香豆火珈琲 (Kaz - Feel - Coffee) - 引越し済


KAZUHICOFFEEは 2021/11/11に開業いたしました。 屋号はそのままKAZUHICOFFEEです。

新HP: https://kazuhicoffeelab.com/
旧HP: http://www.kazuhicoffee.com/
Base: https://kazuhicoffee.thebase.in/

今はまだ珈琲豆のネット販売と時折行う焙煎教室だけですが、これから珈琲の家庭焙煎や小型焙煎機のコンサルティング業という分野を開拓したいと考えております。まずは発明工房さんの「煎り上手」や安価な小型ドラム型焙煎機などにちょっとした装置をつけて、焙煎プロファイルがリアルタイムに見えるようにすることで、短期間で焙煎の技術を学んだり、既に焙煎を開始されている方の技術が上達するようなプログラムを用意したいと考えております。これからまだまだやること山積ですが、まずは出発致しましたことお知らせ致します。 珈琲が仄かに好きという皆様が、もっともっと本物の珈琲のことを知って楽しんで頂けるようにすることが次の自分のミッションだと考えております。家庭用サイズの小型焙煎機を海外から輸入して販売する等も計画しております。皆さまが美味しい珈琲をいつでも気軽に楽しめるようにすることを全身全霊でサポートしたい!!

2022年08月

伝説の店、珈琲美美に行ってきた

先日、1977年の創業以来、45年も続いているという福岡の珈琲美美に行ってきた。

ここはずっと以前から一度は行きたいと思っていた店で、今回やっと念願がかなった形。
創業者の森光宗男氏は6年ほど前に韓国で客死されたが、今は奥様が立派に伝統を受け継いで経営されている。
美美の店構え

3日間だけの北九州旅行であったが、その間に2回訪れてみて思ったことは、店主のこだわりの凄さ
そのご威光が今も店の隅々、店員の一人一人にまで及んでいる、ということであった。

美美は創業時はずっと狭い店で、交通量の多い国道沿いにあったらしいが、今は博多郊外の福岡城跡の近く、大濠公園の横にひっそりと優雅に建っている。近くには池があり、往時の吉祥寺、井の頭公園参道にあった「もか」に雰囲気がどことなく似ているのは、やはり店主の「もか」への想い入れから選んだ場所なのか。


美美ハンドピック全体2

最初に訪れた月曜日は豆売りだけの日で店主はおらず、店員が2、3名いたのみであったが、これは僕にとっては逆に運がよかったようで、ちょうど生豆のハンドピックをしていた入店3年めという店員さんからゆっくりとお話しを聞いたり、店内を案内して頂いたり出来た。
美美もかに始まり本

今回、お店で購入した「モカに始まり」焙煎・抽出・美美編という本を読んでみたが、こちらはタイトルからしてノウハウ本かと思ったら、焙煎や抽出について触れた後、後半は森光氏の思想が詰まったエッセイ集で、同じクラウドファンディングで発刊された産地紀行編に比べてぐっと読みやすい

さて、美美では生豆を洗ってから焙煎することは有名だが、実は僕はお湯で洗うことまでは知らなかった。今でこそ生豆をお湯で洗ってから焙煎する手法は、アームズメソッドとして自家焙煎をされる人達の間では比較的知られているが、どうやらこれをやり始めたのは森光氏が最初だと思われる。ただし、本の中には、平山一政氏が提唱する「50度洗い」に倣い、という説明書きがある。知らなかったなぁ。

美美の焙煎機

美美ハンドピック全体

美美ハンドピック・アップ

狭い場所に座って根気よく行う店員さんによるマンデリンのハンドピック。僕も横から欠点豆を探すのを協力してみたが、結局、見つけた3粒ほどはどれも合格豆だそうで戻され、逆に僕には見つけられなかった欠点豆をさらに見つけておられたのは流石であった。



店員さんから聞いた話と本の中の説明をまとめると美美の焙煎~抽出の手順はこんな感じである。

  • 1バッチ分4キロの生豆を、2キロずつに分けて、合計1時間ほどかけてザルの中でじっくりとハンドピック。欠点豆をなるべく完全に取り除く。
  • 次にラーメンの寸胴のような道具を使い、50℃のお湯で3回洗うことで、汚れを落とすと同時に生豆を目覚めさせる。そして洗った生豆は竹ザルに広げて一晩乾かす。(このとき芽を出した豆があったらしい)
  • 焙煎は、「もか」の店主の標氏から引き継いだという、富士ローヤル製、半直火半熱風焙煎併用式5キロ焙煎機を使って、必ず奥様が行う
  • 焙煎後は、恐らく再びハンドピックで色付きの悪い豆を取り除くものと思われる。
  • 抽出はデミタスならば、30gを木皿に出して、そこでまた2,3分かけて念入りにハンドピックした後、なんと奥様は一粒齧って状態を確かめておられた。
  • これを粗挽きにしていよいよネルドリップする。抽出時間は見ていた限りでは3分ほどで、準備段階には物凄く時間を掛けていた割に、点滴から開始した後は必要量をさっと落とすようであった。
美美竹ザル

店のこだわりは他にも、メニュー毎に異なるカップ、木製の表紙のメニューや陶器の砂糖壺など、店内の至る所に感じられて、まったく隙が無い。さすが、一時は美大を目指したという森光宗男氏ならではの拘りで出来た店内はまるで博物館のようで、全体が調和していてとても落ち着く空間であった。

美美の店主が珈琲豆を齧る
<店主がマスクをずらして、確認のためにさっと一粒、齧っているように見えた>


美美の店主のネルドリップ
美美のデミタス・イエメンモカ
<イエメン・ムニール・モカのデミタスと珈琲以外の唯一のメニュー、フルーツケーキ>

美美のデミタス・ゴールデンハラール
<一杯1100円のゴールデン・ハラール・モカ。この豪奢な大倉陶園のデミタスは一体いくらするのか?>

美美の休日の店内
<休みの日の2階の喫茶スペース>

美美の整然とした調理場
<休みの日の厨房~整然としている>

美美のレジ回り
<一階のレジ回りには、標氏の本や所縁のものが色々と置かれている>

美美の砂糖壺
<陶芸家・山本源太氏による砂糖壺。4年半待ってようやく完成したらしい。デカい!>

美美のメニュー1
美美のメニュー2
美美のメニュー3
美美の焙煎豆販売
<木製の表紙がついたメニューも拘りの品の一つ>




ここからは自宅に戻ってからの僕のネルドリップの話。

美美のネル
<美美で買ってきた奥様の手作りのネル>
<銅製の枠はなんとお客さんで会社員の関口氏によるもの~綺麗!>

美美のマンデリン豆
<淹れるのは美美で買ってきたマンデリン。店員さんが袋に入れる前に竹ザルに入れて、何度も何度も空中に投げ上げて振り混ぜながら、最後の欠点豆チェックをされていたのが印象的であった

美美のマンデリン抽出中
<独特の乳首のような突起がついたネルは、確かにその乳首の先から滴る>

美美のマンデリン抽出中2

美美のマンデリン珈琲
<完成! 30g120㏄で淹れたが、濃すぎることはなく確かに美味しい>

美美などネルの御三家
<ついでながら、ネルの御三家?と僕が勝手に呼んでいる3本。コレクション完了!>

美美のモカ地図

長~いブログになってしまったこと、ご容赦。
それほどに感動に満ち溢れた店でした!

増える生豆?

皆さんは生豆の保存にどのように気を使われているだろうか。

僕は購入した生豆は、すかさず1000gずつZipLockに小分けして常温保存している。特に高価な生豆に関してはさらに脱酸素剤を入れたり、湿度が80%くらいに上がってしまうと除湿したりはするが、基本的にはZipLockの気密性を信じているのでそれ以上のコストはかけない。

ところで最近気が付いたことを皆さんにお伝えしたい。

下記の袋はUSフーズさんの小分け袋で、なかなか洒落たもので消費後は他の用途に使いたくなるくらいだが、残念ながらグレインプロのような気密性はなく、そのままでは湿気が入り放題である。
USフーズの生豆袋

そこで、きっちり1000gずつ計ってZipLockに入れて密閉していくわけだが、最後の袋は大抵少し多い。
例えば今回の例では40-50gほど多かった。これがUSフーズで袋入れしたときはどうだったのか、少し気になるところである。
ショコラピーベリー余分

プレミアムショコラ余分

一方で、極まれに最後の一袋の重さが1000gを切っていたりすると何となく悔しいものであるが、僕の経験では ある一社を除いて、まずそういうことはない

それはさておき、その 1000gずつ密閉したはずの袋を使うときに再度計量すると、これがまた必ずと言っていいほど3-5g増えているのである。はて? と思っても今まで気にしないでいたが、最近ふと、思い当たった。それは密閉した生豆袋をしばらく置くと下記の写真のようにまるで脱気したかのような状態になっている、という現象と結びついた、ということである。

呼吸する生豆

要するに、ZipLockの袋を手で絞って口をしっかり閉じても、袋内には空気がまだ5g程度以上は残っており、どうやら生豆がそれを吸着して袋内の真空度を上げていくようなのである。

結果として下の写真のようになる。もちろん、袋に入れたときにはきっちり1000gだったので、取り出しても500gx2となることを期待していたわけであるが、この例では 3.4g増えている。

増える生豆

生豆は水洗いやお湯洗いをして焙煎するくらいだから、短期間なら水分が多少多くなっても問題ないはずだが、長期間となるとカビが発生したり白くふやけたりと劣化しやすい

乾燥し過ぎもだめらしいが、湿気の多い時期に空気に晒したままにするのは大事な生豆を台無しにする危険性が非常に高いということ。一方で超高級豆なら、真空パックして、冷蔵や冷凍保存したりする方もいるが、普通のスペシャルティ豆でそれはコストをかけ過ぎかな、と。

ちなみにコーヒー流通センターの袋は開封前は気密性が高そうなので、購入後もしばらくそのまま置いておくことができて重宝だが、この袋はかぎ裂きにとても弱い。一度、袋を運んでいる最中に何かに引っ掛けて、10Kgの生豆の大半を床にぶちまけてしまい、大変な目にあったことがあるので、皆さんも流通センターの生豆袋を運ぶときは気を付けてください。
コーヒー流通センター袋



ブラックライトで光る生豆の正体

さて、ブラックライトを使って欠点豆を見つける手法を以前ツィートしたらこれが結構バズって、その後もかなりの回数リツィートされたものだが、今では自宅焙煎をされている方の間でかなり知られるところとなり、実際に普及してきているように思われる。

ここで再度強調しておきたいのは、ブラックライトで光る生豆がすべて欠点豆というわけではない、ということである。正確には、欠点豆は光るものが多いので、そのままでは見逃していたものを見つけやすい、ということである。

光豆・エチオピア・ハルスケ
光豆・コロンビア・エルパライソ

で、ここで気になるのは、欠点豆なのかそうでないのか判断が難しい光り豆の扱いである。

例えば、エチオピア・ハルスケのナチュラル精製、コロンビア・エルパライソ・ダブルアナエロビック精製・ライチ、といった生豆はかなり高い割合で光る豆が含まれており、これを全て削除するにはもったいない気がするし、かといってそのままにして焼いていいのか悩ましい。

そこで僕はこの光る豆をどんどん取り分けてはジップロックに貯めておいた。これが煎り上手のバッチ量の70gに到達したので焼いてみた。 長い前置きになりすみません _O_



焙煎してみて気が付いたことは、これらの光る発酵豆はどうやら1ハゼが来る温度が高いということである。
下記の2つのプロファイルを見て頂きたい。煎り上手では通常の1ハゼ温度は200℃程度であるので、214℃というのは如何にも高い。サンプル数が2つだけなので確証はもてないが、どうやらこの傾向があると思われる。

GlowBeansHaruSuke

GlowBeansElParaiso


焼いた感じでは、まぁ特に変わった様子はない。
光り豆の焙煎(エチオピア・ハルスケ)

光り豆の焙煎(コロンビア・エルパライソ)


さて、これらを本日試飲してみた。

まず感じるのは、粉に挽いたときの香りが明らかに強い、ということで、そこまでは最初から想定範囲内である。よって少し薄めに淹れるのがよいと思い、10gに対してお湯を180㏄注ぐ、CBR=18 で抽出してみた。

まずエチオピア・ハルスケの方であるが、いつもの軽やかなピーチのようなフレーバーに対して、光り豆Onlyの方はちょっと重い感じのトラディショナルなモカ・シダモのフレーバーであった。まぁこれはこれで悪くない。普通に美味しいと感じた。

次にコロンビア・エルパライソの方であるが、こちらも同じくCBR=18 で淹れてみたところ、いつものエルパライソと変わらない甘いフレーバーで、素直に美味しい。

うむ、結論を急ぐわけではないが、少なくとも明らかな欠点豆ではない光り豆は、特に取り除く必要はなさそうである。残すことでフレーバーが少し強くなるという傾向はあるが、雑味だとか、嫌な発酵臭だとかそういったものは感じられず、少なくとも捨てるのはもったいない、と思った次第。

Zeroハゼローストに挑戦

最近知り合いになったコーヒー仲間のnojisangooさんという方に教えて頂いたZeroハゼローストに挑戦してみた。この焙煎手法のオリジナル発案者は大和の珈琲豆専門店「ぜにさわ」さんで、近々一度訪れたいと思っている。

さて、今回使ったのはいつも飲みなれているペルーホープ・マイクロロット(水洗式)である。この豆なら、どの焙煎度であっても凡そフレーバーで区別できると思われる。

昨日、今日と2回チャレンジしたが、それぞれプロファイルの豆の状態はこんな様子である。


1回目チャレンジ
ゼロハゼ焙煎プロファイル_Take1

20分かけて200℃まで温度を上げて、一つ目の豆がパチッと爆ぜた瞬間に煎り止め。
そういう意味で正確には Zeroハゼではなく、1回ハゼロースト?

焙煎豆の様子はこんな感じ。かなり硬そうである。


ゼロハゼ焙煎(ペルーホープ)_Take1



2回目チャレンジ

ゼロハゼ焙煎プロファイル_Take2

1回目に比べて、全体的にRORをさらに低く1-5の間になるようにキープして、DEまでの時間はほぼ同じで11分35秒だが、DE以降から排出までの時間が延びた結果、全体時間にして4分ほど長い24分弱である。結局、一度もハゼ音を聞かずに排出。1回目よりも上手く行った手応えあり。

ゼロハゼ焙煎(ペルーホープ)_Take2

水分量も1回目よりも減っており、通常時間で焙煎する場合の中浅煎り程度の数値となっている。




さて、昨日焼いたものを先ほど早速飲んでみた。
ゼロハゼ焙煎(Take1)抽出中

粉に挽いたときには思わず「おぉ~っ」と声を出してしまうような鮮烈な柑橘系の香りが感じられて期待したのであるが、実際に抽出したものを飲んでみたら、残念ながら正直、ちょっと青臭さが勝っていて飲めなかった

お湯をかけた時の様子を見ても分かるように、全く膨らまず、後半にはペーパーが目詰まりを起こしてしまった。如何にも抽出率の低そうな雰囲気である。

今日焼いた方は恐らく昨日のよりも改善されていると思われ、よいフレーバーが出ていることを期待したい。

<2022/08/07 追記>
今日、2回目に焼いた方を飲んでみたところ、こちらはなかなか美味しい。
やはり少しCucumberの香りはあるのだが、全体的にうまくバランスしており、フレーバーに強い甘味がある。一口すすると、またもう一口、という具合に進んでいき、いつの間にか飲み干してしまった。苦みはゼロ、強い酸味もなく、マイルドでフワッと甘い、そんな印象であった。

この豆は真逆の焼き方とも言える、超高速ノルディック焙煎で焼いたときも同じような味わいになるが、ただこちらの場合はそれにフレッシュさが加わりZeroハゼ焙煎ではこれがひたすら柔らかくなる、といったところか。

そうなると、苦みが身上のマンデリンでこの焼き方をするとどうなるのかが気になってきた。
ちょいと面倒な焙煎ではあるが、次はマンデリンで試してみようかと思う。
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