香豆火珈琲 (Kaz - Feel - Coffee) - 引越し済


KAZUHICOFFEEは 2021/11/11に開業いたしました。 屋号はそのままKAZUHICOFFEEです。

新HP: https://kazuhicoffeelab.com/
旧HP: http://www.kazuhicoffee.com/
Base: https://kazuhicoffee.thebase.in/

今はまだ珈琲豆のネット販売と時折行う焙煎教室だけですが、これから珈琲の家庭焙煎や小型焙煎機のコンサルティング業という分野を開拓したいと考えております。まずは発明工房さんの「煎り上手」や安価な小型ドラム型焙煎機などにちょっとした装置をつけて、焙煎プロファイルがリアルタイムに見えるようにすることで、短期間で焙煎の技術を学んだり、既に焙煎を開始されている方の技術が上達するようなプログラムを用意したいと考えております。これからまだまだやること山積ですが、まずは出発致しましたことお知らせ致します。 珈琲が仄かに好きという皆様が、もっともっと本物の珈琲のことを知って楽しんで頂けるようにすることが次の自分のミッションだと考えております。家庭用サイズの小型焙煎機を海外から輸入して販売する等も計画しております。皆さまが美味しい珈琲をいつでも気軽に楽しめるようにすることを全身全霊でサポートしたい!!

金網vsセラミック網

焙煎に使うガスであるが、都市ガスで最高1700-1900℃、LPGで1900℃に達するされているが、実際は平均すると1000℃程度だそうである。

一方で、アルミニウムの融点は660℃、鉄が1536℃なので、鉄製の網は耐えても煎り上手のアルミは溶けてしまいそうであるが、実際はビクともしていない

コーヒー焙煎には強火を使うが、一番厳しいのは空で予熱しているときだろう。しかも僕は、煎り上手に厚手のアルミ箔を折ったフタを取付て、予熱時には本体を裏返して加熱したりもするので、アルミ箔に直接強火が当たるが全く溶けも変形もしていない。

これはアルミの熱伝導率の高さが効いているからだろう。火が直接当たる部分が熱くなっても即座に周りに熱を逃がして、結局焙煎中は全体的に偏りない温度になっていると思われる。

また、挿し込んでいる熱電対温度計の先端は宙に浮いているが、安定してきれいに温度上昇していく。これも考察すると、実は熱電対の先端が珈琲豆が接することで温度を示しているというよりは、熱電対を覆う円筒金属ケース全体が煎り上手と一体化してほぼ同じ温度になっていると考えられる。

温度計の接続コードは木製の柄に開けたトンネルに通してあり、熱電対の金属ケースは厚手のアルミ箔を押し固めて、煎り上手本体の接続部に固定してある。素材がアルミ同士なので、滞りなく本体からの熱が熱電対に伝わるものと思われる。

ここでちょっと妙なアナロジーを考えてしまった。

人間の匂いセンサーは鼻の奥にあるが、実は同じセンサーに辿り着く道は鼻孔からのストレートと、もう一つは口腔から遡る道がある。いわゆる鼻先香と口中香である。この2つの道を通って辿り着いた芳香成分を、匂いセンサーが感じ取るわけだが、煎り上手の熱電対も珈琲豆や容器内の熱い空気からのストレートな熱と、本体を伝わって後ろからくる伝導熱の2つの力で温度表示している、ということである。

話が長くなってしまった。

焙煎コントロールに必須の豆温度を知るためには、熱電対温度計に頼るしかないが、構造上、熱電対の先端を珈琲豆の塊に常時沈めておくことは困難で、結局、上記のごとく、様々な要素がミックスされた平均温度のようなものをみながら焙煎するしかない、ということである。

幸いにして、冒頭に書いたとおりアルミは熱伝導性がとても良いため、煎り上手の小さな本体はひとたび全体が予熱されれれば、熱電対温度計も同じ温度で、さらに珈琲豆の投入後は、中点を過ぎたところで珈琲豆も一体化して、結局はさほど実際の豆温度と温度計の表示には開きがないと考えて良いと思う次第。

となると、他に考察すべきことは、いかに火力源からの熱を効率よく豆の内部にまで伝えて珈琲豆(1粒)全体をなるべく同じ温度にして、さらに全部の珈琲豆を同じ温度にキープしながら、適切な温度上昇率(RoR)で温度上昇させていくか、ということになる。

そこでどういう形が有効かを考えて、いろいろな金網やセラミック網を試してきた。
色々な金網、セラミック網



熱の伝導は、金網では①+②で、セラミック網ではほぼ①のみとなる。

  ①火力源 ⇒ 金網 ⇒ 煎り上手の底
  ②火力源 ⇒ 煎り上手の底

端的に言って、セラミック網より金網の方が使いやすい。セラミック網は時間をかけてゆっくりと焙煎するには便利だが、予熱だけでも7,8分もかかるし、何しろ瞬発力がないため結局コントロールしにくい。

そんなか、先日見つけたのがこんなセラミック網で、これは珍しく底部の鉄板の多いがないため、①+②タイプの加熱方式である。本日早速これを使って焙煎してみたところ、やはり火から遠くなるせいか、使い勝手は金網と普通のセラミック網の中間であった。

直接火が当たるセラミック網

下記のプロファイルは意図したものではなく、勝手に1ハゼ直前に加熱が失速してしまい、瞬発力のないセラミック網ではリカバリに時間がかかり、長くフラットな部分が生じてしまった。ついでにいうと、このような加熱をするとほとんど1ハゼが起きずに200℃を超えていく。これはこれで一つ、小回りの利く煎り上手ならではの面い焙煎方法ではある。
AzoteaByCeramicGrill


********

ということで使い勝手では金網に軍配が上がるが、問題は耐久性である。アルミほど熱伝導性がよくないためか、焙煎中、炎が当たる部分だけ真っ赤になり、他の部分は暗い色のままなので、百均の網のような細い針金で出来た網では10回と使わないうちに網が切れて使えなくなってしまう。現在、愛用しているものはホルモン焼き用という頑丈なもので、こちらは既に30回以上は使っているが、今のところ破損はない。
ホルモン焼き網

ただし中心部は熱で多少変形している。
ホルモン焼き網


最後の考察は金網なし、すなわち②のみの加熱方式である。本日それも改めてやってみた。
いつも金網を使っているので少し違和感があったが、結論としては、金網があるときとコントロール性にさほど違いはなかった。敢えて言うならば、金網があれば予熱時など煎り上手を金網の上に置くことも可能であるが、コンロだけだと最初から最後までずっと手に持っていなければならない、ということくらいか。

う~む、随分と色んな網を買っては試してきたが、結局要らないのか!?
こうして僕の煎り上手を使った実験はまだまだ続く。

煎り上手でノルディック・ローストにチャレンジ

先日のブログに書いたとおり、僕が通常、13分程度で焙煎しているブルンジの水洗式の生豆を、3つの焙煎フェーズのバランスとDrop温度をなるべく揃えたまま8分に縮小して焙煎するテストをやった。こちらは少し無理があったのか、数日経ってから飲んでみてもやはり芯残りが感じられて、特に冷めてくるとだんだん飲むのが辛くなってくるエグ味のようなものがある。

一方で、短時間焙煎で有名なノルディック・ローストという分野がある。Scott RaoのCoffee Roasting Best Practiceを読んでいたら下記の説明があったので、同じブルンジの生豆を題材に早速やってみた。

Many roasters from the Nordic countries prefer to roast batches lighly and quickly, with relatively high, flat RORs that crash gently just before discharge of the beans.

彼は、RoRの曲線、つまり温度上昇率が急に下がる(Crashする)と香りが飛んで段ボール紙のようなフレーバー(baked flavor)になると言って嫌っているが、Nordic roastだけは例外で、RoRの値をずっと高いままキープして短時間で焙煎し、最後に軽くクラッシュさせて直ぐにDropする、と説明している。

ということで、いつものように煎り上手を使って、RoRを20程度に保つことを目標に6分16秒という短時間で焙煎してみた。プロファイルはこのような曲線になった。予定どおりRoRを高くキープできている。

BurundiProfile4-Nordic-6min
ブルンジ・ノルディックローストby煎り上手


粉に挽くとこんな感じ。比較のため先日の8分短縮ローストの豆と同時にペーパードリップで淹れて試飲してみた。色的には微かにノルディックの方が浅いように見えるが、焙煎指数はほぼ同じである。
ブルンジ・ノルディック・粉の色比較


焙煎直後から良い香りがして期待できるものであったが、これを翌日、2日目と試飲してみたところ、確かに心地よい柑橘系の酸味がでている。明らかに先回の8分ローストと異なり、かなりの浅煎りであるが、最後まで美味しく飲めることが確認できた。

参考までに 8分短縮ローストを2回分、13分の通常ローストのプロファイルも載せておく。

BurundiProfile1-8min
BurundiProfile2-8min
BurundiProfile3-13min


さて、自分ではそう感じても、やはり思い込みが混じってはいけないので、この4種類の豆を僕の焙煎仲間の一人に送ってブラインドカッピングして頂くことにした。
ブルンジ・ノルディック・ブラインドカップ用サンプル

見た目ではまず判別不能である。彼がカッピングで見事ノルディックローストの豆を正解してくれれば、Scott Raoの理論の正しさが、少し裏付けが出来る。彼は、コーヒーのフレーバーはトータルの焙煎時間よりもRoRのカーブで大きく変わる、と主張している。結果が楽しみである。

なお、ノルディック・ローストに関しては2年近く前にもブログに書いており、読み返してみると、偶然にもこの時にもブルンジ産の豆を使っていたことに気が付いた。
 
<追記:3/14 23:21>
夜ちょっと思い立って、温存していたエチオピア・ゲシャ・ウォッシュトG1をノルディックローストにしてみた。この豆は普通に浅めに焙煎すると、期待ほど明白なゲイシャフレーバーは発せず、なんとなくそのまま1年ほど寝かせておいたものであるが、さてノルディックローストでよみがえるか!  プロファイルはこんな感じである。

粒揃いなせいか、1ハゼが一斉に元気よく起きる豆で、その分、気化熱が奪われるのか、頑張ってRoRを20くらいに高く保とうとしたが、最後で少し下がってしまった。その結果、焙煎時間はトータルで7分41秒となった。

1ハゼ開始から1分10秒で煎り止めたので、通常よりはやはりノルディック・ロースト寄りの焙煎になったと思う。さて実際に薫り高く焙煎出来ているかは明日のお楽しみ。

EthiopiaGeshaWashed_NordicRoast

バッチが小さいときの焙煎時間短縮の可能性の検証

Scott RaoのCoffee Roaster's Companionの40ページに以下の記述がある。

For any given machine, smaller batches requires less time to achieve adequte development!

曰く、どんな焙煎機であっても、バッチ量が少なければ短時間で目的の焙煎度にすることが出来る、ということである。火力的にはそのとおりであろうが、さてフレーバーは同じになるのか。

そこで、煎り上手のように70gと小さいバッチの場合にこれを当てはめるとどうなるのかを検証してみた。テストに使った焙煎豆はいつもの水洗式ブルンジのニュークロップである。この豆は火が入りにくいが、浅煎りから深煎りまで様々な顔を見せて、それぞれの焙煎度で美味しさがある。

今回はリファレンスとして、5日前に焙煎したDTR20%のシナモンローストの豆を使うことにした。
仮にこれを Take0と呼ぶ。このときは僕のメイン機(最大バッチ600g)で焼くときと同じ程度、13分ほどかけて焙煎したが、今回は同じ焙煎度を8分に縮めることにした。比率にして1.65倍の早焼きである。Take1,2が約8分、Take3は再び13分で焙煎したが、結果を表にしたものが下記である。

結論から書くと、この豆を8分で浅煎りにするのは無理があった。酸味の質が悪くキツイ味で、特に冷めてくるとちょっと飲めないレベルであった。一方で13分で焙煎したシナモンローストは、ウットリするほど美味しい酸味が出ており、この差は非常に大きい。ちなみにTake3は焙煎直後であるが、既に美味しく飲めるものであった。

ブルンジ短時間焙煎の比較

今回は焙煎指数的を揃えることにフォーカスしたのと、外焙煎で風が強かったことで、焙煎プロファイルは少し乱れたが、焙煎指数を見ると、シナモンローストレベルにきっちりと揃った。

ちなみに、焙煎の3つのフェーズの比率を保ちながら、トータル時間を13分から8分に短縮するために、あらかじめ下記のようなプロファイル目標を作って、それを見ながら焙煎した。
ブルンジ焙煎プロファイル・ターゲット


13分のプロファイルを並べたのが下記である。(Take0, Take3)
Burundi_13分浅煎り

そしてこちらが8分で焼いたときのもの (Take1, Take2)
Burundi_8分浅煎り

トータル時間以外は、排出温度、焙煎時間、焙煎指数などがよく一致している Take3にTake2を重ねたものが下記である。

Burundi_Cinnamon_8min_13min_211℃比較


<8分焙煎した豆の様子> きつい酸味
Burundi8分焙煎豆



<13分で焙煎した豆の様子> 心地よい酸味
Burundi13分焙煎豆



味の比較は、同一条件の元、同時にペーパードリップ抽出(CBR=15)することで確認した。
Burundi_8分浅煎り比較

ロガーの有無による焙煎の差を実感!

昨日焼いたブラインド焙煎(ロガー無しでの煎り上手)の珈琲を淹れてみた。エチオピア・イルガチェフェ・ハルスケ・ナチュラルの方は前のブログに追記したとおり、明らかに香りは少ないが、全体的には破綻しておらず、ただおとなしい味に仕上がっている。しかしやはりArtisanを使って焼いたいつものハルスケの方が、ずっと美味しい。 本日念のために、再度、ロガー付きの煎り上手で同じくらいの焙煎度に焼いた豆を用意したので、明日実際に比べてみようと思う。2つのプロファイルを上下に並べると、なぜロガーなしで焙煎した方の香りが少ないかが明確に分かる。
ロガー有無の比較_エチオピア


次にブラインド焙煎のウガンダを飲んでみたら、こちらはちょっと衝撃的なぐらいに味がおかしかった。この珈琲はどの焙煎度で焼いても美味しく、買って頂いたお客さんからもいつも大好評なのだが、これは何かが違う。ロースト臭が目立ちエグ味があるため、いつもの美味しさが感じられない

分析してみると、どうやら水抜き時間が短すぎたことが原因ではないかと思われる。この豆はアフリカ高地産のウォッシュト精製のニュークロップで、豆の密度が高く、火が入りにくいのである。

こちらも本日、ロガー付きの煎り上手で丁寧に焼いたものを用意したので明日、実際に飲み比べてみようと思う。

ロガー有無のプロファイルを並べるとこんな感じである。

ロガー有無の比較_ウガンダ


豆の様子を比べると、ロガー付きで焙煎したものの方が若干赤味を帯びていて、飲む前から美味しそうに見える。
ウガンダ焙煎豆比較


結果的に、思った以上にロガーの効果があることを確認出来て、今回のクラウドファンディングのプロジェクトの有効性にさらに自信が持てたことは収穫である。

追記: 2022/03/02
つい報告しそびれていたが、その後このブランド焙煎とロガー焙煎の焙煎豆を同じように挽いて、同時に同じCBRとタイミングで抽出したものをブラインドカッピングしてみた。

Blind焙煎比較(ウガンダ)

カップの裏に正解のシールを貼っておき、目をつぶって2つのカップをグルグルと回しては飲み比べてみたが、10回くらいやっても100%正解できた。

そもそもウガンダの方はロガー付きが少し浅めだったので簡単すぎたが、エチオピア・ナチュラルはほぼ同じ焙煎レベルで恐らく普通に飲むと大半の人が気が付かないレベルの差であった。しかし注意深く飲むと、香りの強さ、明るさなどに明らかな差があり、区別が出来る。ブラインド焙煎の方は、ハルスケの持つ vibrantな華やかさが大人しくなっている。これはプロファイルの示す通りの結果である。

煎り上手でのブラインド焙煎チャレンジ

本日はちょっと趣向を変えて、Artisanは繋いでいるけれども、画面を見ないで焙煎する実験をしてみた。下の写真のようにパソコンは閉じてあり、要するに、ロガーなしの通常の煎り上手で焙煎した場合、実際にはどういうプロファイルを描いているのか、というわけである。
ブラインド焙煎中


焙煎には1回目がウガンダのウォッシュト精製、2回目がエチオピアのナチュラル精製を使った。

まずウガンダの方はこんな感じである。
Uganda_Blind_Roast

意外なほど綺麗なラインを描けている。RoRが失速してゼロ以下になったりすることもなく、振動も風のある中で焙煎した割に少なく、3つのPhaseのバランスも悪くない。これならロガーを見ながら焙煎したのとほとんど変わらない。やはり毎日のようにロガーを繋いで焙煎している成果だろう。

ちなみにタイマーだけは使用して、コンロの火からの距離はほぼ一定に保って振っていたが、豆の挙動だけで、1ハゼ開始のタイミングも実際に始まる前に感じられた。焙煎は2ハゼ直前で止めて、出来上がった焙煎豆はこんな感じ。まずまずのハイローストである。
ウガンダ・ブラインド焙煎豆


次にエチオピア・ナチュラルを同じ要領で焙煎したが、こちらはちょっと様子が違った。まず火の入りが良過ぎて、5分くらい経過したところで既に1ハゼの予兆が出てきてしまったので、少し火から遠ざけたり勘で調整する必要があった。

その結果はグラフに如実に出ており、一度高くなり過ぎたRoRのラインが7分辺りで失速して、ゼロかマイナス値になってしまっている。また、メイラードのフェーズが短すぎるため香りが少な目になったと思われる。

Harusuke_Blind_Roast

焙煎豆の様子はこんな感じ。なんだか覇気がない雰囲気を感じるのは気のせいだろうか。こちらも2ハゼに少し入った辺りで煎り止めしておりハイローストのはずだが、その割に豆の色が少し薄い。
ハルスケ・ブラインド焙煎豆


以前から、火が入りやすいナチュラル精製豆の方がRoRのラインが大きく振動しやすいと感じていたが、今回もそのような結果となった。

なお、僕は煎り上手に相当に習熟しているから、このレベルに納まったが、もし初心者がブライドで焙煎したなら、もっととんでもないプロファイルを描くことは間違いないだろう。

追記:2022/02/24
昨日焼いたエチオピア・ハルスケ・ナチュラルを今朝、挽いてみたところ、もうこの時点で明確に分かるほどいつもの焙煎よりも香りが少ない。そして普段どおりペーパードリップしてみると、やはり香りが弱めのコーヒーとなった。ただモカのナチュラル豆は元々の香りがとても強いので、弱まった分、飲みやすい感もあり、これはこれで美味しい(^^;

いつも思っていることであるが、「香りを最大限に引き出すことが常に正解」ではない。やはり飲む人の好みで、意図的に香りに強弱をつけた焙煎をすることも大事である。そしてそのためには、やはり自宅でもコントロール焙煎である! 探求の道はまだまだ先が長い。

煎り上手での Identical Roast

安価な簡易焙煎機や焙煎道具でたぶん一番難しいことは同じ焙煎の再現である。
例えば手網でも上手くやればプロが本格的焙煎機を使って焙煎したものと遜色のない仕上がりになることもあるが、それを毎回再現せよ、と言われると困ってしまう。

では、僕が今、テーマとして追及している、煎り上手+Artisanロガーではどうか、ということで早速やってみた。

今回は使った珈琲豆は、スペシャルティではなく、コモディティ豆のコロンビアである。なぜこの豆かというと、単にSANDBOX焙煎機を購入したときの付録豆が放置されていたからである。
コロンビア・ナリーニョ

煎り上手での焙煎はいつものようにログハウスのベランダで行ったが、今日もかなり風が強く、炎が揺らぐのと、煎り上手を火から外した途端に風で急速に冷えるため、RoRの青いラインはかなり乱れてしまった。

しかし兎にも角にも、1回目のハイロースト焙煎の曲線を、2回目はなるべくなぞる様に焙煎してみた。
グラフで見ると下記のようになり、そもそも中点までの時間が1分近く開いてしまったため、DE(ドライエンド)までのラインは全く一致していない。しかし徐々に同じラインに乗せて、最終的にはかなり近い数値に揃えることが出来た。

煎り上手でIdentical_Roast_Challenge
<下のグラフは2つを重ねたもの>

数値は以下のとおり。

煎り上手でのIdenticalRoast(数値比較)


どうであろうか。
歩留まりから見ても、たぶんほぼ完ぺきなIdentical Roastと言えるだろう。

さて、次はこの豆を抽出で確かめたわけであるが、見た目はなぜだかTake2の方が微かに赤味がかって見え、こちらの方が美味しそうに感じた。粉にしてみるとさらに微妙であるが、やはり少し色が違うようにも見える。Take2の粉の方が少し明るい。Take1は最初の温度上昇に、もたついてしまったのが悪影響したのかもしれない。
煎り上手でのIdenticalRoast(コロンビア)

抽出方法はなるべく公平にするため、クレバードリッパーを使って浸漬式とした。
煎り上手でのIdenticalRoast(抽出)

CBR=15、湯温=90℃、浸漬時間2分として、熱いときと冷めたときを確認してみたところ、熱いときはTake2の方が少し酸味が立って美味しく感じTake1はフラットな味がした。しかし冷めてくるとその差はもう感じなくなり、正直、違いは全く分からなくなってしまった。 

つまり、煎り上手でIdentical Roastを行う実験としては成功 したと言える。

追記:
久し振りに焙煎したコモディティ豆は、ちゃんと焙煎したにも拘わらず、全般にコンビニ・コーヒーのようなノペっとした味がした。もう何か月もSpecialty級以上のコーヒーしか飲んでいなかったので、後口の悪さが逆に新鮮であった (^^)

RDC ハンドドリップセミナー初級

ごく最近、マニアックなコーヒー・ブログで有名なファナティック三神さんの店が近くにあることを知り、昨日そこのハンドドリップセミナー(初級編)に参加してきた。店名はRoast Design Coffeeといい、新百合ヶ丘駅から徒歩5分ほどの雰囲気の良い飲食店などが複数入居するビルの一角にある。店内は縦に長く間口は広くないため、セミナーの定員はMAXで4名である。
RDCハンドドリップセミナー(RDC店頭)

1時間ほどのセミナーは、ブルンジの浅煎り豆(KIBINGO, フリーウォッシュト)を使って、抽出に影響する要素のうちの以下の2点を変えて、味がどう変わるかを確認するものであった。

・粉の量 (いわゆる CBR: Coffee Brew Ratio)
・粉のメッシュ (細挽き、中細挽き、粗挽きの3段階)

RDCハンドドリップセミナー1

三神氏は飾らない語り口で客観的な説明の仕方をされるため、とても分かり易い。

1つめの実験は、CBR=14と15でどう味が変わるか、であった。具体的には、同じ30gの珈琲粉に対して、一方はお湯を420cc、他方は450cc注ぐ。抽出方法は Hario V60で3回の均等注湯であった。

通常は、粉の比率が高いCBR14の方が収率(抽出率)が低くなるそうであるが、今回はお湯の注ぎ方の問題か、CBR15の方が高い収率となった。

2つ目の実験は、CBRは同じで、メッシュだけを変えるもの。当然、メッシュが細かい方が濃く抽出される。ちゃんと濃度計を使って数値的な部分も見せてくれるため、納得感が大きい。
RDCハンドドリップセミナー(ブルンジ粉)
<これはお店で出しているコーヒーと同じ中細挽き>

細かい説明は割愛するが、総括すると以下のようになる。

・抽出率と濃度は別であり、少ない粉で抽出率を上げて濃く出来るがエグ味が出やすい。
・挽目で味の配分が変わるが、まず濃度を考えて、次に味の配分を考えるとシンプル
・他のセットアップとの関係もあるので、抽出方法だけ取り出しても意味がない。


ご興味のあられる方は是非参加してご自分で結果を確認して頂きたい。1時間とは思えない充実度で、お土産の珈琲豆100g付きで3000円と、かなり良心的な価格設定である。
RDCハンドドリップセミナー(お土産)

予熱の効果(ウガンダ浅煎り)

Scott Rao氏の本を読むと、焙煎の最初にある程度の熱量を一気に入れて、豆の表面が乾燥する前、生豆内部の自由水が残っているうちに、豆の芯まで熱を通してしまうことが重要と書いてある。

ということで、それを確認してみたく、煎り上手を使って予熱なし、あり、の二通りの焙煎をやってみた。予熱の有無以外はなるべく同じ条件になるように無理やりやっているため、RORのカーブは結構乱れている。これは致し方ない。

プロファイルはこんな感じである。予熱の効果(ウガンダ浅煎り)

重ねたデータを見ると、焙煎最初の2分くらいのカーブ以外は、かなりきっちり同じラインを描いていることが分かるかと思う。薄いライン(灰色)が予熱あり、黒のラインが予熱なしのカーブである。
ウガンダ(予熱有無重ね合わせ)DTR24

データ的にも、見た目的にもまず区別できない程度に焙煎できた。

予熱の効果(比較データ)

さて、これを24時間置いて、本日カッピングしてみた。
同じ検体を2カップずつ、合計4カップを作り、それをブラインドで確認したところ、とても微妙な差ではあるが、ちゃんと区別は出来た。

結論としては、予熱なし焙煎の方も、想定していたような芯残りは感じられず、ただ酸味がマイルドになっていた。一方、予熱を入れた方は、くっきりとした酸味が立っており、まぁこれも理論通りの結果ではある。正直、どちらも美味しく感じて、特に優劣は付けれなかったが、珈琲豆の持っているポテンシャルを最大限に引き出す、という意味ではやはり予熱を入れた方が良い。

予熱の効果(カッピング)

ちなみに、今回の実験は煎り上手のように急加熱もスローダウンも自由自在に出来る焙煎器だからこそ出来た。普通のドラム式焙煎機では熱容量が大きいため、予熱なしで焙煎を始めると、必然的に長時間焙煎となるため、この場合は全く異なる味になるはずである。

おうちでクラフト珈琲焙煎プロジェクト、ついに始動

先ほど、ついに僕のクラファンのプロジェクトを一般公開しました。

煎り上手+Artisanがあれば、思い立った時に、思いどおりの珈琲が作れます!

今日は暗くなってからログハウスのベランダで、購入したてのエチオピア・モカのナチュラル精製豆をLEDランプの下で焙煎しましたが、豆の色ではなくプロファイルを見ながら焙煎するので、暗くても楽勝で綺麗に焙煎出来ます。今回は初めてコーヒー豆ということで、ハイロースト気味のミディアムに仕上げましたが、焙煎直後の豆を挽いてペーパードリップで試飲してみたところ、とてもバランスよく上品なモカの香りが出ており満足の逸品に仕上がっていました。

ハルスケby煎り上手




ラズパイでArtisanを使う方法

丁度ブログのコメントで質問が来たので、ここでラズベリーパイ(Raspbery Pi 4B)を使って Artisanを使う方法をまとめてみたい。まずラズパイであるが、Artisanは結構重たいソフトなので、モデルとしては最上位の4Bを使う方が無難である。実はまだ3Bで動作するか調査したことはないのであるが。

一方、メインメモリについては、2GB/4GB/8GBと選べるが、2GBのもので十分に動作することは確認済みである。

さて、OSについてであるが、今月ついに 64bit版「Raspberry Pi OS」の正式リリースが発表されたが、現在のラズパイ用Artisanインストーラは32 bit用なので、今は64bitに飛びつく必要はない。ちなみに僕が使っているのは Raspbian OS は Debian 10.11 ベースの 32bit版である。

$ getconf LONG_BIT
32

$ cat /etc/debian_version
10.11

# uname -a
Linux pi2 5.10.83-v7l+ #1499 SMP Tue Dec 7 14:08:09 GMT 2021 armv7l GNU/Linux

念のため、Artisanの使用メモリを確認すると以下のとおりである。

〇Artisanを立ち上げる前
pi@pi2:~ $ free
              total        used        free      shared  buff/cache   available
Mem:        3930868      189572     2600300       74232     1140996     3526776
Swap:        102396           0      102396

〇Artisanを立ち上げた後
pi@pi2:~ $ free
              total        used        free      shared  buff/cache   available
Mem:        3930868      305716     2468376       89936     1156776     3394928
Swap:        102396           0      102396

Artisanのもっさりとした動作からもっとメモリを消費しているかと思ったが、実際は113MB程度でありメモリ使用量はさほど多くない。体感上も、2GB版と4GB版のラズパイで操作性の差は見られない。

さて、ラズパイでArtisanを使うためには王道は、Phidget社の熱センサーボードと対応する熱電対(K-Type)を使うことである。この前提で、セットアップ手順を簡単にまとめる。

1. gcc コンパイラを用意
2. USBドライバをインストールする
3. Phidgetドライバのソースコードをダウンロードして、コンパイル、インストールする
4. 必要に応じてUSBのポート設定を行う

1については割愛、2については以下のようになる。
% sudo apt update
% sudo apt full-upgrade
% sudo apt install libusb-1.0-0-dev

3についてはこんな感じ。
% cd /tmp
% wget http://www.phidgets.com/downloads/libraries/libphidget.tar.gz
% tar zxvf libphidget.tar.gz
% cd libphidget-2.1.9.20190409/
% ./configure
% make
% make install

僕は上記のようにセットアップしたが、うーむ、もしかしてコンパイルしなくても、これだけでも良いかも(^^)

$ sudo apt install libphidget22

4については取り合えず、PhidgetボードをUSBポートにつなげて、どう認識されているか確認する。

% usb-devices | grep -i phidget

T:  Bus=01 Lev=02 Prnt=02 Port=03 Cnt=03 Dev#=  8 Spd=12  MxCh= 0
D:  Ver= 2.00 Cls=00(>ifc ) Sub=00 Prot=00 MxPS=64 #Cfgs=  1
P:  Vendor=06c2 ProdID=003f Rev=01.1a
S:  Manufacturer=Phidgets Inc.
S:  Product=HUB0000_0
S:  SerialNumber=619152
C:  #Ifs= 1 Cfg#= 1 Atr=80 MxPwr=100mA
I:  If#=0x0 Alt= 0 #EPs= 1 Cls=03(HID  ) Sub=00 Prot=00 Driver=(none)

後は Artisan側の設定かな。
Phidget 1051/1048であれば ConfugureのDevice⇒Meterタブで Phidgetのその型番を選び、VINT HUB接続であれば、Machineタブから Phidget VINT TMP 1101 を選ぶ。 

Phidget1051

最後に気を付ける点を挙げるなら、USB Type-Bの接触不良が結構多いのでしっかり挿し込むことくらい。ちなみに 百均などでも手に入る USB Type-B/C アダプタを使えば、USB Type-C ポートにも接続可能である。

<追記>
Artisanのインストールも必要でした。当然ですが。

Artisanのwebsiteから最新パッケージをダウンロードしてインストールする。

% sudo dpkg -i  artisan-linux-2.4.6_raspbian-buster.deb


クラウドファンディングに挑戦

実は今月、クラウドファンディングで、おうちでクラフト焙煎教室x科学的アプローチ、というプロジェクトの参加者(支援者)を募ろうと計画している。

僕が若かった昭和から平成時代前半には、ちゃんとしたコーヒーは喫茶店や専門店で飲むものであり、家飲みはインスタントか、せいぜい挽売りのコーヒー粉をペーパーで淹れるくらいであった。でも僕は大学1年生のときに既に木製の手廻しコーヒーミルを持っていて豆で買っていたが、今から思うと焙煎から時間が経っていたのか、挽き立てでもちっとも膨らまなかったように思う。

自分で焙煎を初めて試みたのは社会人になった直後で、手網から始まって、いるいるという道具での焙煎、そして電気式焙煎機と進んでいった。
いるいるノパンフ

時代はずっと進んで今ではどうだろう。自宅でのコーヒー焙煎がこんなに身近になったのは、やはりSNSの影響が大きいと思う。ベールに包まれていた焙煎の神秘性がすっかり暴かれて、今では、なんだ、こんなに簡単に焙煎出来るぞ、と気が付いた人が、さらにSNSや動画で発信したりするので、少しでも焙煎に興味を持った人なら直ぐに色んな情報に目が行くだろう。

そんなかで僕がやりたいのは、おなじ焙煎教室でも、科学的アプローチ である。

クラファンの紹介文の中に書いている内容を少し抜粋すると、コーヒー焙煎にもナビゲーションがある、それは焙煎ロガーだ、ということである。

もしコーヒー焙煎を車の運転に例えるならば、こんな感じである。

目的地  ⇒ 焙煎度、目的のフレーバー、味
方位磁石 ⇒ 温度計(豆温度)
地図   ⇒ 珈琲豆の様子、音、匂い
カーナビゲーション ⇒ 焙煎ロガー

そう、僕がやりたいのは、煎り上手という、乗り物で言うと原付バイクか自転車にみたいなものにも、ナビゲーションをどうぞ、ということである。自宅焙煎をしている人も、しばらくやっていると、ほとんどの人が温度計の重要性には気が付き、そこまではなんとか導入しようとするが、焙煎ロガーにまで辿り着いている人はほんの一握りである。温度計だけではコンパスと地図だけでドライブするようなもので、やはり現代ならカーナビ付きでドライブしたいだろう。焙煎だって同じである。

今回のプロジェクトを手始めに、自宅焙煎にも一気に焙煎ロガーを浸透させていく、ちょっとしたムーブメントを起こしたいのである。

現在、事前公開中であるが、正直、まだあまり手応えを感じるところまでは来ていない。
なんとか賛同して頂ける方が少しでもいて、今回の定員の40名に到達してくれることを祈りたい。

中身を読んで頂ければ、内容に対してかなり良心的な価格設定にしていることを理解して頂けると思う。しかしこれでも高いと言われるのであれば、真摯に受け止めて、なんとかギリギリまでコストを削って価格を下げてでも、一人でも多くの方に焙煎ロガーの面白さ、有用性を味わって頂きたいと思っている。 一般公開まであと1週間ほど。公開後はリターンの設定は変更できなくなるので、今のうちに皆さんの率直なご意見を頂けるととても有難い。是非よろしくお願いいたします。

CAMPFIRE クラウドファンディング(事前公開)

ドライブイメージ


煎り上手焙煎と相性の良い網の研究

煎り上手の焙煎は、ガスコンロの上に直接かざすよりも、間に網を置いた方がずっと使い勝手がよくなるが、どんな網が適しているかという課題がある。網を使うことのメリットは以下の3つである。

  • 熱源が面状になり、均一に火を当てやすい。
  • 網自体も熱容量があり、煎り上手を網に押し付けることで伝導熱を積極的に使える。
  • 煎り上手を網の上に置いて休める
セラミック網+煎り上手
焼き肉網+煎り上手

網の種類としては、普通の焼き網か、セラミックがついた餅網のようなものに2分されるが、前者は煎り上手に直接火が当たるのに対して、後者は間接的になり、まるで高級焙煎機で使われる二重ドラムのような恰好になる。それぞれのメリット・デメリットは以下のとおり。

  • 焼き網:加熱の加速度がよく一気に温度を上げれるが、RORがピーキーな動きになりやすい。
  • もち網:安定した温度上昇が可能だが、失速気味のときに一気に過熱しようと思っても出来ない
ちなみに、百均の網は針金が細くて、10回程度使うと既に金網が崩壊して使い物にならなくなる。やはり金物屋で購入したい。僕が今回見つけたのは、ホルモン焼き網というもので、如何にもガッチリと太い針金で作られている。一方、セラミック網は最初、近所のスーパーSANWAの500円のものを買ったら7,8回の使用で金属が崩壊してきたので、カインズホームで買い直し。こちらは300円程度と安い。
焼き網2種類

今回は、セラミック網の加熱力の弱さを補うために、真ん中にドリルで7,8個の穴を開けて直火が少しでも通るようにしてみた。
セラミック網の改造

さて、これらを使って、セラミック網で3回、ホルモン網で2回焙煎してみた。
Artisanのプロファイルは下記のようになったが、正直、5回目の焙煎は油断していてちょっと失敗気味。よそ見している間に一気に過熱し過ぎて慌てて火から遠ざけて強引にリカバリした形。まぁ、それでも結果的にはトータルのバランスはさほど悪くないところが、Artisanのパワーである。

まず、セラミック網+煎り上手での焙煎3連発。東チモールだけはインドネシアに近いのでフルシティにしてみたが、その他はハイローストに仕上げた。最初の水抜きフェーズ(緑)がどうしても長くなりがちであるが、その後は徐々に加速してトータルでは悪くない。特にDTRという指標を見ると、Scott Raoが理想とする、20-25%に容易に収めることが出来る。
セラミック網での焙煎3連発

次は、煎り上手に直火が当たるホルモン網での2連発、4回目、5回目。
どうしてもRORのライン(青)が暴れやすいが、焙煎をコントロールする楽しさはより大きい。
5回目は前述したように、よそ見のせいで、中点温度が140℃もあり、リカバリのために、RORを一度ゼロにして故意に失速させている。その後は通常っぽいラインに乗せて、DTRは理想範囲の24.6%。

焼き肉網での焙煎2連発

5つの焙煎の焼き上がりはこんな感じ。
今回の豆はどれも今回初めてサンプルで取り寄せたもので、明日以降飲むのが楽しみである。
煎り上手焙煎5連発

ちなみに、雲南省のトリプルファーメンテーションという珍品も入っており、これは昨年のSCAJで入手したものである。生豆は見た目が結構汚く、欠点豆が区別できないほどで、匂いもかなり強烈。完熟果実のような発酵臭がプンプンする。しかし焙煎すると意外にも均一な色合いに焼き上がり、穏やかな香りになっている。不思議な豆である。

雲南トリプルFermant

Identical Roast の実践

コーヒー豆を焦げ茶色になるまで適当に焙煎するだけなら、それこそ百均で売っているような身近なものでも工夫次第でいくらでも出来てしまうし、まぐれで案外、美味しく焙煎出来てしまうこともあるかもしれない。しかしそういった簡易的なものでは絶対にできないこととして、うまくいった焙煎の再現という課題がある。これを、取り合えず Identical Roastと呼ぶことにする。

Papua400g_Batch1&2

例えば、上記の例は昨日、僕が Cormorant CR600焙煎機を用いて、横浜のKOPE花伝カフェさんの豆を2回に分けて焼いたときのプロファイルである。バッチ量、投入温度を揃えて、さらにリファレンスとなる焙煎プロファイルをバックに表示させて、そのラインを辿るように火加減や風量を調節していく。そして、豆温度がターゲット温度になったら素早く排出して迅速に冷ます、ということをやっているが、重ねてみると、中点温度こそ少しずれているが、ほぼ同じラインに乗っていることが分かる。
Papua400g_焙煎度再現

この2例ではAUCは1回目が243、2回目が241である。これは実は狙って同じ数字に揃えてみた。

この例のように、AUCの値まで一致すると、さすがに重量減でも18.5%と完全に一致、香りにも何も違いが感じられない、完璧な Identical Roastが完成する。
PapuaIdentical焙煎

なかなかここまで一致させるのは大変で、通常は0.1-0.5%程度の誤差は出るが、まぁ、飲んでわかるほどの差ではない。そしてArtisanを使えばこの程度の追い込みは、ほぼ成功する。

Identical Roastの実践で重要なポイントは、豆温度の測定開始点とも言える中点温度を揃えることである。中点に至るまでの下がり続ける温度は仮想のものであり、何の温度でもない。
そして中点温度を揃えるためには、投入時の生豆の温度まで考慮することが必要になる。

冬のログハウスは夜間には零度前後になることもあり、ログハウス内に置いてあった生豆は冷え切っており、朝一番にそのまま焙煎しようとするとなかなか思い通りにいかない。そこで最近は、前日から焙煎予定の生豆を暖かい室内に取り込んでおくようにし始めた。

ログハウスに暖房を入れておいて午後から焙煎するような場合は問題ない。例えば焙煎機に火を入れる前に生豆を投入して回してみたところ、ログハウスの室温とほぼ一致していることが確認できた。15.1℃と15.3℃である。
室内温度と焙煎機ET,BT


さて、この概念を煎り上手にも応用して、中点温度を狙いどおりにしていこう、というのが次の目的で、取り合えず、煎り上手の中に生豆を少し多めに放り込んで生豆の温度を計ってみたところ、やはり室温とほぼ一致している。まぁ、当たり前なのだが、実際にこうして温度計で比べると、やはり納得してしまう。
煎り上手と室内温度

さて次は、煎り上手の予熱温度と生豆の温度の差が中点温度にどう影響するかを調べていきたい。

前提として投入する生豆の量は毎回ピッタリ70gとする。当然ながら生豆が冷え切っていると、焙煎器を同じ温度に予熱しても、中点温度は低くなるはずである。 豆の熱容量 vs 焙煎器の熱容量 である。ただし、そもそも熱容量の小さい煎り上手の場合、予熱しても、生豆を投入するために火から離すと直ぐに温度が下がり始めるため、素早く投入しなければ誤差が大きくなる、という問題がある。

煎り上手と生豆の温度
室温よりも冷たい生豆を入れて、しばらく放置すると温度が下がっていく様子が測定できる。

煎り上手・霧吹き焙煎(ハゼなし焙煎に挑戦)

センチュリーフレンドさんが取り扱っている PRO1という韓国製の焙煎機はとてもユニークで、熱源がハロゲンランプと珍しいだけでなく、水タンクが右サイドについている。焙煎中、ハゼ直前の焙煎豆に霧吹き水をかけて一瞬温度を落とすことで、ハゼを起こすことなく、優しい味わいに焙煎する、というお話。

本日はこれを煎り上手で真似てみるテストをしてみた。

なおこれは1ハゼを止めるためのテストなので、時間節約もあり、温度上昇はかなり早くして水抜きを2,3分で終えてしまっているが、この点はもしかするともう少し時間を取った方が良かったかもしれない。
煎り上手・霧吹きテスト
<百均の霧吹きに浄水を入れたものを用意>

1回目:
一ハゼが起きる200℃の数度手前で霧吹きをジュッとかけて温度を下げた後は、そのまま加熱し続けてみた。結構しっかりかけたので当然、Artisanでみてもしっかりと温度は下がっているが、200℃くらいに戻ったところで普通にバチバチと1ハゼを起こし、まぁその後は普通にミディアムローストに仕上がっておしまい。これだけで味が異なるのか分からないが、取りあえずこのやり方ではハゼは止めれなかった。
モカベアー式ハゼなし焙煎チャレンジ1
<バサっと下がっている部分が霧吹きを掛けた個所>

ブルンジ・1回霧吹き
<普通のミディアムローストの豆面となった>

2回目:
やはり1ハゼが起きる数度手前で1回目の霧吹き、そして一度下がった豆温度が再び1ハゼ温度に近づいたらまた一吹き、という具合に、200℃に達しないように4回ほど霧吹きを掛けて、結局強引にハゼを起こさないまま排出。

これもちょっと違うかな、と思うが、見た目はなんだか先日、センチュリーフレンドで購入したグァテマラの中浅煎りの豆面と似ているような気もする。まぁ、気がする、というレベルではあるが、センターカット側に黒い皺が残った、独特のつや消しっぽい豆面という意味である。
モカベアー式ハゼなし焙煎2
<最後まで200℃を超えさせないまま排出>

ブルンジ・霧吹き焙煎
<豆面はこんな感じ、水を掛けたせいか重量減は13%と小さい>

こんな特殊な焙煎が簡単に出来てしまうのが、煎り上手のような焙煎器の醍醐味である。特にArtisanを接続しておけば、どんなことが起きているか数値とグラフで見れるので実験にはもってこいである。

先日、センチュリーフレンドの坂下氏にお会いした際にも、坂下氏がこの焙煎機がどのようなプロファイルで焙煎しているのか見てみたい、とおっしゃっていたが、実際非常に興味深い。プロファイルさえみれれば、もっとリアルな動きを試せるのだが。


粗悪な生豆を深煎りでどこまでリカバリできるか

ちょっと余興で、普通に焙煎したら、枯れ臭やかび臭さ、生っぽさなど不味さ全開で、全く飲めない生豆を、深煎りすることでどこまで飲めるようにできるかやってみた。どれくらい酷い状態の生豆かは下の写真で想像して頂きたい。これはエチオピア・レケンプティであるが、元々欠点豆オンパレードの酷い状態であったが、ジップロックで空気を遮断していたにも関わらず、半年ほどでさらに酷い見た目になっている。なんだか湿っぽい感じもするので、水分含水量がかなり高くなっていそうである。
粗悪な生豆

これを煎り上手を使って、ダブル焙煎の深煎りにしてみた。
なお、欠点豆は敢えて取り除かずにそのままの焙煎である。

レケンプティ深煎り


どうであろう? 見た目は少なくとも悪くは見えないね。
匂いはまぁ、安い深煎り豆に有りがちな焦げ臭い感じのもの。

さてこれをなるべくあっさりと短時間で濃いめにペーパードリップして、お湯で適度に薄めたコーヒーを作って飲んでみた。熱いときは意外と飲める。喫茶店でこれが出てきても普通に納得するかな、というレベル。 しかし冷めてくると流石に不味さが浮き出してきて、結局、半分ほど飲んでギブアップ。後味が悪~い! 

ということで、同じエチオピアでも、イリガチェフェ・チェルベサ・ウォッシュトの深煎り豆で淹れ直して、思わず口直ししてしまった。こちらは飲んだ後がいつまでも口の中が甘い。

これだな、品質の違いは!
エチオピア口直し
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