香豆火珈琲 (Kaz - Feel - Coffee) - 引越し済


KAZUHICOFFEEは 2021/11/11に開業いたしました。 屋号はそのままKAZUHICOFFEEです。

新HP: https://kazuhicoffeelab.com/
旧HP: http://www.kazuhicoffee.com/
Base: https://kazuhicoffee.thebase.in/

今はまだ珈琲豆のネット販売と時折行う焙煎教室だけですが、これから珈琲の家庭焙煎や小型焙煎機のコンサルティング業という分野を開拓したいと考えております。まずは発明工房さんの「煎り上手」や安価な小型ドラム型焙煎機などにちょっとした装置をつけて、焙煎プロファイルがリアルタイムに見えるようにすることで、短期間で焙煎の技術を学んだり、既に焙煎を開始されている方の技術が上達するようなプログラムを用意したいと考えております。これからまだまだやること山積ですが、まずは出発致しましたことお知らせ致します。 珈琲が仄かに好きという皆様が、もっともっと本物の珈琲のことを知って楽しんで頂けるようにすることが次の自分のミッションだと考えております。家庭用サイズの小型焙煎機を海外から輸入して販売する等も計画しております。皆さまが美味しい珈琲をいつでも気軽に楽しめるようにすることを全身全霊でサポートしたい!!

2022年03月

金網vsセラミック網

焙煎に使うガスであるが、都市ガスで最高1700-1900℃、LPGで1900℃に達するされているが、実際は平均すると1000℃程度だそうである。

一方で、アルミニウムの融点は660℃、鉄が1536℃なので、鉄製の網は耐えても煎り上手のアルミは溶けてしまいそうであるが、実際はビクともしていない

コーヒー焙煎には強火を使うが、一番厳しいのは空で予熱しているときだろう。しかも僕は、煎り上手に厚手のアルミ箔を折ったフタを取付て、予熱時には本体を裏返して加熱したりもするので、アルミ箔に直接強火が当たるが全く溶けも変形もしていない。

これはアルミの熱伝導率の高さが効いているからだろう。火が直接当たる部分が熱くなっても即座に周りに熱を逃がして、結局焙煎中は全体的に偏りない温度になっていると思われる。

また、挿し込んでいる熱電対温度計の先端は宙に浮いているが、安定してきれいに温度上昇していく。これも考察すると、実は熱電対の先端が珈琲豆が接することで温度を示しているというよりは、熱電対を覆う円筒金属ケース全体が煎り上手と一体化してほぼ同じ温度になっていると考えられる。

温度計の接続コードは木製の柄に開けたトンネルに通してあり、熱電対の金属ケースは厚手のアルミ箔を押し固めて、煎り上手本体の接続部に固定してある。素材がアルミ同士なので、滞りなく本体からの熱が熱電対に伝わるものと思われる。

ここでちょっと妙なアナロジーを考えてしまった。

人間の匂いセンサーは鼻の奥にあるが、実は同じセンサーに辿り着く道は鼻孔からのストレートと、もう一つは口腔から遡る道がある。いわゆる鼻先香と口中香である。この2つの道を通って辿り着いた芳香成分を、匂いセンサーが感じ取るわけだが、煎り上手の熱電対も珈琲豆や容器内の熱い空気からのストレートな熱と、本体を伝わって後ろからくる伝導熱の2つの力で温度表示している、ということである。

話が長くなってしまった。

焙煎コントロールに必須の豆温度を知るためには、熱電対温度計に頼るしかないが、構造上、熱電対の先端を珈琲豆の塊に常時沈めておくことは困難で、結局、上記のごとく、様々な要素がミックスされた平均温度のようなものをみながら焙煎するしかない、ということである。

幸いにして、冒頭に書いたとおりアルミは熱伝導性がとても良いため、煎り上手の小さな本体はひとたび全体が予熱されれれば、熱電対温度計も同じ温度で、さらに珈琲豆の投入後は、中点を過ぎたところで珈琲豆も一体化して、結局はさほど実際の豆温度と温度計の表示には開きがないと考えて良いと思う次第。

となると、他に考察すべきことは、いかに火力源からの熱を効率よく豆の内部にまで伝えて珈琲豆(1粒)全体をなるべく同じ温度にして、さらに全部の珈琲豆を同じ温度にキープしながら、適切な温度上昇率(RoR)で温度上昇させていくか、ということになる。

そこでどういう形が有効かを考えて、いろいろな金網やセラミック網を試してきた。
色々な金網、セラミック網



熱の伝導は、金網では①+②で、セラミック網ではほぼ①のみとなる。

  ①火力源 ⇒ 金網 ⇒ 煎り上手の底
  ②火力源 ⇒ 煎り上手の底

端的に言って、セラミック網より金網の方が使いやすい。セラミック網は時間をかけてゆっくりと焙煎するには便利だが、予熱だけでも7,8分もかかるし、何しろ瞬発力がないため結局コントロールしにくい。

そんなか、先日見つけたのがこんなセラミック網で、これは珍しく底部の鉄板の多いがないため、①+②タイプの加熱方式である。本日早速これを使って焙煎してみたところ、やはり火から遠くなるせいか、使い勝手は金網と普通のセラミック網の中間であった。

直接火が当たるセラミック網

下記のプロファイルは意図したものではなく、勝手に1ハゼ直前に加熱が失速してしまい、瞬発力のないセラミック網ではリカバリに時間がかかり、長くフラットな部分が生じてしまった。ついでにいうと、このような加熱をするとほとんど1ハゼが起きずに200℃を超えていく。これはこれで一つ、小回りの利く煎り上手ならではの面い焙煎方法ではある。
AzoteaByCeramicGrill


********

ということで使い勝手では金網に軍配が上がるが、問題は耐久性である。アルミほど熱伝導性がよくないためか、焙煎中、炎が当たる部分だけ真っ赤になり、他の部分は暗い色のままなので、百均の網のような細い針金で出来た網では10回と使わないうちに網が切れて使えなくなってしまう。現在、愛用しているものはホルモン焼き用という頑丈なもので、こちらは既に30回以上は使っているが、今のところ破損はない。
ホルモン焼き網

ただし中心部は熱で多少変形している。
ホルモン焼き網


最後の考察は金網なし、すなわち②のみの加熱方式である。本日それも改めてやってみた。
いつも金網を使っているので少し違和感があったが、結論としては、金網があるときとコントロール性にさほど違いはなかった。敢えて言うならば、金網があれば予熱時など煎り上手を金網の上に置くことも可能であるが、コンロだけだと最初から最後までずっと手に持っていなければならない、ということくらいか。

う~む、随分と色んな網を買っては試してきたが、結局要らないのか!?
こうして僕の煎り上手を使った実験はまだまだ続く。

煎り上手でノルディック・ローストにチャレンジ

先日のブログに書いたとおり、僕が通常、13分程度で焙煎しているブルンジの水洗式の生豆を、3つの焙煎フェーズのバランスとDrop温度をなるべく揃えたまま8分に縮小して焙煎するテストをやった。こちらは少し無理があったのか、数日経ってから飲んでみてもやはり芯残りが感じられて、特に冷めてくるとだんだん飲むのが辛くなってくるエグ味のようなものがある。

一方で、短時間焙煎で有名なノルディック・ローストという分野がある。Scott RaoのCoffee Roasting Best Practiceを読んでいたら下記の説明があったので、同じブルンジの生豆を題材に早速やってみた。

Many roasters from the Nordic countries prefer to roast batches lighly and quickly, with relatively high, flat RORs that crash gently just before discharge of the beans.

彼は、RoRの曲線、つまり温度上昇率が急に下がる(Crashする)と香りが飛んで段ボール紙のようなフレーバー(baked flavor)になると言って嫌っているが、Nordic roastだけは例外で、RoRの値をずっと高いままキープして短時間で焙煎し、最後に軽くクラッシュさせて直ぐにDropする、と説明している。

ということで、いつものように煎り上手を使って、RoRを20程度に保つことを目標に6分16秒という短時間で焙煎してみた。プロファイルはこのような曲線になった。予定どおりRoRを高くキープできている。

BurundiProfile4-Nordic-6min
ブルンジ・ノルディックローストby煎り上手


粉に挽くとこんな感じ。比較のため先日の8分短縮ローストの豆と同時にペーパードリップで淹れて試飲してみた。色的には微かにノルディックの方が浅いように見えるが、焙煎指数はほぼ同じである。
ブルンジ・ノルディック・粉の色比較


焙煎直後から良い香りがして期待できるものであったが、これを翌日、2日目と試飲してみたところ、確かに心地よい柑橘系の酸味がでている。明らかに先回の8分ローストと異なり、かなりの浅煎りであるが、最後まで美味しく飲めることが確認できた。

参考までに 8分短縮ローストを2回分、13分の通常ローストのプロファイルも載せておく。

BurundiProfile1-8min
BurundiProfile2-8min
BurundiProfile3-13min


さて、自分ではそう感じても、やはり思い込みが混じってはいけないので、この4種類の豆を僕の焙煎仲間の一人に送ってブラインドカッピングして頂くことにした。
ブルンジ・ノルディック・ブラインドカップ用サンプル

見た目ではまず判別不能である。彼がカッピングで見事ノルディックローストの豆を正解してくれれば、Scott Raoの理論の正しさが、少し裏付けが出来る。彼は、コーヒーのフレーバーはトータルの焙煎時間よりもRoRのカーブで大きく変わる、と主張している。結果が楽しみである。

なお、ノルディック・ローストに関しては2年近く前にもブログに書いており、読み返してみると、偶然にもこの時にもブルンジ産の豆を使っていたことに気が付いた。
 
<追記:3/14 23:21>
夜ちょっと思い立って、温存していたエチオピア・ゲシャ・ウォッシュトG1をノルディックローストにしてみた。この豆は普通に浅めに焙煎すると、期待ほど明白なゲイシャフレーバーは発せず、なんとなくそのまま1年ほど寝かせておいたものであるが、さてノルディックローストでよみがえるか!  プロファイルはこんな感じである。

粒揃いなせいか、1ハゼが一斉に元気よく起きる豆で、その分、気化熱が奪われるのか、頑張ってRoRを20くらいに高く保とうとしたが、最後で少し下がってしまった。その結果、焙煎時間はトータルで7分41秒となった。

1ハゼ開始から1分10秒で煎り止めたので、通常よりはやはりノルディック・ロースト寄りの焙煎になったと思う。さて実際に薫り高く焙煎出来ているかは明日のお楽しみ。

EthiopiaGeshaWashed_NordicRoast

バッチが小さいときの焙煎時間短縮の可能性の検証

Scott RaoのCoffee Roaster's Companionの40ページに以下の記述がある。

For any given machine, smaller batches requires less time to achieve adequte development!

曰く、どんな焙煎機であっても、バッチ量が少なければ短時間で目的の焙煎度にすることが出来る、ということである。火力的にはそのとおりであろうが、さてフレーバーは同じになるのか。

そこで、煎り上手のように70gと小さいバッチの場合にこれを当てはめるとどうなるのかを検証してみた。テストに使った焙煎豆はいつもの水洗式ブルンジのニュークロップである。この豆は火が入りにくいが、浅煎りから深煎りまで様々な顔を見せて、それぞれの焙煎度で美味しさがある。

今回はリファレンスとして、5日前に焙煎したDTR20%のシナモンローストの豆を使うことにした。
仮にこれを Take0と呼ぶ。このときは僕のメイン機(最大バッチ600g)で焼くときと同じ程度、13分ほどかけて焙煎したが、今回は同じ焙煎度を8分に縮めることにした。比率にして1.65倍の早焼きである。Take1,2が約8分、Take3は再び13分で焙煎したが、結果を表にしたものが下記である。

結論から書くと、この豆を8分で浅煎りにするのは無理があった。酸味の質が悪くキツイ味で、特に冷めてくるとちょっと飲めないレベルであった。一方で13分で焙煎したシナモンローストは、ウットリするほど美味しい酸味が出ており、この差は非常に大きい。ちなみにTake3は焙煎直後であるが、既に美味しく飲めるものであった。

ブルンジ短時間焙煎の比較

今回は焙煎指数的を揃えることにフォーカスしたのと、外焙煎で風が強かったことで、焙煎プロファイルは少し乱れたが、焙煎指数を見ると、シナモンローストレベルにきっちりと揃った。

ちなみに、焙煎の3つのフェーズの比率を保ちながら、トータル時間を13分から8分に短縮するために、あらかじめ下記のようなプロファイル目標を作って、それを見ながら焙煎した。
ブルンジ焙煎プロファイル・ターゲット


13分のプロファイルを並べたのが下記である。(Take0, Take3)
Burundi_13分浅煎り

そしてこちらが8分で焼いたときのもの (Take1, Take2)
Burundi_8分浅煎り

トータル時間以外は、排出温度、焙煎時間、焙煎指数などがよく一致している Take3にTake2を重ねたものが下記である。

Burundi_Cinnamon_8min_13min_211℃比較


<8分焙煎した豆の様子> きつい酸味
Burundi8分焙煎豆



<13分で焙煎した豆の様子> 心地よい酸味
Burundi13分焙煎豆



味の比較は、同一条件の元、同時にペーパードリップ抽出(CBR=15)することで確認した。
Burundi_8分浅煎り比較

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