がターゲット温度になったら素早く排出して迅速に冷ます、ということをやっているが、重ねてみると、中点温度こそ少しずれているが、ほぼ同じラインに乗っていることが分かる。
Papua400g_焙煎度再現

この2例ではAUCは1回目が243、2回目が241である。これは実は狙って同じ数字に揃えてみた。

この例のように、AUCの値まで一致すると、さすがに重量減でも18.5%と完全に一致、香りにも何も違いが感じられない、完璧な Identical Roastが完成する。
PapuaIdentical焙煎

なかなかここまで一致させるのは大変で、通常は0.1-0.5%程度の誤差は出るが、まぁ、飲んでわかるほどの差ではない。そしてArtisanを使えばこの程度の追い込みは、ほぼ成功する。

Identical Roastの実践で重要なポイントは、豆温度の測定開始点とも言える中点温度を揃えることである。中点に至るまでの下がり続ける温度は仮想のものであり、何の温度でもない。
そして中点温度を揃えるためには、投入時の生豆の温度まで考慮することが必要になる。

冬のログハウスは夜間には零度前後になることもあり、ログハウス内に置いてあった生豆は冷え切っており、朝一番にそのまま焙煎しようとするとなかなか思い通りにいかない。そこで最近は、前日から焙煎予定の生豆を暖かい室内に取り込んでおくようにし始めた。

ログハウスに暖房を入れておいて午後から焙煎するような場合は問題ない。例えば焙煎機に火を入れる前に生豆を投入して回してみたところ、ログハウスの室温とほぼ一致していることが確認できた。15.1℃と15.3℃である。
室内温度と焙煎機ET,BT


さて、この概念を煎り上手にも応用して、中点温度を狙いどおりにしていこう、というのが次の目的で、取り合えず、煎り上手の中に生豆を少し多めに放り込んで生豆の温度を計ってみたところ、やはり室温とほぼ一致している。まぁ、当たり前なのだが、実際にこうして温度計で比べると、やはり納得してしまう。
煎り上手と室内温度

さて次は、煎り上手の予熱温度と生豆の温度の差が中点温度にどう影響するかを調べていきたい。

前提として投入する生豆の量は毎回ピッタリ70gとする。当然ながら生豆が冷え切っていると、焙煎器を同じ温度に予熱しても、中点温度は低くなるはずである。 豆の熱容量 vs 焙煎器の熱容量 である。ただし、そもそも熱容量の小さい煎り上手の場合、予熱しても、生豆を投入するために火から離すと直ぐに温度が下がり始めるため、素早く投入しなければ誤差が大きくなる、という問題がある。

煎り上手と生豆の温度
室温よりも冷たい生豆を入れて、しばらく放置すると温度が下がっていく様子が測定できる。
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